FXのボリンジャーバンドとは?見方や活用方法を紹介!

2022/6/24

FXには、相場の分析に役立つ様々な「テクニカル指標」があり、「ボリンジャーバンド」もその一つです。しかし、FX取引に、どのように役立てていく指標なのか詳しくはわからないという方も多いのではないでしょうか。
この記事ではボリンジャーバンドの基本的な仕組みと見方、活用法について解説しています。

そもそもFXとは?という方はこちらをご覧ください

ボリンジャーバンドとは

相場の分析に使える様々な指標がある中でボリンジャーバンドはどのようなものか、その特徴について説明します。

ボリンジャーバンドは、統計学を基に相場を分析するテクニカル指標

為替相場の分析手法には、大きく分けてテクニカル分析とファンダメンタルズ分析があります。テクニカル分析は、為替の値動きをグラフ化した「チャート」から、値動きのトレンド(相場の方向性)やチャートパターンを把握して、将来の価格やトレンド転換を予測していく方法です。ファンダメンタルズ分析は、経済状況や金融政策、政治などの影響を考慮して相場を予測する方法です。

テクニカル分析には、「RSI」や「MACD」のような相場の過熱感の手がかりとなる「オシレーター系指標」と、「移動平均線」や「一目均衡表」のようにトレンドを把握しようとする「トレンド系指標」に分けられます。今回説明するボリンジャーバンドは、トレンド系のテクニカル指標になります。

ボリンジャーバンドは、標準偏差を用いて、将来の価格変動範囲を予測するのが特徴です。値動きの幅を示す線によって作られた帯(バンド)を手がかりとして価格の予測に用いることが可能です。また、ボラティリティ変化に応じて拡大・収縮することによっても、次の値動きを予測する手がかりに役立てられます。バンドの幅が広い時には大きな値動き、バンドの幅が小さくなっているときは小動きという具合です。長い期間そのような状態が続いて、大きく動き出すこともあります。膠着(こうちゃく)や変動の期間を観察すれば、傾向をつかんでいくこともできるでしょう。

ちなみに、アメリカの作家で財務アナリストのジョン・ボリンジャー氏によって考案されたことから「ボリンジャーバンド」と呼ばれています。

【関連ページ】FXのテクニカル分析とは?代表的な6つの分析指標と注意点

チャートの見方を解説した図

標準偏差で、一定期間の平均値からばらつきを見る

FXにおいて、将来の値動きを予測するには、過去に価格がどのように推移していたかを分析することが重要です。簡単な方法としては、特定の期間における価格の「平均値」を計算することで、現在価格と比較して強弱をつかむことができます。

しかし、平均値との比較だけでなく、確率の要素を取り入れることでより役に立つ分析結果を得られます。確率を用いて実現可能性の高い分布を意識しトレードに役立てましょう。確率は平均値を基に個々に表れた価格をさらに標準偏差との比較でとらえていきます。そこで有効なのが「標準偏差」です。標準偏差はバラバラに出てくる値を平均値で引いて、二乗しさらに値総数で割ることで均して求めた値です。次々に現れる値が標準偏差の周囲68%で収まるかもう少し範囲が広がるのかをボリンジャーバンドとの関係で観察していきます。

標準偏差を表す単位は、「σ(シグマ)」を使用するのが一般的です。ボリンジャーバンドは通常、7本のラインを価格チャート上に描きます。アッパーバンド3(+3σのライン)、アッパーバンド2(+2σのライン)、アッパーバンド1(+1σのライン)、ミッドバンド(移動平均線)、ロワーバンド1(−1σのライン)、ロワーバンド2(−2σのライン)、ロワーバンド3(−3σのライン)の7本で、移動平均線を境に上下に3本ずつ表示されます。

理論上、価格が+1σ~−1σのライン内に収まる確率は約68.26%、+2σ~−2σのライン内に収まる確率は約95.44%、+3σ~−3σのライン内に収まる確率は約99.73%とされています。つまり、ボリンジャーバンドの±2σ線を越える確率はおよそ4.6%、±3σ線を越える確率は1%にも満たないため「価格の水準がそれらの線に近づいた場合は、いずれ平均値のほうに戻ってくる可能性が高い」と予想することができます。

そのためボリンジャーバンドは、相場の反発を期待してポジションを持つ取引スタイルである「逆張り」と相性のよい指標といわれることもあります。「順張り」「逆張り」については、下記のページをご覧ください。

【関連ページ】FXにおける逆張りとは?順張りとの違いや注意点を解説!

ボリンジャーバンドを示した図

ボリンジャーバンドの見方

ボリンジャーバンドには大きく分けて三つの動き方があり、その分類と活用法ついて説明します。

スクイーズ(収束)

ボリンジャーバンドの上下の幅(値幅)が狭く絞られて収束している状態のことをスクイーズと言います。買いと売りが拮抗することにより価格の方向性が定まらず、一定の価格帯の中で上下に行ったり来たりするレンジ相場になりやすいのが特徴です。ボラティリティが低いため、短期間で大きな利益を期待できる相場ではないと言えるでしょう。ただし、スクイーズの後には大きなトレンドが発生する可能性もあるため、ポジションを持つ場合には価格の推移に注目しておく必要があります。

エクスパンション(拡大)

スクイーズの反対に、ボリンジャーバンドの値幅が拡大している状態のことをエクスパンションと言います。ボラティリティが高く、どちらか一方向に動くトレンドが発生しやすいのが特徴です。スクイーズの後にエクスパンションに移行しやすいという傾向があります。

エクスパンションが起きている場合、トレンドに沿った「順張り」によって大きな利益を狙うことができ、スクイーズからエクスパンションに移行するタイミングを狙うのが定番の手法です。例えば、バンドが一気に広がったときに順張りでエントリー(「買い」または「売り」の注文をすること)し、その後バンドの幅が一番拡大したタイミングで注文を決済して利益を確定します。

ただし理論通りの値動きをしない「ダマシ」が起こる可能性もあるため注意しましょう。たとえば、相場が上昇傾向にある中で価格が急激に上昇しエクスパンションが起きたものの、その直後から値動きが逆行していくようなケースも見られます。

Aでは一気に下降していくと見えますが、価格がMA平均値の黄色線をゴールデンクロス(下から上に突き破る強いシグナル)し、予想に反して上昇に転じたかと思わせます。しかし、Bで+2σラインに抑えられ、今度はまたMAを上から下に突き破ってデッドクロス(下降トレンドを表すシグナル)して下落していきます。このようにMAや各σのバンドと価格の関係を観察してトレードの参考にします。

バンドウォーク

バンドウォークは、価格が中央にある移動平均線まで戻らず、±1σや±2σのラインに沿って価格が推移している状態を指します。バンドの上を歩くように推移することからバンドウォークと呼ばれていますが、強いトレンドが継続しているときに現れるのが特徴です。エクスパンションと同様に、スクイーズの後にバンドウォークが発生しやすいという傾向があります。

バンドウォークが起きている場合には、トレンドに沿って順張りでポジションを持っていれば、利益を出せる可能性が高いと考えられます。

ダマシに注意しながらボリンジャーバンドを使おう

本記事ではテクニカル指標の1つであるボリンジャーバンドについて、基本的な仕組みや活用法を解説しました。ボリンジャーバンドは統計学の考え方に基づいて開発されたもので、標準偏差を用いることで相場のボラティリティを把握し、将来の価格変動の予測に役立てることができます。順張り・逆張りといった自分の取引スタイルに応じて活用しましょう。

ただし、バンドが示す線はあくまで理論上数値になります。実際には様々な要因で価格は変動しますから、特徴的な動きをしたからと言って、安易に順張り・逆張り一辺倒でエントリーをすることは避けたほうがよいでしょう。
取引の経験を重ねながら、自分に合ったボリンジャーバンドの使い方を見つけることが大切です。

<監修者>

木村佳子

<プロフィール>

一級FP技能士(国家資格)。NPO法人 日本FP協会上級資格CFP。IFTA国際テクニカルアナリスト連盟最上位資格MFTA®の日本で最初の女性取得者。早稲田大学大学院ファイナンス研究科専門職MBAファイナンス修士。日本ベンチャー学会。日本IR学会。生活経済学会。消費者行動学会正会員。YouTube 「木村佳子チャンネル」で資産運用情報を発信中。

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