FXのpips(ピップス)とは?損益の計算方法や活用時の注意点をわかりやすく解説

2022/7/22
2024/6/6(更新)

FXについて調べているとよく目にする単語「pips(ピップス)」。FX初心者の方は「pipsって何のこと?」「1pipsは日本円でいくらなの?」と疑問に思うかもしれません。

pipsは、FX取引における通貨の値動きを表す共通の単位であり、損益の計算や取引結果の分析に役立つものです。FXの基本を身につける上では、pipsに関する知識は欠かせません。

本記事では、pipsが表す言葉の意味や、pipsを使った損益の計算方法、pipsを活用する上での注意点などを解説します。pipsの使い方を覚えれば、よりFXに対する知識が深まることでしょう。

そもそもFXとは?という方はこちらをご覧ください

FXのpips(ピップス)とは?

pipsとは、FXにおいてドル/円やユーロ/ポンドなど、通貨ペアの価格の変動幅を表す最小単位のことです。「percentage in point」の頭文字をとったpip(ピップ)の複数形がpipsで、読み方は「ピップス」です。

FXではドルやユーロなど単位の異なる通貨を取引します。例えば、ドル/円やユーロ/ポンドの価格が変動した際、「1ドル動いた」「1ユーロ動いた」といったように、それぞれの通貨で値幅を表すと、何に対してどのくらい変動したのかがわかりにくくなってしまいます。

そのため、どのくらい価格が変動しているのかを比較するために、各通貨ペアに共通の単位としてpipsが使われているのです。

1pipsはいくら?

1pipsは通貨ペアやFX会社によって異なる

1pipsの価値は取引する通貨ペアやFX会社によって異なります。米ドル/円、ユーロ/円、ポンド/円などの対円通貨ペアの場合は、0.01円(1銭)=1pipsと決められていることが一般的です。

例えば、米ドル/円のレートが「1ドル=145.156円」のときには、小数第2位の部分が1pipsに当たります。そのため、「1ドル=145.156円」のタイミングで1ドル分の買いポジションを保有したあと「1ドル=145.196円」になったときに決済をすると、4pips、つまり0.04円(4銭)の利益を獲得したことになります。

  • ポジションとは、新規で「買い」または「売り」の注文をしたあと、決済せずに保有している状態のことを指します。

円を含まない通貨ペアの場合

一方、ユーロ/ドルやポンド/ドルのような、円を含まない通貨ペアでは、0.0001(各国の通貨単位)=1pipsとされているのが一般的です。なお、米ドルを含む通貨ペアは「ドルストレート」と呼ばれます。

例えば、ユーロ/ドルが「1ユーロ=1.1189ドル」のときには、小数第4位の部分が1pipsに当たります。つまり、「1ユーロ=1.1189ドル」のタイミングで1ユーロ分の買いポジションを保有したあと「1ユーロ=1.1182ドル」のときに決済すると、7pips、つまり0.0007ドルの損失が発生したことになります。

また、同じ1pipsの値動きでも、取引する数量が多くなるほど実際の損益額は大きくなります。例えば、ドル/円(1pips = 0.01円)を1通貨(1ドル)取引して1pipsの損益が発生した場合、0.01円×1通貨=0.01円の損益です。1万通貨取引した場合は、0.01円×1万通貨=100円の損益となります。

取引する前には、対象となる通貨ペアの1pipsがいくらに相当するのか、そして自分の取引数量では1pipsあたりいくらの損益が発生するのかを、あらかじめ計算しておきましょう。

対円通貨ペアについて損益を計算する場合は、以下の表も参考にしてください。

取引通貨数/pips 5pips 10pips 50pips 100pips
100通貨 5円 10円 50円 100円
1,000通貨 50円 100円 500円 1,000円
1万通貨 500円 1,000円 5,000円 1万円
10万通貨 5,000円 1万円 5万円 10万円

pipsを使った損益の計算方法

pipsを使うことで、損益を算出することができます。損益は「獲得したpips(値幅)× 取引数量」で求められます。

例えば、1pips=0.01円(1銭)のFX会社で1,000通貨を取引するケースでは、1,000pipsを獲得すると、

1,000pips×0.01円×1,000通貨=1万円

の利益を得ます。1万通貨を取引した場合には、

1,000pips×0.01円×1万通貨=10万円

の利益となります。つまり、取引数量が多くなるほど、同じ値幅(pips)でも獲得できる利益は大きくなるのです。

pipsによる投資効率の算出方法

pipsを使うことにより、トレードの調子の良し悪しの判断や、投資効率の比較ができます。
例えば、1pips=0.01円の場合において、ドル/円が1ドル=145円のときにドルを買ったケースを考えてみましょう。

Aさんは1万ドルを購入し、145.50円のときに売った
Bさんは5万ドル購入し、145.10円のときに売った
このようなケースでは、利益は以下の通りです。

Aさんの利益は(145.50円-145円)×1万ドル=5,000円
Bさんの利益は(145.10円-145円)×5万ドル=5,000円
利益は同じ金額であるため、投資効率は両者とも同じようにみえます。

しかし、獲得した利幅には以下のような差があります。

Aさんは0.5円÷0.01円=50pips
Bさんは0.1円÷0.01円=10pips

AさんがBさんと同じ5万ドルを購入していた場合、5万ドル×50pips(0.5円)=2万5,000円の利益を獲得できていたことになり、AさんはBさんよりも効率の良い取引をしていたといえます。

FXではこのように、利幅、すなわち「獲得pips」を確認したほうが取引結果の良し悪しを正確に判断できることがあります。

pipsを活用するときの注意点

pipsはFX取引において便利な単位ですが、使い方を誤ると予期せぬ損失につながる可能性もあります。pipsを活用する際に注意しておきたいポイントを3つ解説します。

損切り設定で損失許容額を超えないようにする

pipsを損切りに活用する際は、許容できる損失額を超えてしまわないように注意しましょう。同じpips数でも取引数量によって実際の損失額(金額)は異なるため、pipsだけに着目していると、想定以上の損失を被ることになりかねません。

例えば、1pips=0.01円のときに損切り幅を100pipsに設定した場合、1,000通貨を取引すると、損失が100pips(1円)×1,000通貨=1,000円に達したときに損切りを実行します。

しかし、1万通貨を取引する場合、損切りを実行するのは、損失が100pips(1円)×1万通貨=1万円になったタイミングです。つまり、同じ損切り幅を設定していたとしても、取引数量によって損失額は大きく変わる可能性があります。

リスクを最小限に抑えるためにも、なるべく許容できる損失額から逆算して、損切り幅を設定するのが良いでしょう。もし「1回の取引での損失は最大5,000円まで」と決めているのであれば、1万通貨取引の場合、損切りラインは50pipsに設定しましょう。

【関連リンク】FXにおける損切りとは?目安やルール、損失を抑えるためのポイント

通貨ペアごとのpipsの定義の違いを確認する

pipsは通貨ペアの変動幅を表す「共通単位」ではありますが、その具体的な定義(1pipsがいくらに相当するか)は、通貨ペアによって異なります。 特に、小数点以下の桁数が違う場合が多いので注意が必要です。

前述のとおり、米ドル/円などの対円通貨ペアでは「0.01円 = 1pips」が一般的ですが、ユーロ/米ドルなどの円を含まない通貨ペアでは「0.0001(各国の通貨単位) = 1pips」が一般的です。
この定義の違いを正確に理解していないと、損益の計算を誤ったり、異なる通貨ペア間での値動きの大きさを正しく比較できなくなったりする可能性があります。

獲得pips数だけで取引の成否を判断しないようにする

トレード結果を振り返る際、「今回は+100pips獲得できたから良い取引だった」「-50pipsの損失だったから失敗だ」というように、獲得したpips数だけで取引の良し悪しを判断してしまいがちです。しかし、獲得pips数が多いことが、必ずしも良い取引とは限りません。

というのも、pipsはあくまで「値幅」を示す単位であり、実際の「損益額」は取引数量によって大きく左右されるからです。例えば、少ない取引数量で+100pips獲得するよりも、多い取引数量で+30pips獲得したほうが、実際の利益額は大きくなる場合があります。

また、一時的に多くのpipsを獲得できていたとしても、度々それを上回る損失を出している場合、効率の良い取引ができているとは言えないでしょう。pipsの獲得数だけに一喜一憂せず、冷静に取引内容を分析することをおすすめします。

実際の取引を通じてpipsの使い方に慣れていこう

「pips」は、FXにおいて使われる機会の多い用語の一つです。pipsの計算方法や考え方を理解することにより、異なる通貨ペアでも値動きを比較しやすくなります。

まずは実際のチャートを見ながら損益や投資効率をpipsで計算してみるなど、積極的にpipsに触れる機会を作り、使い方に慣れていきましょう。

そのうえで、損切りラインを決めるときや、トレード結果を客観的に振り返るときは、pipsだけでなく、必ず取引数量や実際の損益額をセットで考える習慣をつけることが大切です。

<監修者>

木村佳子

<プロフィール>

一級FP技能士(国家資格)。NPO法人 日本FP協会上級資格CFP。IFTA国際テクニカルアナリスト連盟最上位資格MFTA®の日本で最初の女性取得者。早稲田大学大学院ファイナンス研究科専門職MBAファイナンス修士。日本ベンチャー学会。日本IR学会。生活経済学会。消費者行動学会正会員。YouTube 「木村佳子チャンネル」で資産運用情報を発信中。

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