FXはやめとけと言われる理由は?FXに向いていない人の特徴とは?
2022/9/2
FXに関して「危険」「やめとけ」といったネガティブな言葉を目にしたことがある人は多いでしょう。一方で「FXは投資初心者に向いている」といった意見もあります。なぜこんなにも意見が分かれるのでしょうか。
実際のところFXは、リスクに対する正しい理解・知識を持っていれば、リターン(利益)を狙うことができる投資です。本記事ではFXはやめとけと言われる理由や、FXに向いていない人の特徴を解説します。
FXはやめとけと言われる4つの理由とリスクの回避法
「FXはやめとけ」という人の多くはFXのことを正しく理解できていないと考えられます。正しい知識を身につければFXにおけるリスクを回避することは可能です。
FXはやめとけと言われる理由
ギャンブル、投機だから
FXにネガティブなイメージを持つ人は「少ない資金で多額の外貨取引ができるFXの仕組み」に対し「一か八かの賭け事」という印象を持ち「そんなうまい話はない」と断定する傾向があります。そのため、「やめとけ」と言われるわけです。
確かにFXでは少額資金を生かして取引しますが、必ずしもギャンブルとイコールではありません。FXは額の多い少ないはともかく、基本は外貨取引です。外貨は国内外の経済環境や国際的な観点から外貨を買いたい人売りたい人の需給で価格が形成されていきます。
加えてFXでは、実需以外に売り買いの各ポジションに必要となる各自の証拠金に応じて「ロスカット」がかかってしまう仕組みがあります。FXのようなレバレッジ取引では、このロスカットを狙ってトレードが仕掛けられることがよくあります。ポジションを持つ立場ではロスカットで証拠金そのものを消失してしまうのを避けようと売買が活発になるのです。
FXを持続可能な資産運用の手段にしていくためには経済環境に対する知識を磨くこととロスカットにならないよう実践から経験を積み、学んでいくことが大切です。「ギャンブル」「投機的」だから「やめとけ」という意見には、「外貨の動きに対する研究と経験値の積み上げ、無謀な取引による証拠金消失をしないように備えれば、大丈夫」と返すことができます。
精神的に疲れるから
FXの市場は世界各国で開かれており、昼夜問わず取引が活発に行われています。土日を除き基本的に24時間取引が可能です。この点は、売買できる時間が9時から15時に限られる株式取引(東京証券取引所の場合)とは異なります。
このため、自分の都合のよい時間に取引ができるというメリットがある反面、就寝中に重要指標の発表を受けて価格が大きく変動することも少なくありません。ポジションを持ち続けている限り常に価格変動のリスクにさらされますので、精神的に大きな負担がかかることもあるでしょう。
しかし、例えば「24時間のうち、自分が最も落ち着いて取引できる時間」を定めて、デイトレードに徹し、多額のポジションを持ち越さないというルールをしっかり守ることで、メンタルコントロールができるようになっていくでしょう。
- ポジションとは、新規で買い注文または売り注文をし、決済せずに保有している通貨のことを指します。
デイトレードでは数十分から数時間ポジションを保有し、その日のうちに売買を終えるため、基本的に日をまたいで価格が変動するリスクを考慮する必要がありません。1日ごとに利益や損失を確定していくことができるため、精神的な負担を和らげることができるでしょう。
【関連ページ】FXのデイトレードとは?短期間で売買するメリットや注意点を解説!
ハイレバレッジが危険で大損するから
レバレッジとはてこの原理のことで、FXにおいては少ない資金でより大きな金額の取引を行うことができる仕組みを指します。「FXはやめておいたほうがよい」と考えている人の中には「レバレッジ=危ない」という認識の人もいるようです。
たしかにレバレッジを高くし過ぎると、少しの値動きでロスカットが執行され、損失が発生するリスクがあります。
- ロスカットとは、証拠金維持率が一定水準を下回った場合に、保有するすべてのポジションが強制決済される仕組みことです。証拠金維持率とは、必要証拠金に対する純資産の割合のことを指します。
しかし、ロスカットは本来、損失を一定の範囲内に収めるために、預け入れた証拠金以上に損失が膨らむような深刻な事態からトレーダーを守るための機能です。レバレッジを低く抑えることで、証拠金維持率を高く保ち、ロスカットされる可能性を下げるなど、正しく理解すれば、必要以上にロスカットを恐れる必要はありません。
勉強することが多いから
FXで安定して利益を上げられるようになるためには、専門用語や取引手法、チャートの分析方法などの勉強が必要です。勉強時間を確保しなければならないため、副業感覚でやろうとしている人にとっては労力が大きく感じられるでしょう。
しかし、勉強しないと物事がうまくいかないのはFXに限りません。FX初心者が楽をして稼ぐ方法はないと心得たうえで、少額の取引から徐々に経験を積んでいくことが重要です。
FXのリスク回避法
余裕資金で行う
生活資金や、近い将来に必要になるお金でトレードをするのは避けたほうがよいでしょう。生活資金を投資してしまうと精神的に余裕がなくなり、トレードの判断を誤るおそれがあります。損失が出た場合には、負けた分を取り戻そうとして大損するといった悪循環に陥ることは避けなければいけません。
余裕資金でトレードをすれば、万が一大きな損失が発生したとしても、生活への影響を抑えることができますし、正しい判断をして利益を上げる機会を逃さないためにも重要なことです。
なお、松井証券では、1通貨単位の少額から取引可能で、余裕資金の範囲内で無理なく始められます。
珍しい通貨ペアには取引に慣れてから
トルコリラ(TRY)、南アフリカランド(ZAR)、メキシコペソ(MXN)といったマイナー通貨を含む通貨ペアの取引は、FXの取引に慣れてきてからがよいでしょう。
そうした通貨ペアは、短期間に大きな為替差益を得られる、多くのスワップポイントが得やすいといったメリットがある一方で、市場での取引量が少なく、大きな価格変動が起きやすいという特徴があります。
FX初心者には、取引量が多く、売買の成立のしやすさを表す「流動性」が高い「米ドル/円」のトレードがおすすめです。
自分の損切り・利確ルールを厳守する
「損切り」とは、自らポジションを決済し、損失を確定させることを指します。反対に、自らポジションを決済して、利益を確定させるのが「利確」です。
損切りや利確のタイミングを判断するのはFXの上級者でも難しいといわれています。感情に流されてしまって、タイミングを逃してしまい、その結果、損失を大きく広げてしまうこともあるでしょう。
損切りや利確は、機械的に淡々と行うのが理想です。トレードをする前に、自分なりの損切りや利確のルールを設定しておくとよいでしょう。
FXに向いている人と向いていない人の特徴
ここではFXに向いている人と向いていない人の特徴を解説します。現時点でFXに不向きとされる人でも、弱点を克服すれば、利益を狙うことは可能です。
FXに向いている人の特徴
コツコツと勉強を続けられる
継続的に勉強ができる人はFXに向いているといえます。FXの相場は社会情勢や経済状況の影響を受けて変動します。過去に有効だった取引手法が必ず通用するとは限らないため、常に最新の情報を分析することが重要です。
FXを始めたばかりのときは、トレードに失敗することもあるでしょう。失敗から学べるかどうかも、FXでの成功を左右するといえます。
一発逆転のギャンブルをしない
初めから大きな資金で取引を開始するのではなく、経験を積み重ねながら自分の得意、不得意な相場状況等を見つけながら長く続けることが重要です。
一発逆転のギャンブルをせず、コツコツと利益を積み重ねていける人や、ローリスクローリターンの取引も選択できる人はFXに向いていると言えます。
感情のコントロールができる
FXでは、冷静な判断のもと取引することが必要不可欠です。感情がコントロールできれば、一定の取引ルールに基づいてトレードできるため、利益を積み重ねやすい傾向にあります。保有しているポジションに必要以上に執着しにくく、損切りや利確もスムーズに行うことができるでしょう。
FXに向いていない人の特徴
FXで一攫千金を狙っている人
FXではレバレッジを最大25倍かけられるため、少ない資金で大きな利益を狙うことができます。しかし、実際に大きな利益を得られるのはほんの一握りの人だけだと考えたほうがよいでしょう。一獲千金を狙って大きなレバレッジをかけ、相場が予測と反対方向に動いた場合、短期間で多くの資金を失ってしまう可能性があります。損失が拡大し、投資する資金がなくなれば、FX自体を継続できなくなることもあり得ます。
1回も負けずに利益を出し続けたい人
FXではプロのトレーダーであっても、1回も負けずに勝ち続けることは不可能に近いとされています。FXで利益を得ているのは、勝ち負けを繰り返しながら、トータルの収支がプラスになっている人達です。適切な損切りによって損失を最小限に抑えるのが、FXで勝つためのコツといえるでしょう。
借金をしてでも利益を出そうと考えている人
FXに限らず、投資は余裕資金で行うべきだといえます。借金をしてまで利益を出そうとする人は、ハイレバレッジのトレードによる一発逆転を狙いがちです。一時的に利益が出せたとしても、最終的にはよい結果とならない可能性が考えられます。また借金返済を急ぐあまり、トレードを焦ってしまうことも予測されます。
感情的になりやすい人
感情的になりやすい人は、自分で決めたトレードルールを守れなくなってしまうため、FXに向いていないかもしれません。
利益を出しているときにさらなる利益を期待して利確タイミングを逃す、損失が出ているときには根拠なくポジションを持ち続け、損切りができない、といったことを繰り返して、なかなか成果を出せないことがあります。
FXはやめとけと言われることがあるが正しい知識を身につけることで対処可能
本記事では、FXはやめとけと言われる理由やリスクの回避方法などを解説しました。
FXについて正しく理解していない場合「やめておいたほうがよい」という結論になりやすいといえます。FXは投資のため、当然リスクはありますが、正しい知識があれば対処できるものばかりです。余裕資金で取引を行うことや、レバレッジをかけすぎないことなどに注意を払えば、失敗を過度に恐れる必要はありません。
FXには向き不向きがあるものの、取引の仕組みやトレード手法を正しく理解すれば利益を狙うことができます。
これからFXを始める人は、基礎知識を身につけたうえで、まずはデモトレードや少額での取引から始めてみましょう。
<監修者>
木村佳子
<プロフィール>
一級FP技能士(国家資格)。NPO法人 日本FP協会上級資格CFP。IFTA国際テクニカルアナリスト連盟最上位資格MFTA®の日本で最初の女性取得者。早稲田大学大学院ファイナンス研究科専門職MBAファイナンス修士。日本ベンチャー学会。日本IR学会。生活経済学会。消費者行動学会正会員。YouTube 「木村佳子チャンネル」で資産運用情報を発信中。