スワップポイントとは?運用するときのポイントと注意点を解説!

2022/8/12

FXは、為替相場を予測しながら、異なる国の通貨を売買することにより利益を狙う取引ですが、通貨の売買以外にも利益を得る方法があります。それが「スワップポイント」です。スワップポイントについて理解すると、デイトレードなど短期的な投資の手段だけではないFXの活用方法が見えてくることでしょう。

本記事ではスワップポイントの定義や仕組み、注意点などを解説しています。

そもそもFXとは?という方はこちらをご覧ください

FXのスワップポイントとは?

まずスワップポイントとは何か、どのような仕組みで成り立っているのかについて解説していきます。

スワップポイントとは2国間の金利差によって発生する利益

スワップポイントとは、FXの取引で売買する2国間の通貨の金利差のことで、「金利差調整分」とも呼ばれます。通貨の売買をするときには、売った外貨の金利を支払い、買った外貨の金利を受け取ります。通貨ごとに金利が異なるため、金利に差分が発生することがあります。これがスワップポイントです。

スワップポイントを理解するためには、外貨預金をイメージしてみるとわかりやすいでしょう。たとえば、日本円よりも米ドルの金利が高いとき、米ドルで預金をして金利を得た後に、円に払い戻すことで、結果的に低金利の日本円で預金をしていた場合よりも高い金利を得ることができます。

低金利の通貨を売って、高金利の通貨を買うと、金利差分の利益を得る、つまりスワップポイントを受け取ることになります。反対に、低金利の通貨を買って、高金利の通貨を売ると、金利差分の損失が発生し、すなわちスワップポイントを支払うことになります。

スワップポイントの水準は、FX会社ごとに異なります。FX会社は各国の政策金利や市場動向を踏まえて、通貨ペアごとにスワップポイントを決めています。

スキャルピングやデイトレードといった、1日のうちで取引が完結するような取引方法によってFXを短期投資に活用する投資家がいる一方、ほぼ毎営業日付与されるというスワップポイントの長所を生かし、長期投資の手段としてFXを活用する投資家もいます。

上昇するチャートを見つめる男性

スワップポイントを狙うメリット

通貨ペアの金利差がプラスになっていれば、ポジションを持ち続けるだけでほぼ毎営業日利益を得られるのがスワップポイントを狙うメリットです。

たとえば松井証券を例に取れば米ドル/円において、1万ドルを買うと70円のスワップポイントが受け取れます。反対に、1万ドルを売ると114円のスワップポイントを支払うことになります(2022年8月1日時点)

通貨の売買で利益を得るためには、為替相場を予測し、通貨が安い時に買いポジションを建てて価格が上がったタイミングで決済する、あるいは通貨が高い時に売りポジションを建てて、価格が下がったタイミングで決済する必要があります。

しかし、仮に金利差がプラスのままであれば、スワップポイントが得られるため、売買を頻繁に行わなくても継続的に利益を蓄積していくことができます。

  • ポジションとは、新規で「買い」または「売り」の注文をしたあと、決済せずに保有している状態のことを指します。ポジションを持ち続けている場合、為替の変動によって損失が生じる場合があります。
  • スワップポイントは発生日にポジションを保有し、翌営業日に持ち越すことで発生します。

スワップポイントの高い通貨ペア

取引する通貨ペアによって金利差に違いがあるため、得られる(支払う)スワップポイントも異なります。一般的にスワップポイントが高い通貨ペアは、トルコやメキシコ、南アフリカといった政策金利の高い新興国の通貨と日本円の組み合わせです。日本の政策金利は2022年6月時点で-0.1%となっているため、これらの通貨と日本円の通貨ペアにおいては、スワップポイントが高くなると考えられます。

通貨 政策金利
トルコ(リラ) 14.00%
メキシコ(ペソ) 7.75%
南アフリカ(ランド) 5.50%

出所:松井証券マーケットラボ(2022年8月8日調査時点)

スワップポイントは各国の金利情勢により変動します。松井証券 FXでは、これまでに付与されたスワップポイントの履歴を確認することが可能です。

【関連リンク】松井証券 FX スワップポイント一覧

スワップポイント活用のポイントと注意点

スワップポイントに着目して利益を得るためには、通貨ペアの種類やスプレッド、レバレッジなどの要素に注意を払う必要があります。具体的なポイントや注意点を見ていきましょう。

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スワップポイントを活用するためのポイント

FXには、レバレッジと呼ばれる少額の資金で大きな金額を取引できる仕組みがあります。手元の資金に対して大きな利益を期待できるのがレバレッジの魅力です。しかし、大きなリターンを狙うあまり、レバレッジを高く設定して取引量を増やすと、損失も大きくなる可能性があります。損失が一定の水準に達すると、全てのポジションが強制決済される「ロスカット」が実行される場合もあります。

スワップポイントで得られるインカムゲインと為替変動による損失額を比較すると為替変動リスクの方が大きいと言えます。
したがって、スワップポイント狙いの投資をする場合には、長期的な視点に立って価格水準を調べる必要があり、例えば米ドルの外貨預金をする際に、円安に向かう時期に預金を行うのが良いとされるのと同じ理屈です。

スワップポイントで利益を積み重ねていくためには、ポジションを保有し続けなければいけません。スワップポイントを運用する上では、ポジションを手放すことになるロスカットを防ぐために、なるべく低いレバレッジを心がけた方が無難でしょう。

また、投資する通貨ペアを分散させることも重要です。スワップポイントが得られるからといって、為替が変動するリスクが避けられるわけではありません。場合によっては、スワップポイント以上の為替差損が発生することもあるでしょう。とくに、通貨の金利が高い国は、政治や経済の情勢が不安定なケースも多いため、相場が急激に変動する可能性も十分にあります。複数の通貨に分散投資をしておくことで、相場が予測と反対方向に大きく変動したときに発生する損失を緩和することが期待できます。

チャートを見て何かを発見した男性

スワップポイントの注意点

スワップポイントはポジションを翌日まで持ち越す(ロールオーバー)ことで発生します。スキャルピングやデイトレードのような取引手法では、原則として当日中に決済することになるため、スワップポイントが付与されません。

スワップポイントを支払う「マイナススワップ」にも気を付けましょう。スワップポイントの高い通貨ペアで売りポジションを保有すると、スワップポイントを負担することになります。ポジションを保有し始めた当初はスワップポイントがプラスだったとしても、経済情勢や金融政策の方針次第では金利差が縮小し、スワップポイントがマイナスに転じることもあります。スワップポイントは日々変動しているため、こまめにチェックすることが大切です。

スワップポイントは為替差益と同様に課税対象となります。課税対象となるタイミングは、基本的に個人口座の場合、ポジションを決済して実際に受け取った時点です。スワップポイント単体に課税されるわけではなく、スワップポイントと為替差益の合計から必要経費を引いた「FXの利益」に対して課税されます。

スワップポイントを狙う場合にはリスク管理にも目を向けよう

スワップポイントを狙った取引では、頻繁に通貨の売買をしなくても、着実に利益を積み重ねられる可能性があります。基本的には細かくチャートを分析する必要がないため、FXの取引経験が少ない場合でも、比較的取り組みやすい手法といえるでしょう。

しかし、スワップポイントの高い通貨ペアに投資すると、為替変動の影響を大きく受ける可能性もあります。せっかくスワップポイントで得た利益を失うことのないよう、レバレッジやスプレッドなどに注意を払いながら取引をすることが重要です。

<監修者>

川口一晃

<プロフィール>

1986年銀行系証券会社に入社。銀行系投資顧問(現・三菱UFJ国際投信)や三洋投信で11年間ファンドマネージャーを務める。2004年10月に独立してオフィスKAZ代表取締役に就任。テレビ番組やラジオなどメディア出演は多数。現在、FMナック5「お金の世界の歩き方」でパーソナリティを務める。「SMAP×SMAP」では木村拓哉氏とも対談。著書も多数。また、テレビ朝日のドラマ「アイムホーム」をはじめ、フジテレビの月9のドラマの監修も担当。行動経済学学会会員。

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