CPI(消費者物価指数)とは?投資への影響をわかりやすく解説!
CPI(消費者物価指数)とは、私たちが日常的に購入する商品やサービスの価格変動を数値化した経済指標です。「物価が上がった」「インフレが進んでいる」といったニュースでよく耳にしますが、その判断材料となるのがこのCPIです。
投資判断に大きな影響を与える可能性があるため、投資家が注目している経済指標の1つですが、CPIは相場にどのような影響を与えるのか、わかりづらい点もあります。
そこで、本記事ではCPIの意味や、投資へどのような影響をもたらすのか、投資初心者にもわかりやすく解説します。
CPI(消費者物価指数)とは
CPIは「Consumer Price Index」の略で「消費者物価指数」のことです。一般消費者が日常的に購入する商品やサービスの価格が、時間の経過とともにどのように変化しているかを示しています。日本では総務省が毎月数値を公表しています。
CPIは、国民の生活水準を示す指標のひとつであり、また、各国のインフレ動向を測る際の重要な経済指標としても用いられます。
日本のCPIの種類
CPIには主に3つの種類があり、物価の動きを異なる観点から分析するために使用されています。
総合指数
総合指数は、消費者が購入するすべての商品やサービスの価格変動を含んだ指数です。エネルギーや食品など価格変動が大きい項目も含まれているため、経済全体の物価動向を幅広く捉えることができます。
例) 食品、衣料品、家電、光熱費、医療費など
コアCPI(生鮮食品を除く総合指数)
コアCPIは、総合指数から価格変動が激しい生鮮食品を除いた指数です。生鮮食品は季節や天候によって価格が大きく変わることが多いため、これを除外して、より安定した物価の基調を把握することができます。
除外される例) 野菜、果物、鮮魚など
コアコアCPI(生鮮食品およびエネルギーを除く総合指数)
コアコアCPIは、コアCPIからさらにエネルギー関連の価格も除外した指数です。エネルギー価格も国際的な要因で大きく変動するため、これを除くことで物価の長期的な動向をより正確に捉えることができます。アメリカなどでは広く使用されており、日本でも徐々に重要視されつつあります。
除外される例) 野菜、果物、ガソリン、電気代など
CPIの算出方法
CPIは、基準年の価格を100とし、比較する年の価格がどの程度変動したかを指数化して算出します。基準年とは、CPIを計算する際の基準となる年です。日本では、5年ごとに基準年が改定されており、直近では2020年が基準年とされています。
〈計算式〉
CPI=比較時の価格÷基準時の価格×100
〈具体例〉
2020年(基準年):ラーメン1杯 = 800円
2025年(比較年):ラーメン1杯 = 880円
CPI = (880円 ÷ 800円) × 100 = 110
CPIが110ということは、基準年に比べて価格が10%上昇したことを意味します。実際には多くの品目に対して同様の計算を行い、加重平均をして(ウエイトを加味して平均すること)全体の物価指数を算出します。例えば、毎日買う食品は重要度が高く、たまにしか買わない家電は重要度が低くなります。
日本のCPIの推移
2020年基準 消費者物価指数 全国 2025年(令和7年)12月分及び2025年(令和7年)平均より松井証券が作成
最近の日本では、エネルギー価格の上昇や円安の影響も相まって、CPIは上昇傾向を見せています。
また、2025年12月分の消費者物価指数(2026年1月23日公表)の消費者物価指数は以下の通りです。総合指数は2020年と比較すると13%上昇しており、生鮮食品およびエネルギー価格を除いても物価が11.5%上昇していることがわかります。
| 区分 | 2024/12の指数値 ※2020年を100とする |
2025/12の指数値 ※2020年を100とする |
前年同月比 |
|---|---|---|---|
| 総合指数 | 110.7 | 113.0 | 2.1%の上昇 |
| コアCPI(生鮮食品を除く総合指数) | 109.6 | 112.2 | 2.4%の上昇 |
| コアコアCPI(生鮮食品およびエネルギーを除く総合指数) | 108.4 | 111.5 | 2.9%の上昇 |
米国CPIが世界経済に与える影響
米国CPI(消費者物価指数)は、世界経済に大きな影響を与える指標として、各国の投資家から注目を集めています。
米国CPIとは
米国CPIは、アメリカ国内で消費者が購入する商品やサービスの価格変動を測定する経済指標です。米国労働省労働統計局(BLS)が毎月発表し、インフレ率を把握するための基準として広く利用されています。
公表される数値は、すべての商品やサービスを含む「総合CPI」と、生鮮食品およびエネルギーを除いた「コアCPI」の2種類です。
日本との違いに注意
- 米国のコアCPI = 生鮮食品とエネルギーを除く(日本の「コアコアCPI」に相当)
- 日本のコアCPI = 生鮮食品のみを除く
エネルギーや生鮮食品は、気候条件や国際情勢などの外部要因によって価格が大きく変動します。これらを除外することで、経済の本質的な物価動向をよりクリアに把握できます。そのため、金融政策の判断材料としては、総合指数よりもコアCPIが重視される傾向にあります。
なぜ米国CPIが重要なのか?
米ドルは世界の基軸通貨
米ドルは国際貿易や投資の決済で最も多く使われる通貨です。世界中の中央銀行が外貨準備として米ドルを保有しており、原油などの商品も米ドル建てで取引されています。そのため、米国のFRBが行う金融政策は全世界の経済に波及します。
日本の株式・為替市場にも直結
米国CPIの発表後、日経平均株価やドル円相場が大きく動くことがあります。これは、米国の金融政策が日本を含む世界中の市場に影響を与えるためです。
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FRBの金融政策が各市場に与える影響
FRBの利上げや利下げは、世界中の株式市場や債券市場、為替市場に大きな影響を与えます。
FRBはアメリカの中央銀行にあたる機関で、金利の調整などを通じてアメリカ経済を安定させる役割を担っています。CPIの数値は、FRBが利上げ・利下げを判断する際の最重要データです。
| CPIが上昇(インフレ加速)している場合 | CPIが上昇すると、FRBはインフレ抑制のために政策金利を引き上げることがあります。 |
|---|---|
| CPIが低下(インフレ鈍化) している場合 | CPIの上昇が鈍化すると、FRBは景気を刺激するために金利引き下げや金融緩和政策を取ることがあります。 |
為替市場への影響
例えば、米国のCPIが市場予想よりも低かった場合、FRBが金融引き締めを行う必要性が低下すると判断されます。その結果、アメリカと日本の金利差が縮小する見通しが強まり、ドル売り・円買いの動きが加速し、円高となっていく可能性があります。
反対に、米国のCPIが市場予想よりも高かった場合、インフレに伴う金利の上昇が示唆され、金利の高い米ドルに対する需要が増えます。その結果、ほかの通貨に対してドルが強くなる(ドル高)傾向があります。このように、CPIの数値は金融政策を通じて為替市場に直接的な影響を及ぼします。
株式市場への影響
米国で金利が上昇すると、企業の借入コストが増え、株価が下落しやすくなります。特に成長株やテクノロジー企業にとって、金利上昇は資金調達のコスト増加につながるため、株式市場全体が下落する可能性があるでしょう。
債券市場への影響
米国で金利が上昇すると、新しく発行される債券の利回りが上がるため、以前発行された低利回りの債券の価値は下落します。これにより、債券市場での売り圧力が強まり、市場価格が下落することがあります。
米国CPIと日本CPIの比較
米国と日本のCPIを比較すると、両国の物価上昇率には明確な違いが見られます。
アメリカの物価上昇率は日本よりも高い傾向があります。その理由としてまず挙げられるのが、経済回復の速度の違いです。アメリカは新型コロナウイルスの感染拡大後、経済活動の再開を迅速に進めたため、消費需要が急速に回復しました。これにより、供給が追いつかず、価格上昇の圧力が高まりました。一方で、日本は経済再開に時間がかかり、需要の回復が緩やかだったため、インフレ圧力は比較的低く抑えられています。
もう一つの要因は、人口動態の違いです。日本では高齢化と人口減少が進んでおり、その結果、消費需要が低調な傾向にあります。これに対し、アメリカは比較的若い人口構成を維持しており、消費が活発であるため、物価上昇圧力が強くなりやすいのです。
ただし、近年では円安によって輸入品の価格が上昇し、日本のCPIにも影響を与えています。日本の物価上昇率もアメリカに近づきつつあり、両国間の物価上昇率の差は徐々に縮小している状況です。
CPIを投資に活用する方法
発表スケジュールを把握し、相場変動に備える
CPIの発表前後は、株式市場や為替市場が大きく動く傾向があります。投資家はこのタイミングを意識して、ポジションの調整を行いましょう。ただし、発表直後は市場が過剰反応することもあります。冷静に数時間〜1日様子を見てから判断することも重要です。
発表スケジュール
CPIの内訳を分析する
CPIは日本の場合約600品目の価格を集計した指標です。「何が物価を押し上げているのか」を分析することで、投資チャンスを見つけることができます。
例えば、インフレが進行している状況では、インフレに強い資産である不動産や金といった実物資産への投資が有効です。逆に、デフレが懸念される場合は、現金や短期債券といった安全資産へのシフトが考えられます。
CPIと他の経済指標を組み合わせて総合的に判断する
CPIだけでなく、他の経済指標や市場の動向も合わせて分析し、バランスの取れた視点で投資判断を行うことが大切です。雇用統計やGDP、政策金利・中央銀行の声明など、CPI以外の要因も含めて総合的に考慮することで、より精度の高い投資戦略を目指しましょう。
CPIとは物価変動をとらえるために重要な指標
CPIは、消費者が購入する商品やサービスの価格変動を反映する重要な指標です。物価の変動は、企業の収益や消費者の購買行動だけでなく、株価や為替にも影響を与えます。
特に米国CPIは世界経済に大きな影響を与えるため、投資家にとって重要な指標です。CPIの動向を把握し、株式市場や金利の変動を予測することで、投資判断をより精度高く行いましょう。
松井証券
WEBサイト編集チーム
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