ストキャスティクスとは?計算式や使い方、活用時の注意点
2024/6/28
ストキャスティクスは、多くのトレーダーの間で用いられているテクニカル指標の一つです。FXを始めたばかりの人は、意味や使い方など、具体的なイメージが湧かないかもしれません。
しかし、ストキャスティクスを理解することで相場を予測したり、エントリーポイントを判断しやすくなったりする可能性があるので、本格的にトレードを始める前に学んでおきましょう。
本記事では、ストキャスティクスの基本的な仕組みや使い方、注意点などを詳しく解説します。
FXにおけるストキャスティクスとは?
まずはストキャスティクスの基本的な仕組みや、ほかのテクニカル指標との違いを理解しておきましょう。
ストキャスティクスとは
ストキャスティクスとは、「売られすぎ」「買われすぎ」といった相場の過熱感や強弱を測るのに有効な「オシレーター系指標」の1つです。ストキャスティクスには「ファストストキャスティクス」と「スローストキャスティクス」の2種類があります。
ファストストキャスティクスでは、「%K」と「%D」と呼ばれる2本のラインを使って相場を分析します。相場の動きに反応しやすい反面だましに遭いやすく短期トレード向きと言えます。
スローストキャスティクスは「%D」と「Slow%D」と呼ばれる2本のラインを使って相場を分析する指標です。ファストストキャスティクスに比べて反応が緩やかでだましの可能性も比較的少ない傾向があります。
だましとは、テクニカル分析で予想した方向と反対方向に価格が動くことです。ストキャスティクスに限った話ではありませんが、100%有効なテクニカル指標はなく、一定の確率でだましが発生します。
ストキャスティクスの計算式
%Kは、過去の一定期間における最高値と最安値に対して、現在の価格が相対的にどの位置にあるかを示すもので、計算式は以下の通りです。
%K=(直近の価格 - 過去n日間の最安値)÷(過去n日間の最高値 - 過去n日間の最安値)× 100
例えば、直近9日間の相場において、最高値が150円、最安値が140円であり、現在の価格が145円だった場合、%Kは50%になります。
一方、%Dは%Kの単純移動平均線です。以下のような計算式で求められます。
%D=(直近の価格 - 過去n日間の最安値)のm日間の合計÷(過去n日間の最高値 - 過去n日間の最安値)のm日間の合計
Slow%Dは%Dをm日間平均でさらに移動平均化したラインです。
ストキャスティクスとRSIの違い
ストキャスティクスとRSIは、どちらもオシレーター系のテクニカル指標です。ラインが一定価格を超えた時に「買われすぎ」「売られすぎ」と判断し、エントリーを狙う点は共通しています。
しかし、2つの指標は算出方法が異なるため、価格に対する反応スピードには違いが出る傾向があります。RSIは一定期間の価格変動の中で、上昇幅がどのくらいの割合を占めるかを計算して求める指標です。
一方、ストキャスティクスは最高値と最安値の2点のみに注目して計算する指標になっています。特にファストストキャスティクスは些細な値動きにも反応しやすく、だましが多くなりやすい側面があります。
しかし、RSIは1つのラインしかないため、売られすぎや買われ過ぎのゾーンに入ったとしても、エントリーポイントがはっきりと明示されるわけではありません。一方、ストキャスティクスは2本のラインがクロスしたタイミングをエントリーポイントとして判断するケースが多く、売買シグナルが明確でわかりやすい利点があります。
どちらが良いとは一概に言えないので、相場やトレードスタイルによって使い分けることが大切です。
ストキャスティクスの使い方
ここでは、ストキャスティクスの見方や、実際のトレードにおける具体的な活用方法を解説します。
買いサイン
%DやSlow%Dが0~20%の範囲にある時は売られ過ぎであることを示しており、買いサインと判断します。この範囲でSlow%Dを%Dがクロスしながら下から上に抜けた場合(ゴールデンクロス)は、強い買いサインです。
売りサイン
%DやSlow%Dが80~100%の範囲にある時は買われ過ぎであることを示しており、売りサインと判断します。この範囲でSlow%Dを%Dがクロスしながら上から下に抜けた場合(デッドクロス)は、強い売りサインです。
ダイバージェンス
ダイバージェンスとは、相場とストキャスティクスの方向が逆になっている状態のことです。ダイバージェンスが発生した場合、トトレンドの勢いが弱まっており、相場の転換が近いと判断します。
例えば、為替レートが上昇しているのに、ストキャスティクスが下落傾向にあるとしましょう。この場合はダイバージェンスが発生しているため、上昇トレンドから下降トレンドに転換しつつあると判断し、売りでエントリーすると利益を狙える可能性があります。
ストキャスティクスの注意点
ストキャスティクスは相場によって有効に機能しない場合もあるため「使えない」といわれることもあります。ストキャスティクスを相場分析で活用する際には、以下のポイントを押さえておきましょう。
状況によっては参考にできない
ストキャスティクスはどちらかといえば、価格に方向性がない「レンジ相場」で有効に機能しやすい指標です。 相場の動きが一方向のトレンドを示す場合、ストキャスティクスが上下いずれかに張り付いて機能しなくなることがあります。例えば、強い上昇トレンドが発生している相場では「買われ過ぎ」の状態が続くことでエントリーポイントが見えにくくなることもあるでしょう。
だましの可能性がある
「買われ過ぎ」「売られ過ぎ」のゾーンに入ったからといって、安易に逆張りでエントリーするとだましに遭う可能性があります。ほかのテクニカル指標も活用しつつ、根拠を複数揃えた状態でエントリーをしましょう。
特に、ファストストキャスティクスは価格に対する反応が早い傾向にあるため、だましが多くなりやすいので注意が必要です。
だましを防ぐためには、スローストキャスティクスを活用に加え、複数のテクニカル指標を併用することも検討しましょう。
例えば、ストキャスティクスとMACDを組み合わせる方法があります。MACDとは、「MACD線」と「シグナル線」の2つのラインの位置や傾きから、売買タイミングやトレンドを把握するテクニカル指標です。
MACD線とシグナル線の両方がゼロライン(チャートの中央に引いた水平線)よりも上の位置にあり、上向きに傾いている状態で、ゴールデンクロスが発生している場合は、価格上昇の勢いが強いと判断し、買いでエントリーすることでだましを防げる可能性があります。
ストキャスティクスとボリンジャーバンドを組み合わせる方法もあります。ボリンジャーバンドは、移動平均線の上下に3本ずつ標準偏差を示すライン(±3σ)を表示させたテクニカル指標です。95.44%の確率で±2σラインの範囲内に価格が収まるという性質を利用し、ボリンジャーバンドの+2σのラインを超えたあとに、デッドクロスが発生している場合は、価格下落する可能性が高いと判断し、売りでエントリーするとだましに遭う確率が少なくなる可能性があるでしょう。
自分に合ったストキャスティクスの使い方を見つけよう
ストキャスティクスは、相場の過熱感を測る「オシレーター系指標」の一つです。初心者は難しく感じるかもしれませんが、理解しておけば相場予測やエントリーポイントの判断に役立ちます。
主にレンジ相場で有効な指標ですが、だましが発生する可能性もあるため、ほかのテクニカル指標と併用することをおすすめします。