ドルコスト平均法とは?メリットやデメリット、投資のポイント
2024/1/11
ドルコスト平均法は、資産運用におけるリスクを抑える方法として知られています。積立投資について情報収集している人なら、一度は聞いたことがあるはずです。しかし、具体的なメリットや投資手法について良く理解していない人も多いのではないでしょうか。本当にデメリットがないのかも気になるところでしょう。本記事ではドルコスト平均法の概要やメリット・デメリット、活用する際のポイントなどを解説します。
ドルコスト平均法とは
ドルコスト平均法は、積立投資でとくによく使われる手法の1つです。どんな場面で活用できるのか、一括投資と何が違うのかなど、基本的な部分から理解していきましょう。
ドルコスト平均法は積立投資の手法の1つ
ドルコスト平均法は、価格が変動する金融商品を定期的に一定金額ずつ購入していく、積立投資の手法の1つです。定期的に一定量を購入する「定量購入法」に対して、ドルコスト平均法は「定額購入法」と呼ばれることがあります。
購入金額を一定にすると、投資対象の価格が値下がりしたときは購入数量が増え、逆に価格が上がったときは購入数量が減ります。つまり、値下がりしているときはたくさん買い、値上がりしているときは少なく買うことになるので、平均購入価格が平準化されていき価格変動のリスクを抑えられる仕組みになっているのです。投資期間が長くなるほど価格が平準化されていき、価格変動のリスクを緩和する効果が強くなります。
ドルコスト平均法の主な投資対象
投資信託
投資信託とは、投資家から集めた資金を、運用のプロであるファンドマネージャーが株式や債券などで運用し、成果を投資家に還元する金融商品です。投資信託も組み込んでいる商品の値動きによって基準価額が変動するため、ドルコスト平均法の活用でリスクを緩和できる傾向があります。
投資信託は、一般的に金額指定または口数指定で購入でき、松井証券では100円から購入できます。また、非課税期間が無期限となった新NISAのつみたて投資枠を活用すれば、ドルコスト平均法を用いて長期間の運用を続けることで、リスクを抑えながら非課税のメリットを活かした運用ができます。
株式
株式とは、株式会社が資金調達をするために発行する有価証券のことです。株式は基本的に限られた数しか発行されないため、需給バランスによって価格が上下に変動します。ドルコスト平均法は価格変動のリスクを和らげるのに役立つでしょう。ただし、投資信託と違って、株式は基本的に100株=1単元といった売買単位で取引されることから最低取引金額が比較的大きくなるため、投資資金に応じて銘柄を選ぶと良いでしょう。
FX (外国為替証拠金取引)
FXは異なる国の通貨を売買し利益を得る取引のことで、ドル/円やユーロ/ドルといった通貨ペアごとに為替レートが異なり、外国為替市場で24時間取引されています。米ドルを日本円で購入する場合にドルコスト平均法を活用すると、円高のときには米ドルが多く購入でき、円安のときには米ドルを少なく購入することができます。
FXの最小取引単位は、FX会社や通貨ペアによっても異なりますが、松井証券では1通貨単位から取引できるため、1米ドル=130円の場合は130円程度から取引をスタートできます。
ドルコスト平均法と一括投資の違い
一括投資とは、一度にまとまった金額を投資して、金融商品を購入する方法です。急激な価格変動が起こり、投資のチャンスだと判断された時や相場が右肩上がりで推移している場合、投資元本が大きい分、一括投資の方がドルコスト平均法よりも短期間で大きな利益を狙える可能性があります。
ただし、一括投資は投入した全額が相場変動の影響を受けるため、投資した時点よりから価格が下がると、大きな損失につながるリスクもあることがデメリットです。一方、ドルコスト平均法の場合は、価格が下落したタイミングでも少額の投資を続けることで、下落した価格が元の水準に戻らなくても、最終的には利益を得られる可能性があります。
ドルコスト平均法のメリットとデメリット
ドルコスト平均法は長期的に投資を行う際に役立つ手法です。ただし、投資家の経験値や相場状況によっては、プラスに働かないこともあります。
ドルコスト平均法のメリット
まとまった資金がなくても少額から始められる
ドルコスト平均法なら、まとまった資金が無くても少額から始められます。例えば10万円を運用する場合、一括投資であれば一度に10万円を用意する必要がありますが、ドルコスト平均法なら「毎月1万円ずつ10回」のように、無理のないペースで投資できる点がメリットです。
日々の値動きに悩まされにくい
金融商品に投資をする際は、一度にまとまった資金を用意して、なるべく安いタイミングで買い、高くなってから売ることで利益の最大化を狙うことは1つの方法です。しかし、投資に慣れていない場合は、売買のタイミングを掴むことが難しく、高値で購入してしまったり(高値掴み)、急な価格変動を目の当たりにして慌てて売却してしまったり(狼狽売り)するケースが珍しくありません。結果として、思うような利益を得られないこともあります。
一方、ドルコスト平均法なら、投資期間の途中で価格変動がおきても、一喜一憂せずに済みます。ドルコスト平均法において価格の下落は安い価格で多く購入できることにつながり、価格が上昇したときは自動的に購入量が少なくなるため、高値掴みをするリスクが抑えられます。一括投資と比べて精神的な負担が少ない投資手法ともいえるでしょう。
売買のタイミングを細かく見極める必要がないため、チャートをこまめに確認する時間が取れない人でも取り組みやすい手法となります。
ドルコスト平均法のデメリット
短期投資には向いていない
積立の期間が短い場合、ドルコスト平均法による効果を得られない可能性があります。例えば、ある金融商品をドルコスト平均法で毎月1万円ずつ購入するとしましょう。1ヶ月目は価格が2,000円で5単位購入、2ヶ月目は5,000円で2単位購入、3ヶ月目は1,000円で10単位購入した場合、3ヶ月間で購入したのは17単位です。この時点での評価額は17口×1,000円=17,000円となり、投資額の3万円を下回っています。つまり、ドルコスト平均法を実践したとしても、投資期間が短い場合は、価格変動の影響を抑えきれないことがあるのです。
相場の動向によっては損失につながるおそれがある
ドルコスト平均法はどんな相場でも通用する、万能な方法ではありません。例えば、長期的に価格が下落を続ける金融資産にドルコスト平均法で投資した場合、相場が好転し価格が上昇し始めると効果がでてくるのですが、価格が下がり続ける間は、利益が出ない状態となります。反対に、価格が右肩上がりで上昇が継続していても、想定していた運用期間の終盤に急激な価格の下落が発生した場合には、損失につながってしまいます。ドルコスト平均法は、価格変動のリスクを抑えることができても、必ず利益がでるというものではありません。
ドルコスト平均法を用いて投資を行うときのポイント
無理なく継続できる仕組みを作り、最終的なゴールをあらかじめ決めておくことで、ドルコスト平均法を効果的に活用できるようになります。
自動積立サービスを利用する
一定間隔で定額の購入を続けることこそが、ドルコスト平均法のポイントです。そのため、購入するのを忘れてしまったり、相場状況をみて途中でやめてしまったりすると、十分な効果を得られない可能性があります。感情に左右されて積立を継続できなくなるリスクを防ぐためにも、なるべく金融機関の自動積立ができるサービスを利用しましょう。松井証券では、誰でも簡単に資産運用を始められる、ロボアドバイザー「投信工房」を提供しています。
長期的な投資プランを立てる
基本的にドルコスト平均法は長期間続けるほど、購入価格が平準化されていく手法なので、短期的な値動きに敏感に反応する必要はありません。例えば少し利益や損失が出たからといって売却すると、思うような成果を得られないでしょう。ドルコスト平均法に取り組む際は、長期的な目線で投資をするのが大切です。
しかし、相場状況によっては良い結果を得られないこともあります。定期的に運用状況を確認し、必要に応じて運用方針の変更を行う判断は必要です。
積立を終わらせるタイミングを決めておく
投資は、やめるタイミングによって最終的な損益が確定します。どんなに長く積立投資を継続していたとしても、売却時の価格によっては損失を出してしまう可能性もゼロではありません。
漫然と投資を続けていると、終了するタイミングを見失ってしまうこともあります。事前に投資期間や目標額を決めておき、達成したらやめるといったように終わらせるタイミングを決めておきましょう。
投資初心者はドルコスト平均法の恩恵を受けやすい積立投資からはじめよう
ドルコスト平均法は購入タイミングを分散することで、投資における価格変動リスクを緩和する手法です。投資期間が長期にわたるほど効果を発揮しやすいため「時間を味方につける投資手法」ともいえるでしょう。
積立投資ならドルコスト平均法の恩恵を受けやすく、無理のない金額から始められます。非課税期間が無期限となった新NISAのつみたて投資枠の活用も検討してみると良いでしょう。松井証券では、毎月100円から投資信託の積立ができ、取引手数料もかからないため、リスクを抑えて投資を始めたい初心者の方はぜひ検討してみてください。
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<監修者>
木村佳子
<プロフィール>
一級FP技能士(国家資格)。NPO法人 日本FP協会上級資格CFP。IFTA国際テクニカルアナリスト連盟最上位資格MFTA®の日本で最初の女性取得者。早稲田大学大学院ファイナンス研究科専門職MBAファイナンス修士。日本ベンチャー学会。日本IR学会。生活経済学会。消費者行動学会正会員。YouTube「木村佳子チャンネル」で資産運用情報を発信中。