FXにおけるリスクリワードとは?計算方法や勝率との関係、改善方法

2023/1/6

FXで成果をあげるためには、具体的なトレード手法だけではなく、資金管理の方法についても理解しておくことが重要です。リスクリワードは適切な資金管理をするうえで重要な概念の一つです。しかし、FX初心者にとっては具体的に何を指すのかイメージを抱きにくい部分もあるでしょう。

本記事では、リスクリワードの基礎知識や重要性、計算方法などを解説します。リスクリワードを理解すれば、より効率的に収益を得られるかもしれません。

FXにおけるリスクリワードとは

FX初心者にとって、リスクリワードは聞き慣れない言葉かもしれません。ここではリスクリワードの基本的な意味や重要性について解説します。

リスクリワードの意味

リスクリワードとは、トレードにおける「リスク=損失」と「リワード=報酬(利益)」の比率のことです。過去の取引において「1回の取引で取るリスクに対してどのくらいの利益が得られているか」、あるいは今後の取引において「1回の取引で取るリスクに対してどのくらいの利益を見込めるのか」を分析できます。1回のトレードの価値を数値化したものと言い換えることもできるでしょう。リスクリワードレシオやリスクリワード比率、ペイオフレシオと呼ばれることもあります。

リスクリワードの重要性

リスクリワードが重要といわれるのには理由があります。FXでは、たとえ勝率が低くても、リスクリワードで利益の比率が損失を上回り、1回の利益が大きくなればリカバリーが可能になるからです。反対に損失が上回っていると、勝率が高くても、1回の損失で資金を大きく失うリスクがあります。

FXの世界では、ベテランのトレーダーであっても相場を完全に予測し、勝率を100%にすることは限りなく難しいとされています。言い換えれば多かれ少なかれ損失が出るのは当たり前なのです。となれば、いかに損失を最小限に抑えるかが重要になってきます。リスクリワードを意識するということは、勝敗ではなく、総合的な収益の規模を左右する利益率そのものを意識することにつながります。

FX初心者の場合、リスクリワードを意識せずにエントリーして、一気に資金を失うケースがしばしばみられます。上級者のトレーダーほどリスクリワードを重視して、採算が見合わない場合はエントリーを避けているものです。

貯金箱にお金を入れる男女

リスクリワードの計算方法

リスクリワードを算出することで、1回あたりのトレードの期待値がわかるようになります。ここでは具体的な計算方法を解説します。

リスクリワードの計算式

リスクリワードは、「期待利益」÷「期待損失」で算出できます。たとえば、ある取引において、利益が2万円となる位置を利確(決済して利益を確定させること)ポイント、損失が1万円となる位置を損切り(意図的に損失を抱えた状態で決済し、損失を確定させること)ポイントとして設定したとしましょう。この場合、2万円÷1万円=2となり、リスクリワードは「2」と算出できます。

また、「勝ちトレードの平均利益」÷「負けトレードの平均損失」を計算することで、過去のリスクリワードについても算出できます。仮に勝ちトレードの平均利益が6万円で、負けトレードの平均損失が2万円だった場合は、6万円÷2万円=3となるため、リスクリワードは「3」と算出できます。

リスクリワードは、pipsを用いて計算することも可能です。pipsとは、FXにおける値幅の最小単位を指します。

【関連ページ】FXのpips(ピップス)とは?使い方と注意点について解説!

電卓で計算をする男性たち

理想のリスクリワードはどのくらい?

一般的に、リスクリワードの理想的な数値は「2~3」程度といわれています。というのも、この水準であれば、勝率が低くても最終的に利益を出せる可能性が高まるからです。

たとえば、リスクリワードを「1」(利確ポイントが1万円であれば、損切りポイントは1万円)とし、10回取引するケースにおいては、勝率が50%のとき、期待値は0円となります。勝率が60%の場合は、期待利益が6万円、期待損失が4万円となるため、期待値は2万円です。つまり、ある程度の利益を得るためには60%〜70%以上の勝率が必要になります。

一方、リスクリワードを「3」(利確ポイントが3万円であれば、損切りポイントは1万円)とし、10回取引するケースにおいては、勝率が40%であっても、期待利益が12万円、期待損失が6万円となり、期待値は6万円です。勝率がある程度低くても利益を確保できるようになります。

リスクリワードが0に近づくということは、損失の割合が大きくなっていることを表しています。つまり、小さく勝って、大きく負けるリスク(損大利小)が高まっているといえます。FXは小さく負けて大きく勝つこと(損小利大)が望ましいと考えられるため、リスクリワードが「1」より小さい場合は取引手法を見直したほうがよいでしょう。ただし、勝率が80~90%とかなり高い取引手法の場合には、リスクリワードが1よりも小さくても問題ないケースもあります。

リスクリワードと勝率の関係

勝率は、リスクリワードと混同されることもありますが、それぞれ性質や計算方法が全く異なります。

勝率は、「勝ちトレード数」÷「総トレード数」で求められます。たとえば、10回中5回勝つと勝率は50%、2回勝つと20%です。

リスクリワードの数値を高めようとした場合、相対的に損切りの目安となる金額が下がることで、損切りする確率が増え、必然的に勝率は下がっていきます。リスクリワードと勝率は基本的に反比例の関係にあるといえるでしょう。

勝率が高いほど良い取引をしているかのように見えますが、実際のところ、FXのトレード結果は勝率だけでは評価できません。というのも、勝率が低くてもリスクリワードが高い場合には、利益を出せる可能性があるからです。反対に勝率が高くてもリスクリワードが低い場合には、損失が出る可能性があります。リスクリワードと勝率は、バランスが重要なのです。

FXについて相談する男女と相談に乗る男性

リスクリワードの改善方法

リスクリワードの考え方を取り入れ、FXでより利益獲得機会を生かすためには、過去の取引の利益と損失の状況、トレードの勝率などを振り返ってみましょう。ここではリスクリワードの改善方法を解説します。

あらかじめ数値を決めて取引をする

取引に慣れていないFX初心者の場合は、勝率よりもリスクやリターンの方がコントロールしやすいといえます。その場で利確や損切りの判断をするのではなく、それらのラインを事前に考えてから、指値注文や逆指値注文を入れてみましょう。

【関連ページ】FXにおける損切りとは?目安やルール、損失を抑えるためのポイント

あらかじめリスクリワードを決めてエントリーする

事前に目標とするリスクリワードを決めた上で、エントリー(新規の買い注文または売り注文をすること)するようにしましょう。エントリー前にチャート分析をした時点で、損切りや利益確定の水準は判断できるはずです。リスクリワードがしっかりと目標水準を超えた場合にのみエントリーするという心がけが重要です。

ただし、為替相場が急激に動いてしまい、あらかじめ決めていた判断が揺らぐような場面もあります。例えば、トレンドに追随する投資家のロスカット水準を狙って、逆張りを仕掛けるトレーダーの出現などです。トレンドに乗れたと思いきや、予想と逆方向に相場が動いてしまういわゆる「ダマシ」にあうことがあります。時間に余裕があるときはあえてロスカット注文をいれず、急激な動きに動揺せずに、冷静に自分が取引すべき水準はどのあたりなのかを考えられるようになってください。

反対にリスクリワードが低くなってしまうときには、無理にエントリーしないことが大切です。リスクリワードを考える余裕もなく、相場の動きに合わせて衝動的にエントリーしてしまうのは失敗につながりやすいため、注意しましょう。

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「安定して利益を得るためには勝率だけではなくリスクリワードも意識しよう」

リスクリワードは、FXでの取引の価値を知るうえで有効な指標です。実際に安定して利益を獲得するためには、勝率だけでなく、リスクリワードに基づき利益をどれくらい出せるかにも注目しなければなりません。

初心者の場合、勝率にこだわるあまり損大利小の取引になりがちです。リスクリワードを見直し、あらかじめ利益が確保しやすい比率に設定した上で、予約注文を活用した取引をすることを検討しましょう。

<監修者>

木村佳子

<プロフィール>

一級FP技能士(国家資格)。NPO法人 日本FP協会上級資格CFP。IFTA国際テクニカルアナリスト連盟最上位資格MFTA®の日本で最初の女性取得者。早稲田大学大学院ファイナンス研究科専門職MBAファイナンス修士。日本ベンチャー学会。日本IR学会。生活経済学会。消費者行動学会正会員。YouTube 「木村佳子チャンネル」で資産運用情報を発信中。

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