FXにおける「包み足」と「はらみ足」とは?活用方法や注意点

2024/3/27

FXで継続的に利益を上げるためには、為替の値動きをグラフ化した「チャート」について理解を深めておく必要があります。「ローソク足」は、チャート分析で用いられる基本的な指標の1つです。ローソク足とは「始値」「終値」「安値」「高値」4つの価格を1本のローソクの形で表現したもので、ローソク足の色や形によって、相場の強弱や流れがわかります。

ローソク足の形にはいろいろな種類がありますが、代表的なものの1つが、「包み足」と「はらみ足」です。「包み足」と「はらみ足」は、相場が反転する可能性が高いときに出現するパターンで、売買のサインとして利用できます。しかし「見分け方がわからない」「どのくらい信頼できるのか」などの疑問を抱えている方も多いでしょう。

本記事では、FX初心者の方に向けて、包み足とはらみ足についてわかりやすく解説します。包み足とはらみ足を理解して、チャート分析のスキルを向上させましょう。

そもそもFXとは?という方はこちらをご覧ください。

FXの「包み足」と「はらみ足」とは?

FXでは連続するローソク足の関係性への注目で、相場動向を把握しやすくなることがあります。包み足やはらみ足の基本的な定義をまず理解しておきましょう。

包み足とは

包み足とは、ローソク足チャートで見られる2本のローソク足のパターンで、相場の転換点を示すものです。包み足は、2本目のローソク足が1本目のローソク足の実体を完全に覆っていることが特徴で、「アウトサイドバー」とも呼ばれます。包み足は、陽線と陰線の組み合わせによって、強気の包み足と弱気の包み足に分けられます。

強気の包み足は、下降トレンドの底で出現し、買い圧力の増加と上昇トレンドの始まりを示唆します。強気の包み足は、1本目が陰線で2本目が陽線で、2本目の陽線が1本目の陰線の高値と安値を超えていることが条件です。2本目の陽線は、売り方は2本目のローソク足の安値まで攻めたもののそこが限界で、買い方が1本目のローソク足の高値を超えるまで攻め込む逆転があったというように考えることができます。

弱気の包み足は、上昇トレンドの天井で出現し、売り圧力の増加と下降トレンドの始まりを示唆します。弱気の包み足は、1本目が陽線で2本目が陰線で、2本目の陰線が1本目の陽線を包み込むような形状になっているのが特徴で、強気の包み足と逆の動きをしていると考えることができます。

このように包み足からは、トレンド転換のサインを知ることが可能です。

はらみ足とは

はらみ足も包み足と同様に、ローソク足チャートで見られる2本のローソク足のパターンで、トレンド転換のタイミングを見極める手がかりとなるものです。はらみ足は、「1本目のローソク足の高値と安値の中に2本目のローソク足が収まっている状態」または「1本目のローソク足の実体の中に2本目のローソク足が収まっている状態」となっていることを指し、「インサイドバー」とも呼ばれます。はらみ足は、1本目のローソク足が陽線か陰線かによって、陽のはらみ足と陰のはらみ足に分けられます。

陽のはらみ足が高値圏で発生した場合は、買いの勢いが落ち着き、高値を更新できなかったと解釈でき、下降トレンドへの転換を示唆します。

陰のはらみ足が安値圏で発生した場合は、売り圧力が落ち着き、買いと売りが拮抗してきたと解釈でき、上昇トレンドへの転換を示唆します。

はらみ足は包み足と比べて転換のサインとしては弱く、トレンドがそのまま継続することもありますので注意しましょう。

包み足とはらみ足を使ったFX取引方法

実際のトレードにおいて、包み足とはらみ足を活用する方法を解説します。

高値圏で包み足が出た場合は売りエントリー

高値圏で包み足が出た場合、上昇トレンドが終わりに近づいていることを示しています。そのため、含み足が出た後に売りエントリーで利益を得られる可能性があるでしょう。トレンドが転換しなかった場合に備えて、含み足における2本目のローソク足の高値を損切りのポイントとしておくと、損失を出すリスクをコントロールできます。

安値圏で包み足が出た場合は買いエントリー

安値圏で包み足が出た場合、下降トレンドが終わりに近づいていることを示しています。そのため、含み足が出た後に、買いエントリーをすることで利益につながりやすくなるでしょう。この場合は、含み足における2本目のローソク足の安値を損切りのポイントとしておくと、損失を出すリスクをコントロールできます。

高値圏ではらみ足が出た場合は転換を確認して売りエントリー

高値圏ではらみ足が出た場合、上昇トレンドが弱まってきていると推測できます。ただし、包み足と比べて、はらみ足はトレンド転換をはっきりと示すサインではありません。そのため、はらみ足の出現後、実際に下降トレンドに転換したのを確認してから、売りエントリーする方が良いでしょう。

安値圏ではらみ足が出た場合は転換を確認して買いエントリー

安値圏ではらみ足が出たときは、下降トレンドから上昇トレンドへの転換する可能性があります。包み足と異なり、トレンドが継続する可能性もあるため、上昇トレンドへの転換が確認できたタイミングで買いエントリーをすると、利益を狙いやすくなるといえるでしょう。

包み足を活用するときの注意点

包み足を活用するときには「だまし」に注意しましょう。焦ってエントリーをすると損失を被る可能性があります。

だましの発生パターン

テクニカル分析では、しばしば「だまし」と呼ばれる現象が起きます。だましとは、相場分析で予測した方向と逆の値動きをすることです。FXトレードで包み足を活用する際も「だまし」に注意しながら、冷静に売買のタイミングを見極めることが重要です。

例えば、包み足はトレンド転換のシグナルとして現れることが多いですが、必ずしもその通りに相場が動くわけではありません。

下降トレンド中に包み足が形成され、その後レジスタンスライン(高値同士を結んだ線のこと)を上抜けしたとします。一般的に、レジスタンスラインをブレイクした場合はトレンドが転換するとされているため、上昇トレンドになることを見越して買いエントリーをするでしょう。しかし、レジスタンスラインを超えたあとすぐに反転し、結果として損失を出してしまうといったことが往々にしてあります。

だましを回避するポイント

他のテクニカル分析で確認する

だましを回避するためには、包み足だけでなく、他のテクニカル分析を併用して、トレンドの強さや方向性を検証が大切です。1つの分析によるサインだけではなく他の分析でも同じ方向にシグナルが出現しているか確認しましょう。移動平均線やMACDなどのトレンド系の指標や、RSIやストキャスティクスなどのオシレーター系の指標を使うことで、分析の精度が上がりやすくなります。

【関連リンク】FXのテクニカル分析とは?代表的な6つの分析指標と注意点

トレードサインに飛び乗らない

他のトレーダーよりも早くトレードサインを察知できれば、その分得られる利益も大きくなります。しかし、焦ってエントリーし、シグナルがだましであった場合には損失を被ってしまうため、他のトレードサインも確認するなどして慎重にエントリーしましょう。

長期足で包み足が出現した時にエントリーする

包み足はトレンド転換のサインとなることがありますが、時間足によってその信頼性が異なります。短い時間足では、市場のノイズや偶発的な動きによって、包み足が形成されることも少なくありません。長い時間足で発生するほど、包み足の信頼性は高くなるので、長期足で包み足ができているのを確認してからエントリーしましょう。

【関連リンク】FXの取引で使われる4時間足とは?利用するメリットやデメリット

長期トレンドと同じ方向にブレイクアウトしたときのみエントリーする

ブレイクアウトとは、ローソク足が重要なレジスタンスライン(高値同士を結んだ線)やサポートライン(安値同士を結んだ線)を突破することです。長期のトレンドと同じ方向にブレイクアウトした場合は、相場の大きな流れが変わることを意味しています。そのため、その方向にエントリーすれば、トレンドが継続する可能性が高く、利益を出しやすくなるでしょう。

反対に、長期のトレンドと逆方向にブレイクアウトするケースは、相場の一時的な揺れや調整である可能性が高いと考えられます。そのため、だましにかかり損失を出さないように慎重にエントリーしましょう。

レンジ相場の時はエントリーしない

包み足は価格に方向性がなく、一定の値幅で上下する「レンジ相場」では機能しにくいとされています。上昇トレンドや下降トレンドが発生している局面以外では、包み足に注目してエントリーするのは避けたほうが無難です。

包み足はトレンド転換を示唆する指標

包み足は、FX取引で重要なローソク足のパターンの1つであり、トレンド転換のサインと受け止められます。一方、はらみ足は包み足ほど強いサインではありませんが、トレンド転換の可能性を示唆しているとことを覚えておきましょう。

高値圏での包み足は売りエントリーのサインとなり、安値圏での包み足は買いエントリーのサインと捉えます。だましを避けるため、他のテクニカル分析と組み合わせたり、長期足のトレンドを確認したりして、相場を冷静に分析してトレードのヒントにしましょう。

<監修者>

木村佳子

<プロフィール>

一級FP技能士(国家資格)。NPO法人 日本FP協会上級資格CFP。IFTA国際テクニカルアナリスト連盟最上位資格MFTA®の日本で最初の女性取得者。早稲田大学大学院ファイナンス研究科専門職MBAファイナンス修士。日本ベンチャー学会。日本IR学会。生活経済学会。消費者行動学会正会員。YouTube 「木村佳子チャンネル」で資産運用情報を発信中。

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