FXの窓埋めとは?窓埋めトレードのやり方や注意点を解説

2023/10/27

FXのチャート上では、時折「窓」と呼ばれる現象が発生することがあります。「窓埋めトレード」を活用して利益を狙うトレーダーは多くいますが、具体的にどのような手法なのかよく知らない方も多いのではないでしょうか。

本記事ではFXにおける「窓埋め」や窓埋めトレードの具体的な方法などを詳しく解説します。利益を狙うチャンスを増やしたい人は参考にしてみてください。

そもそもFXとは?という方はこちらをご覧ください。

FXにおける窓埋めとは?

FXでの窓とは、為替レートが直近の水準から懸け離れることによって生じるチャート上の隙間のことで、ローソク足とローソク足の間が大きく開いた状態を指します。

「窓開け」と「窓埋め」の意味

外国為替市場では世界各地のマーケットで24時間常に取引が行われているため、基本的に終値(ある期間の取引において最後についた価格のこと)と始値(ある期間の取引において最初についた価格のこと)に大きな差が生じることはありません。

しかし、マーケットが閉まったあとに何らかの要因によって、チャートが大きく動き、連続したローソク足の間に大きな空間ができることがあります。これが「窓開け」と呼ばれる現象です。ローソク足が上方向に懸け離れている状態は「上窓」、ローソク足が下方向に懸け離れている状態は「下窓」と呼ばれます。窓開けは、月曜の朝の発生が多い傾向にあります。

窓埋めとは、窓を閉じるかのように、「窓開け」した方向と逆方向に価格が動いていく現象のことです。つまり、上窓ができている場合は価格が下落し、下窓ができている場合は価格が上昇します。週末金曜から週明け月曜の朝にかけて窓開けが発生した場合は、週末金曜の終値の水準まで価格が戻っていくのが特徴です。この値動きを狙って、窓が閉まる方向にエントリーする手法を「窓埋めトレード」と呼びます。

窓埋めは何かしらの要因で一方向に動いたものの、時間が経つにつれてマーケット参加者が冷静になることによって起こります。特に、値動きの原因が持続するものではなく、一過性の現象であると判断された場合には窓が埋まりやすい傾向にあります。

窓開けが起こる理由

FXでは土日の間は取引ができませんが、注文を出すことが可能です。市場が閉まっている間に、何らかの要因で買い、または売りどちらか一方の注文が蓄積されると、市場が開いたときに一度に処理されることになります。その結果、価格が急激に変動し、週末の終値と月曜の始値に大きなギャップができ、窓開けが起こる可能性があります。

窓開けの要因は2つ考えられます。1つ目は、戦争・紛争・テロ、天災のような突発的な事象や、政治情勢の変化・要人発言・経済指標発表などにより、需給バランスが大きく崩れることです。

2つ目は、一部の国での取引です。ロンドン市場や東京市場、ニューヨーク市場など世界の大半の市場は土日が休みとなっているため、基本的に土日はFXの取引ができません。しかし、一部の国では土日にも外国為替取引が行われているため、為替レート自体は常に動き続けています。そこでの取引の結果が月曜日の朝に反映され、価格が急激に変動しているように見える、つまり「窓開け」が起こることもあるのです。

FXの窓埋めトレードのやり方

窓埋めトレードとは、月曜日の朝に発生しやすい「窓」を利用したトレード手法のことです。基本的には窓と逆方向にエントリーすることで、利益を得られると言われています。

Step1.窓が開いているかチェックする

まずは月曜日の朝早くにチャートを確認し、窓が開いているかどうかを確認しましょう。前週の終値と月曜の始値に大きな差が生じていれば、窓が開いている状態です。利用しているFX会社の取引開始時間に合わせてチャートをチェックしましょう。

Step2.窓の状況に応じてエントリーを行う

窓が開いている場合は、窓が開いた方向とは逆方向にエントリーするのが一般的です。窓が上方向に開いているなら、値動きが下に動くと予想して売り注文、下方向に開いているなら値動きが上に動くと予想して買い注文を入れる、というイメージです。

しかし、窓が開いた瞬間にエントリーすると、窓が開いた方向に値動きを続けて含み損を抱える可能性もあるので注意が必要です。窓が埋まる方向にローソク足のひげが伸びたのを確認してからポジションをもつことも選択肢の一つです。

Step3.窓が埋まるまで待って利益確定する

窓がある程度埋まったら、反対売買をして利益を確定しましょう。窓が埋まりきるのを待っていると、相場が反転してしまう可能性もあるため、一般的には窓の半分程度の値幅が戻ったタイミングで利益を確定することが多くなっています。

窓埋めトレードは高確率で利益が取れると言われていますが、必ずしも窓が埋まるわけではない点には注意が必要です。窓がなかなか埋まらない場合は、事前に決めた基準に従って損切りをしましょう。損切りとは、損失を出すことを覚悟して決済し、損失を最小限に留めることです。

【関連ページ】FXにおける損切りとは?目安やルール、損失を抑えるためのポイント

FXの窓埋めトレードを行うときの注意点

一般的に窓開けした相場が窓埋めする確率は8割程度で、利益を狙いやすいといわれています。しかし窓埋めだけを頼りにしていると思わぬ損失を被ることもあるため、注意が必要です。

数少ないトレードのチャンス

窓開けは頻繁に起こるものではなく、窓埋めトレードができるチャンスは「週明け月曜日の早朝」に訪れることがほとんどです。トレードのチャンスを逃さないように注意しましょう。

なお、窓埋めでエントリーした場合、東京市場がオープンする8〜9時頃までにポジションを決済しておくことをおすすめします。それ以降は、窓埋め以外の要因によって価格が大きく変動する可能性もあるからです。窓が埋まりきるまで放置していると、思わぬ形で損失を出してしまう可能性があります。

窓が埋まるとは限らない

窓が開いた場合、高確率で窓埋めが発生するとされているものの、窓がいつ埋まるかまでは予測できません。窓が開いた当日中に埋まることもあれば、1週間経っても埋まらないこともあります。

例えば経済指標の発表が原因で窓開けが発生した場合、その発表がさほど重要度の高いものではなく、トレーダーがすぐに落ち着きを取り戻した場合には窓埋めが起こりやすいでしょう。反対に、景気動向に大きな影響を与えるような発表があった場合には、大きなトレンドが発生し、窓が埋まらないまま値動きを続けるケースも考えられるのです。

窓がなかなか埋まらない、もしくは反転しそうな値動きが見られたら、欲張らずに利食いするのも一つの手です。

また「窓はいつか埋まる」と放置していると、逆行して損失が広がる可能性もあります。ロスカットが発動してしまう可能性もあるため、あらかじめ損切りラインを設定しておきましょう。手動では目の前の値動きに惑わされてなかなか損切りできないケースも少なくありません。新規注文と逆指値注文をセットで予約しておくのも視野に入れておくと良いでしょう。

ほかの分析手法と組み合わせる

「窓は埋まる」といった、漠然とした根拠のみでエントリーするのは避けた方が良いでしょう。窓開けが起きた理由を分析したり、ほかの分析手法と組み合わせたりすることで、勝率の高いトレードを実現できるかもしれません。

窓埋めトレードをするときに、トレンドラインを引いてエントリーポイントや利確ポイントを見極めるのも一つの方法です。例えば下窓を開けた価格帯にサポートラインが引かれている場合、買い圧力が強くなるので窓埋めが起こりやすくなる、と判断できるでしょう。

また、エントリーする前に長期足のトレンドを把握しておくのも有効です。例えば下窓ができた状態で窓埋めトレードを仕掛ける場合、長期足が強い上昇トレンドを示していれば、順張りとなるため、比較的リスクの低い取引ができるでしょう。

窓埋めを正しく理解してトレードに活用しよう

窓開けは月曜の早朝に発生しやすいと言われています。窓開けを狙った窓埋めトレードは、FXの世界でよく用いられている手法です。窓を開けた方向と反対方向にエントリーするだけなので、一見取り組みやすく見えますが、安易にエントリーすると思うような利益を得られないばかりか、損失を被る可能性もある点に注意しましょう。窓埋めだけを根拠にするのではなく、ほかのテクニカル指標や窓開けの要因などを分析した上で、適切なエントリーポイントを探ることが大切です。

【関連ページ】FXのテクニカル分析とは?代表的な6つの分析指標と注意点

<監修者>

川口一晃

<プロフィール>

1986年銀行系証券会社に入社。銀行系投資顧問(現・三菱UFJ国際投信)や三洋投信で11年間ファンドマネージャーを務める。2004年10月に独立してオフィスKAZ 代表取締役に就任。テレビ番組やラジオなどメディア出演は多数。現在、FMナック5「お金の世界の歩き方」でパーソナリティを務める。「SMAP×SMAP」では木村拓哉氏とも対談。著書も多数。また、テレビ朝日のドラマ「アイムホーム」をはじめ、フジテレビの月9のドラマの監修も担当。行動経済学学会会員。

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