新NISAの上限額と限度額はいくら?年間の非課税投資枠や保有期間
NISAとは投資で得た利益が非課税になる制度です。2024年から制度が改正されたことで、従来よりも多くの金額を非課税で運用できるようになりました。しかし、具体的にいくらまで非課税で運用できるのか、理解していない人もいるでしょう。
そこで本記事では、新しくなったNISAの年間投資上限額や非課税保有限度額についてわかりやすく解説します。投資戦略を考える際の参考にしてみてください。
新NISAの年間投資上限額と非課税保有限度額はいくら?
年間投資上限額とは
NISAにおける「年間」とは、受渡日が1月1日から12月31日までの期間を指します。年間投資枠とは、この1年間で非課税で投資できる金額の上限のことを指し、「年間投資枠」「年間非課税枠」などと呼ばれることもあります。
この枠内で購入した株式や投資信託については、値上がり益や配当金・分配金が非課税となるため、効率的に資産を増やすことが可能です。ただし、年間投資枠は年度単位(4月~翌年3月)ではなく、1月~12月のカレンダー年で設定されている点に注意しましょう。
※年末の取引タイミングに注意
株式や投資信託の売買では、①注文を出す → ②取引が成立(約定) → ③決済(受渡)というプロセスを経ますが、実際に取引が完了するのは③の受渡日になります。そのため、年末ギリギリに注文を出した場合でも、受渡日が翌年になると、その取引は翌年の年間投資枠として計上されます。
年間投資枠を最大限活用するためにも、年末の取引は余裕をもって計画的に行うことが大切です。
新NISAの年間投資上限額とは、1年間に非課税で投資できる金額の上限額のことです。非課税保有限度額は、金融資産を非課税で保有できる最大金額のことを指します。
旧NISAからどれくらい拡大した?

成長投資枠 | つみたて投資枠 | |
---|---|---|
年間投資上限額 (月額上限) |
240万円 | 120万円 (月10万円) |
旧NISA制度の年間投資上限額は、一般NISAが120万円、つみたてNISAが40万円でした。一方、新NISAでは、成長投資枠はこれまでの2倍にあたる240万円、つみたて投資枠は3倍の120万円に年間投資上限額が拡大しています。
また、これまでは2つの非課税枠のどちらか一方を選択する必要がありましたが、成長投資枠とつみたて投資枠の併用が可能になったのも大きな変更点です。2つの非課税枠合計で年間360万円まで利用できるので、さまざまな投資戦略を考えられるようになりました。
つみたて投資枠を使い切る計画を立てた上で、余った資金を成長投資枠で株式の購入などに回し、積極的なリターンを狙うのも一つの方法です。あるいは、成長投資枠とつみたて投資枠の両方で同じ商品を積立購入すれば、毎月最大30万円まで非課税での積立投資ができます。
余った年間投資枠は持ち越し不可
NISAの年間投資枠は、つみたて投資枠・成長投資枠ともに、年をまたぐとリセットされます。その年に使わなかった投資枠を翌年に繰り越すことはできません。
例えば、成長投資枠の年間上限が240万円の場合、2024年に240万円をすべて使い切っても、2025年には再び240万円の投資枠が利用可能になります。逆に、2025年に200万円しか投資しなかったとしても、残りの40万円を2026年に繰り越して280万円投資することはできず、2026年の年間投資枠は変わらず240万円となります。
新NISAの非課税保有限度額は?
非課税保有限度額とは
成長投資枠 | つみたて投資枠 | |
---|---|---|
非課税保有限度額 | 1,800万円(成長投資枠は1,200万円まで) |
非課税保有限度額とは、生涯にわたって非課税で運用できる投資額の上限を指します。「非課税投資枠の総額」や「生涯非課税枠」といった表現が使われることもありますが、すべて同じ意味を持ちます。
新NISAでは、非課税保有限度額が1,800万円に設定されており、この範囲内であれば、運用益や配当金に税金がかかりません。ただし、成長投資枠のみで投資を行う場合は、利用できる非課税保有限度額が1,200万円までに制限されている点に注意が必要です。

旧NISAにおける一般NISAの非課税運用期間は5年、つみたてNISAは20年と決まっていたため、一般NISAは年間120万円×5年=600万円、つみたてNISAは年間40万円×20年=800万円が実質的な上限額でした。
しかし、新NISAでは「非課税保有限度額」と呼ばれる、非課税運用できる金額の上限が新たに設定され、成長投資枠とつみたて投資枠の合計で1,800万円まで非課税で運用できるようになりました。
成長投資枠の非課税保有限度額はいくら?
新NISAの非課税保有限度額は総額1,800万円ですが、そのうち成長投資枠で利用できるのは最大1,200万円までと制限されています。そのため、個別株やREITなどの成長投資枠対象商品だけで1,800万円の枠を埋めることはできません。
一方で、つみたて投資枠のみを利用する場合、またはつみたて投資枠と成長投資枠を併用する場合は、非課税保有限度額の1,800万円全体を活用することが可能です。
成長投資枠を中心に運用を考えている方は、年間投資枠が最大240万円、非課税保有限度額が最大1,200万円までという制約がある点を理解し、計画的に投資を行いましょう。
旧NISAの資産は新NISAとは別枠で管理される
旧NISAで保有していた金融商品は、新NISAとは別枠で管理されます。そのため、旧NISAの枠内で購入した資産を引き続き保有しながら、新NISAの非課税枠1,800万円を活用することができます。
例えば、すでに旧NISAで100万円を非課税で運用していたとしても、新NISAで新たに1,800万円までは非課税で保有できます。ただし、現時点で、旧NISA口座で運用している商品を非課税期間分継続して保有することはできますが、新規の買い付けはできず、売却のみ可能となります。
このように、新NISAでは非課税枠が大幅に拡大されるだけでなく、旧NISAの資産も引き続き非課税で保有できるため、長期的な資産形成の選択肢がより広がっています。
また、新旧別々の金融機関でNISA口座を開設することもできます。ただし、金融機関変更の手続きが必要です。NISA口座で2024年中にすでに取引をしている場合、当年中は手続きができず、口座変更できるのは2025年以降になるため、注意しましょう。
新NISAの非課税保有期間はいつまで?
旧NISAにおいて、一般NISAの非課税保有期間は5年間、つみたてNISAは20年間と決められていたため、非課税保有期間の終了に合わせて売却やロールオーバー、課税口座での継続取引などを選択する必要がありました。非課税保有期間の終了時に含み損が出ている場合、初心者にとっては難しい判断を迫られることも少なくありませんでした。
新NISAでは非課税保有期間が無期限になったため、損失が出ている場合は値上がりするまで保有する選択肢を取ることもできるようになっています。腰を据えてじっくり投資に取り組めるような制度になりました。
新NISAで投資の上限額を超えたらどうなる?
新NISAの年間投資上限額や非課税保有限度額を超える取引はできません。例えば年間300万円の株式を購入する場合、成長投資枠で購入できるのは240万円までで、年間投資上限額との差額60万円分については特定口座や一般口座などの課税口座で取引する必要があります。課税口座で発生した譲渡益や配当金、分配金については20.315%の税金がかかるので注意しましょう。
ただし、非課税保有限度額を使い切ってしまった場合は、NISA口座の資産を売却すると、翌年に売却した分の非課税枠が復活するため、枠の再利用が可能です。
新NISAは何度も売り買いしても良い?売買に上限はある?
NISAには売買回数の制限はないので、何度でも取引可能です。また、「売却金額」ではなく「取得価額」ベースで1,800万円まで保有可能」という制度になっているため、売買を繰り返すことで実質的に1,800万円を超える投資もできるようになっています。
例えばNISAの成長投資枠とつみたて投資枠をフル活用して、毎年360万円ずつ投資した場合、5年で非課税保有限度額を使い切ることになります。例えば5年目にNISA口座で保有する資産を一部売却すれば、翌年からその分の非課税投資枠が利用でき、改めてNISAで購入・積立が可能です。つまり、商品を売却すればNISAでの累計購入・積立額が1,800万円を超えても取引ができます。

上限額が拡大した新NISAを活用して資産運用を成功させよう
新NISAでは旧制度と比べて年間投資上限額や、非課税で保有できる合計限度額が大幅に拡大しました。保有する資産の売却で非課税枠を再利用できる仕組みもあるため、少額から投資を始めてみたい人から積極的に資産運用に取り組みたい人まで、幅広いニーズに応えられる制度になったといえます。新NISAの限度額の仕組みを理解して、計画的に資産運用に取り組みましょう。
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