新NISAの上限額と限度額はいくら?年間非課税投資枠や保有期間について解説
新NISAの投資上限額と保有限度額はいくら?
新NISAには、投資上限額・非課税保有限度額が設けられており、非課税で投資できる金額が決まっています
- 投資上限額:1年間(1月1日~12月31日)に非課税で投資できる金額の上限
- 非課税保有限度額:生涯にわたって非課税で保有できる資産の上限額
新NISAでは、これら2つの上限額・限度額が旧NISAに比べて大きく引き上げられました。
【新NISAと旧NISAの比較表】
| 新NISA(2024年~) | 旧NISA(~2023年末) | |||
|---|---|---|---|---|
| つみたて投資枠 | 成長投資枠 | つみたてNISA | 一般NISA | |
| 年間投資上限額 (月額換算) |
120万円 (月10万円) |
240万円 | 40万円 (月約3.3万円) |
120万円 |
| 非課税保有限度額 | 1,800万円 ※成長投資枠は1,200万円 |
800万円 | 600万円 | |
| 非課税保有期間 | 無期限 | 20年 | 5年 | |
| 上限超過時の扱い | 新規の注文不可 | |||
| 保有限度額の復活 | 売却分は翌年以降に再利用可能 | なし | ||
新NISAの投資上限額
新NISAの投資上限額は、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの枠の合計で、年間360万円です。
| つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
|---|---|---|
| 年間投資上限額 (月額上限) |
120万円 (月10万円) |
240万円 |
旧NISAの年間投資上限額は、つみたてNISAが40万円、一般NISAが120万円でした。一方、新NISAでは、つみたて投資枠は旧NISAの3倍の120万円、成長投資枠は2倍にあたる240万円に年間投資上限額が拡大しています。
【旧NISAとの比較】
また、旧NISAでは2つの非課税枠のどちらか一方を選択する必要がありましたが、つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能になったのも大きな変更点です。2つの非課税枠合計で年間360万円まで利用できるので、さまざまな投資戦略を考えられるようになりました。
例えば、つみたて投資枠を月10万円利用しつつ、成長投資枠を活用してボーナスなどのまとまった資金で一括投資をしたり、複数の上場株に分散投資をしたりして、積極的なリターンを狙うのも一つの方法です。あるいは、成長投資枠(ひと月あたり20万円)とつみたて投資枠(ひと月あたり10万円)の両方で同じ投資信託を積立購入すれば、毎月30万円まで非課税での積立投資ができます。
新NISAの非課税保有限度額
新NISAで生涯にわたって非課税で保有できる資産の上限額が非課税保有限度額です。非課税保有限度額は、つみたて投資枠と成長投資枠を合わせて1,800万円に設定されています。
| つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
|---|---|---|
| 非課税保有限度額 | 1,800万円(成長投資枠は1,200万円まで) | |
【旧NISAとの比較】
旧NISAにおけるつみたてNISAの非課税運用期間は20年、一般NISAは5年と決まっていたため、つみたてNISAは800万円(=年間40万円×20年)、一般NISAは600万円(年間120万円×5年)が実質的な上限額でした。
しかし、新NISAでは「非課税保有限度額」と呼ばれる、非課税運用できる金額の上限が新たに設定され、つみたて投資枠と成長投資枠の合計で1,800万円まで非課税で運用できるようになりました。
ただし、成長投資枠のみで投資を行う場合は、利用できる非課税保有限度額が1,200万円までに制限されます。したがって、成長投資枠の対象商品である上場株やREIT、ETFなどだけで1,800万円の枠をすべて埋めることはできません。
一方で、つみたて投資枠のみを利用する場合、またはつみたて投資枠と成長投資枠を併用する場合は、非課税保有限度額の1,800万円全体を活用することが可能です。
新NISAの非課税保有期間はいつまで?
新NISAでは非課税保有期間が無期限になったことで、自身のお好きなタイミングで売却できるようになりました。
旧NISAでは、つみたてNISAの非課税保有期間は20年間、一般NISAは5年間、と決められており、非課税保有期間の終了に合わせて売却やロールオーバー、課税口座での継続取引などを選択する必要がありました。そのため、非課税保有期間の終了時に含み損が出ている場合、初心者にとっては難しい判断を迫られることも少なくありませんでした。
新NISAでは一度非課税枠で購入した商品は、売却するまでずっと非課税で保有できます。価格が下落している局面で慌てて売却しなくても、価格が回復するまで保有し続けるという選択肢を取ることもできるようになったのです。
旧NISAのつみたてNISAは投資可能期間が2042年まででしたが、新NISAでは期限なく非課税で保有できるようになったため、複利効果(投資で得た利益を再投資に回すことで、資産が雪だるま式に膨れ上がっていく効果のこと)を最大限に活かせる制度になったといえます。
新NISAで投資上限額を超えたらどうなる?
新NISAの年間投資上限額や非課税保有限度額を超える取引はできません。株式や投資信託の買い注文を出しても、投資上限額や保有限度額を超える分はNISA口座の取引としては成立しません。
例えば年間300万円の株式を購入する場合、成長投資枠で購入できるのは240万円までで、年間投資上限額との差額60万円分については特定口座や一般口座などの課税口座で取引する必要があります。課税口座で発生した譲渡益や配当金、分配金については20.315%の税金がかかるので注意しましょう。
ただし、新NISAには非課税保有限度額を使い切ってしまった場合に、NISA口座の資産を売却すると、翌年に売却した分の非課税枠が復活する仕組みがあります。例えば、非課税保有限度額1,800万円をすべて使い切り、2025年に簿価(投資した時点での金額)300万分を売却した場合、2026年に売却した300万円分の非課税枠が復活し、新たな買付に利用できるようになります。
新NISAの投資上限額との賢い向き合い方
新NISAは年間360万円、生涯で1,800万円という大きな非課税投資枠が用意されていますが、上限額はあくまで制度上の最大値であり、必ずしも使い切る必要はありません。むしろ、上限を意識しすぎるあまり、家計を圧迫するような無理な投資計画を立てるべきではないでしょう。
国税庁の「令和6年分 民間給与実態統計調査」によると、給与所得者の平均給与は478万円です。平均給与を考慮すると、年間360万円という金額を投資に回すことは、多くの人にとって現実的とはいえません。
月々1万円や3万円といった少額投資でも、長期的に継続することで資産形成の効果は期待できます。上限額を目標にするのではなく、収入や支出、将来のライフプランとのバランスを考え、継続できる範囲で無理なく活用することが重要です。
新NISAの投資上限額や保有限度額に関するQ&A
ここでは、新NISAの上限額に関してよくある質問をまとめました。
余った年間投資枠は翌年に持ち越せますか?
NISAの年間投資枠は、つみたて投資枠・成長投資枠ともに、年をまたぐとリセットされるため、その年に使わなかった投資枠を翌年に繰り越すことはできません。例えば、成長投資枠の年間上限が240万円の場合、2025年に240万円をすべて使い切っても、2026年には再び240万円の投資枠が利用可能になります。逆に、2025年に200万円しか投資しなかったとしても、残りの40万円を2026年に繰り越して280万円投資することはできず、2026年の年間投資枠は変わらず240万円となります。
新NISAは何度も売り買いしても良いのですか?
NISAには売買回数の制限はないので、何度でも取引可能です。また、「売却金額」ではなく「取得価額(簿価)」を基準に生涯非課税保有限度額を管理する制度になっているため、売買を繰り返すことで実質的に1,800万円を超える投資もできるようになっています。
例えばNISAの成長投資枠とつみたて投資枠をフル活用して、毎年360万円ずつ投資した場合、5年で非課税保有限度額を使い切ることになります。例えば5年目にNISA口座で保有する資産を一部売却すれば、翌年からその分の非課税投資枠が利用でき、あらためてNISAで購入・積立が可能です。つまり、商品を売却すればNISAでの累計購入・積立額が1,800万円を超えても取引ができます。
旧NISAと新NISAの資産の管理はどうなりますか?
旧NISAで保有していた金融商品は、新NISAとは別枠で管理されます。そのため、旧NISAの枠内で購入した資産を引き続き保有しながら、新NISAの非課税枠1,800万円を活用することができます。
例えば、すでに旧NISAで100万円を非課税で運用していたとしても、新NISAで新たに1,800万円までは非課税で保有できます。ただし、現時点で、旧NISA口座で運用している商品を非課税期間分継続して保有することはできますが、新規の買い付けはできず、売却のみ可能となります。
新NISAの投資上限額を理解して計画的に活用しよう
新NISAでは、投資上限額が年間360万円(つみたて投資枠:120万円、成長投資枠:240万円)、非課税保有限度額が1,800万円へと大幅に拡大しました。さらに、非課税で保有できる期間が無期限になり、保有資産を売却すれば非課税枠が翌年以降に復活する仕組みもあります。
旧NISAに比べて自由度が高く、長期的な資産形成に取り組みやすい制度になっているものの、非課税枠を無理に使い切ろうとするのはおすすめできません。家計の状況やライフプラン、投資の目標などに合わせて、非課税枠を計画的に活用しましょう。
松井証券
WEBサイト編集チーム
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