NYダウとは?構成銘柄の特徴や日本から投資をする方法
2023/12/5
経済ニュースを確認していると、「NYダウ」という言葉を目にする機会が多いことでしょう。投資をする際の指標として活用している人も多いようです。NYダウとはどういう指標なのか、またNYダウに投資をすることは出来るのか、出来るのであればどのような特徴やリスクがあるのか、と気になる人もいるでしょう。
本記事では、NYダウの特徴や構成銘柄、投資する際のリスクなどを詳しく解説します。NYダウに投資する方法もいくつか紹介しますので、参考にしてください。
NYダウとは?押さえておくべき基本情報
NYダウは米国株に投資する多くの投資家が参考にしている指標です。NYダウの歴史や構成銘柄などを理解しておきましょう。
NYダウとは
NYダウとは、米国を代表する株価指数で、正式名称は「ダウ・ジョーンズ工業株価平均」(Dow Jones Industrial Average)です。「ダウ平均株価」と呼ばれることもあります。
ニューヨーク証券取引所やナスダックに上場している、各業種の代表的な30銘柄から算出され、毎分更新されています。
その歴史は古く、1896年に算出がスタートしました。当初は工業株を中心に12銘柄から算出されていましたが、1928年に現在のような30銘柄から算出されるようになりました。
NYダウが世界で注目される理由
米国のGDPは世界全体のGDPの約4分の1を占めていることからも、アメリカ経済の動向は世界経済へ与える影響も大きいと考えられます。そうした中、NYダウは米国の代表的な企業で構成されているので、NYダウの上昇や下落は、米国経済の好不調や景気動向を反映しているといえます。
ということは、NYダウを確認すれば、大まかな世界経済のトレンドが把握できます。NYダウは世界経済の先行指標として重視されているため、世界中の投資家から注目を集めています。
NYダウの構成銘柄や選定基準
NYダウの構成銘柄は、米国経済を牽引する30社で構成されており、定期的に見直されています。S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス社が選定していますが、その選定基準は明確には公表されていません。しかし、以下のような要素が考慮されていると考えられています。
- 米国で設立され、米国に本社がある
- 売上高の大半を米国内で生み出している
- 米国経済に対する影響力や代表性、知名度
- 業種の多様性やバランス
- 株式市場での流動性や安定性
- 長期的な業績や成長性
2023年10月時点の主な構成銘柄には、マイクロソフトやアップル、コカ・コーラ、ウォルマートなどが含まれています。
NYダウとS&P500との違い
S&P500はNYダウと同様に、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社によって算出・公表されている指数です。
ニューヨーク証券取引所やナスダックに上場している、米国を代表する優良企業500種の銘柄の「時価総額」をベースにして算出されています。そのため、時価総額の大きな銘柄(大型株)の値動きの影響を受けやすいのが大きな特徴です。
NYダウ | S&P500 | |
---|---|---|
銘柄数 | 30銘柄 | 500銘柄 |
構成銘柄 | ニューヨーク証券取引所やナスダックに上場している輸送、公益事業以外の米国を代表する大型株 | ニューヨーク証券取引所やナスダックに上場している全業種から選定された大型株から新興株まで幅広い銘柄 |
指数の計算方法 | 株価をすべて足し合わせて除数で割る単純平均型 | 株価の浮動株調整後の時価総額比率の加重平均方式 |
銘柄の入れ替え | 定量的なルールはなく、指数委員会メンバーの会合で検討、実施される | 定量的なルールに基づいて必要に応じて行われる |
一方、NYダウは構成する30銘柄の「平均株価」をベースとしているため、株価が高い銘柄(値がさ株)の影響を受けやすいといった違いがあります。
NYダウに投資する方法
国内外のETFや投資信託を購入し、NYダウに投資できます。それぞれの投資方法にはメリット・デメリットの両方があるため、あわせて確認しておきましょう。
NYダウに連動した国内ETF(上場投資信託)を購入する
NYダウに連動する国内ETFに投資することで、間接的にNYダウに投資ができます。
国内ETFとは、東京証券取引所のような国内の金融商品取引所に上場している投資信託のことです。国内株式と同様の取り扱いとなるので、証券会社で総合口座を開けば、基本的に誰でも投資できます。
国内ETFは、日本の証券取引所から日本円で売買できるため、手続きがわかりやすいといったメリットがあります。取引時間も日本国内の株を取引する場合と同様です。
ただし、一般的な投資信託と異なり、金融商品取引所で取引されているため、指数の動きだけではなく、買いと売りの需給関係によっても価格が変化します。その結果、NYダウと完全に連動しない場合もあるので注意が必要です。
また、国内ETFは米国ETFと比べると流動性(市場に出回る数)が低く、売買がなかなか成立しなかったり、思った通りの価格で注文が成立しなかったりする可能性があります。
NYダウに連動した海外ETF(上場投資信託)を購入する
NYダウに連動する海外ETFを購入することで、間接的にNYダウに投資する方法もあります。
海外ETFとは、ニューヨーク証券取引所やナスダックなど、海外の証券取引所に上場している投資信託のことです。米国株と同じような扱いになるので、購入する場合は米国株式が買える証券会社の口座を用意しておかなければなりません。
一般的に、投資信託の保有コストである「信託報酬」よりも、海外ETFの保有コストに相当する「経費率」は低い傾向にあります。コストを抑えて運用できるため、長期保有にも適している点がメリットです。
また、海外ETFは取引高が多いため、スピーディーに取引が進む点がメリットです。相場に影響を与えるニュースが出たタイミングで、即座に売買を成立させるといったこともできるでしょう。
一方、外貨で取引するため、為替変動リスクが高いというデメリットがあります。例えば、1米ドル=140円で「円」を「米ドル」に交換して海外ETFに投資し、米ドル建てで資産が5%増えたとしましょう。しかし、ETFを売却して再び「米ドル」を「円」に交換するとき、1米ドル=130円になっていたとすれば、最終的には損失を出してしまうことになります。
また、海外の証券取引所で売買するため、取引時間は日本時間の23:30〜6:00(冬時間)としているケースが一般的です。日中に取引できる国内株とは大きな違いがあることを覚えておきましょう。
NYダウに連動した投資信託を購入する
投資信託とは、多くの投資家から集めた資金をひとまとめにして、専門家が運用する商品です。投資信託には、NYダウやTOPIXのような、特定の株価指数に連動した運用成果を目指す「インデックスファンド」と、特定の株価指数(ベンチマーク)の収益率を上回る運用成果を目指す「アクティブファンド」の2種類があります。NYダウをベンチマークとするインデックスファンドに投資すれば、間接的にNYダウに投資が可能です。
NYダウとの連動性が高いので、運用実績を把握しやすいといったメリットがあります。また、少額から毎日や毎月など、決まったタイミングで積立投資できるのもメリットです。
毎日・毎月など決まったタイミングで決まった金額を購入すれば、購入単価を引き下げる効果(ドル・コスト平均法)も得られます。
ただし、注文を出した当日は売買金額(基準価額)が公表されず、注文した翌営業日に公表される点には注意しましょう。ETFのようにリアルタイムでの取引はできません。
また、銘柄によって手数料やパフォーマンスが異なるため、十分比較検討をしたうえで投資する必要があるでしょう。
なお、松井証券では、上記3つ(日本株・米国株・投資信託)のすべての方法に対応しています。また各サービスのサポートも充実しており、米国株サービスでは取引に関してわからないことがあったときに、夜間24時まで専門スタッフに電話で無料相談できる「米国株サポート」も用意されています。
NYダウの先物取引
NYダウを原資産とする株式指数先物取引でも投資することができます。先物取引とは、将来の決められた期日に、取引時に決めた価格で特定の商品を売買することです。株式指数先物取引は株式取引とは異なり、実際に受渡を行うことができないため、FXと同様に差金決済という決済方法を用います。
先物取引は証拠金を差し入れて取引を行うため、元手以上の金額を取引できますが、その分損失も膨らむ可能性があるため注意が必要です。
なお、松井証券では一日先物取引でもNYダウ先物を取引できます。返済期限に制限はありますが、コストを抑えたアクティブな取引ができます。
松井証券の先物取引の詳細は「はじめての先物取引(入門)」を合わせてご確認ください。
NYダウに投資するときに考えられるリスク
長期にわたって成長し続けているNYダウですが、リスクが全くないわけではありません。ここではNYダウに投資する際のリスクについて解説します。
株価変動リスク
NYダウの構成銘柄の株価が下落すると、損失を被るリスクがあるので注意しましょう。企業の業績や経営環境の変化、市場の需要など、さまざまな要素によって株価が変動するリスクがあります。
特にNYダウは、株価の高い銘柄に指数が左右されやすいため、一部の値がさ株が大きく変動すると、指数全体に影響を与える可能性があることを理解しておきましょう。
為替変動リスク
NYダウに投資する場合、基本的に日本円で米ドルを買い、米ドルで商品を買う手順を踏むことになります。ドル建てで投資することになるので、為替レートが円高や円安に動くと、円に換算した資産価格も動く点に注意しましょう。
GDPや失業率などの経済指標が発表されたり、金融政策が変更され政策金利の引き上げ・引き下げが行われたりすると為替レートが変動する可能性があります。
国際情勢リスク
世界各国で起こる政治的・経済的・社会的な出来事がNYダウに影響を及ぼす可能性も少なくありません。というのも、米国はGDP世界第一位の経済大国であり、他国と多くの関係を持っているからです。
特に戦争やテロなど、国際的な紛争が発生した場合、NYダウは大きな影響を受ける可能性があります。
NYダウとは投資家からの関心が高い指標
NYダウは世界で最も歴史が古い株価指数で、米国を代表する30銘柄によって構成されています。米国の経済はさまざまな相場に影響を与えるので、米国経済の動向を測る上で重要な指標であるNYダウに多くの投資家が注目しています。米国株への投資を考えている人は、相場全体の流れを把握するためにチェックしておきましょう。
<監修者>
川口一晃
<プロフィール>
1986 年銀行系証券会社に入社。銀行系投資顧問(現・三菱UFJ国際投信)や三洋投信で11年間ファンドマネージャーを務める。2004年10月に独立してオフィスKAZ 代表取締役に就任。テレビ番組やラジオなどメディア出演は多数。現在、FMナック5「お金の世界の歩き方」でパーソナリティを務める。「SMAP×SMAP」では木村拓哉氏とも対談。著書も多数。また、テレビ朝日のドラマ「アイムホーム」をはじめ、フジテレビの月9のドラマの監修も担当。行動経済学学会会員。