FXにおける逆張りとは?順張りとの違いや注意点を解説!

2022/6/24

FXには、価格のトレンドに応じた取引として、大きく分けて「逆張り」「順張り」と呼ばれる二つの取引方法があります。逆張りは、初心者にとって難しいと言われていますが、具体的にはどのような取引方法なのでしょうか。

本記事では逆張りのメリットやデメリット、実際に取引で用いる場合の注意点について解説します。これからFXを始めようとしている方は、逆張りで失敗しないために、基礎的な知識を身につけておきましょう。

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FXにおける逆張りとは?

相場の流れに逆らって売買を行うことを「逆張り(ぎゃくばり)」と言います。ここではFXにおける逆張りや順張りの特徴について説明します。

FX取引の逆張りとは、トレンドの流れに逆らって利益を狙う方法

FXにおける逆張りとは、相場のトレンド(方向性)と逆方向に振れることを期待してポジション(未決済で保有している通貨ペア)を持つ取引手法です。価格が上昇基調のときに「売り」注文を出して、下落基調が続いているときに「買い」注文を出します。

たとえば、1ドル=100円だった為替レートが、105円、110円と上昇してきたタイミングで価格が反転すると予測し、「売り」ポジションを持つことが逆張りです。

「最高値まで価格が上がったタイミングで売りポジションを持つ」「最安値まで下がったところで買いポジションを保有する」など、トレンドが終わるタイミングをつかんでポジションを保有できれば、短期間で大きな利益を狙うことができます。

逆張りのデメリットは、手法自体の難易度が高いという点です。相場の読みを誤れば、価格が反転せず「そのまま上がり続ける」「そのまま下がり続ける」リスクがあります。すなわち、高度で的確な相場観が求められるのです。

大勢とは反対方向へ進む一人の男性

順張りとは

順張りは、相場のトレンドに沿って取引を行う方法です。価格が上昇基調のときに「買い」注文を出して、下落基調が続いているときに「売り」注文を出します。たとえば、1ドル=100円の為替レートが、105円、110円と上がってきたタイミングで「買い」ポジションを持つことが順張りです。

順張りでエントリー(買いまたは売りの注文をすること)するのにおすすめのタイミングは、トレンドに強いとされるテクニカル分析がトレンドの転換を示した時や過去の高値や安値を更新した(ブレイクアウト)タイミングです。過去の高値や安値を更新するとトレンドができやすいと言われています。また、上昇トレンドの中で一時的に下がったときに「買い」のポジションを持つ、あるいは下降トレンドの中で一時的に上がったときに「売り」のポジションを持つのもよいでしょう。これらは「押し目買い」「戻り売り」と呼ばれます。

順張りのメリットは、値動きに沿って取引をするところにあります。というのも、一般的にトレンドは一度発生するとしばらく続く傾向があるためです。大きなトレンドが発生している場合には、長期間にわたって利益を伸ばせる可能性があります。

一方、相場が大きく変動し、トレンドが急に変わるシーンでの対応が難しいのがデメリットです。トレンドが切り替わるタイミングでエントリーしてしまうと、すぐ反転して逆方向に向かうため損失が出やすくなります。トレンドが発生すると予測したものの、予想に反してトレンドができなかった場合も同様です。また、順張りにこだわりすぎると、急激に価格が高騰あるいは下落した場合に対応がしづらくなります。

逆張りのポイントと注意点

逆張りで失敗しないためにはどのような点に気をつけるとよいのでしょうか。ここでは逆張りのポイントや注意点を説明します。

逆張りのポイント

逆張りで利益を出すためにはエントリーするポイントが重要です。例えば、要人の発言や重要な経済指標の結果発表時など、相場が動く可能性があるタイミングがエントリーポイントとして考えられます。なぜなら、瞬間的に短時間で大きく価格が変動した後に、元の価格に戻る可能性があるからです。経済指標などは事前の予想数値などが情報としてマーケットに出回るのですが、発表された数値が予想数値と大きく乖離する時などは相場が動きます。

しかし、その数字が一時的なもので大きなトレンドに影響がないと判断されると元の価格に戻ってくることがあるのです。そのため、価格が急激に動き、動き切ったタイミングでエントリーをし、価格が戻ってきた段階で決済し、利益を確定するといった取引の流れが考えられます。ただし、初心者の方にはそのタイミングなどは難しいということは忘れないでください。

レンジ相場における安値と高値で逆張りをするのも定番の手法です。レンジ相場では、レジスタンスラインと呼ばれる過去の高値を結んだラインと、サポートラインと呼ばれる過去の安値を結んだラインが多くの市場参加者によって意識されます。二つのラインに近づくにつれて買いや売りの注文が入る可能性が高くなるため、そのタイミングでポジションを保有する方法です。

たとえば、1ドル=105円がレジスタンスライン、1ドル=95円がサポートラインとなっているケースでは、1ドル=100円の為替レートが上昇を続け、レジスタンスラインに接近したときに元の適正レートに戻ると予測して、売り注文を出します。反対に、価格が下落し続け、サポートラインに接近したときには適正レートに向かって反発すると予測して買い注文を出します。

また、逆張りをする場合には素早く、こまめに利益確定することもポイントです。逆張りで建てたポジションと逆方向に相場が動いてトレンドが発生すると損失が出てしまいます。トレンドが継続すると損失が増え続けてしまう、或いはロスカットが続いてしまうため、ポジションの評価額がプラスのタイミングで早めに決済することは有効です。

逆張りの注意点

逆張りをするうえで重要なのは、感覚で取引をしないことです。根拠がないまま「相場が逆方向に動くはず」といった予測を立ててポジションを持つと、不用意に損失を広げてしまう可能性があります。トレンドが発生しているのかどうか、ポジションを持つのはどのタイミングがベストなのかについて、テクニカル分析やファンダメンタル分析などを用いながら把握しましょう。

【関連ページ】FXのテクニカル分析とは?代表的な6つの分析指標と注意点

逆張りは常に損失額が大きくなるリスクがあることを意識し、難しい状況だと感じたら早めに撤退するのも一つの手です。あらかじめ逆指値注文を入れておくのもよいでしょう。損をだしたくない一心で、含み損が出ても損切りしない結果、損失が膨らむ事態は避けたいものです。

FXの逆指値注文とは何ですか。(Q&A)

また、焦って「ナンピン」をしてしまうのも逆張りで失敗するパターンの一つです。ナンピンとは、保有しているポジションに対して逆方向に相場が動いた際に、さらにポジションを買い足すことで平均コストを下げる手法を指します。たとえば、1ドル=110円で買いポジションを1ドル保有したあと、1ドル=100円まで価格が下がったタイミングで買いポジションを1ドル追加すれば、平均取得単価は105円となります。この場合、最初にポジションを持ったときの110円ではなく、105円以上に価格が戻れば、利益を出すことができる状態となります。

しかし、ナンピンもあくまで価格が予測どおりに上下する場合に有効な手法です。ナンピン後に下げ止まる価格、そして戻り高値の水準などを当て続ける相場観が求められるという大変難しい作業であることは忘れないでください。読みを誤って含み損が増え続けると、ポジションを増やした分、損失が多くなり、ロスカットが発動する可能性も高まるでしょう。

FXチャートから落ちたナイフを掴む図

逆張りを活用するためにはリスクの理解が必要

本記事ではFXの取引手法の一つである逆張りについて、基本的な特徴やポイントを解説しました。

逆張りはトレンドが発生していない場面でも、短期間で利益が狙える取引手法です。しかし、相場の流れに沿ってポジションを持つ順張りと比べると、エントリーのタイミングを見極める必要があります。読みが外れた場合の損失も大きくなりやすいだけに、安易な予測ではなく根拠に基づいた取引が求められます。あらかじめ損切りラインを決めておくことは有効ですし、相場の状況に応じて、順張りと柔軟に使い分けることも重要です。

<監修者>

川口一晃

<プロフィール>

1986年銀行系証券会社に入社。銀行系投資顧問(現・三菱UFJ国際投信)や三洋投信で11年間ファンドマネージャーを務める。2004年10月に独立してオフィスKAZ代表取締役に就任。テレビ番組やラジオなどメディア出演は多数。現在、FMナック5「お金の世界の歩き方」でパーソナリティを務める。「SMAP×SMAP」では木村拓哉氏とも対談。著書も多数。また、テレビ朝日のドラマ「アイムホーム」をはじめ、フジテレビの月9のドラマの監修も担当。行動経済学学会会員。

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