FOMCとは?市場や経済に与える影響と投資家が注目すべきポイント

2024年1月6日更新

FOMCは、アメリカの金融政策を大きく左右する意思決定機関であり、その決定は市場全体に影響を及ぼします。そのため、投資を考えている方であれば、知っておきたい重要なポイントです。しかし、FOMCがいつ行われるのか、具体的にどのように市場や投資家に影響を与えるのか、初心者にはわかりにくいことも多いでしょう。

本記事では、FOMCの役割や投資家が押さえておくべきポイントについて詳しく解説します。

FOMCの基礎知識

FOMC(連邦公開市場委員会)は、米国の金融政策を決定する場であり、その決定は国内外の経済に大きな影響を与えます。

FOMC(連邦公開市場委員会)とは

FOMCは「Federal Open Market Committee」の略で、米国の金融政策を決めるための会合です。この会合は、FRB(米連邦準備制度理事会)が主催し、通常7名のFRB理事と12の地区連邦準備銀行から5名の総裁で構成される合計12名によって、年8回開催されます。

FOMCの主な決定事項

FOMCでは、米国の経済状況に基づき、金利政策や資産購入方針など、金融政策に関する重要な判断が行われます。

その中でも特に重要なのが、フェデラル・ファンド(FF)レートと呼ばれる政策金利の誘導目標の設定です。FFレートは、銀行間での短期資金の貸し借りに適用される金利で、景気過熱を抑えるため、あるいは景気を刺激するために調整されます。

さらに、FOMCでは、国債や住宅ローン担保証券(MBS)などの資産購入に関する規模や内容も議論されます。これは、市場に資金を供給し、経済成長を促進する一方で、物価上昇率をコントロールするために行われるものです。

FOMCによる金利調整とは

FOMCによる金利調整は、インフレ(物価の継続的な上昇)の抑制と雇用の最大化を目指して行われます。

CPI(消費者物価指数)の上昇により、景気が過熱し、インフレリスクが高まった場合には、FOMCが利上げを実施します。金利が上昇すると、企業や個人が借入れを控えるようになり、経済活動が抑制されます。これにより、インフレを抑え、経済の過剰な成長を防ぐことが目的です。

【関連リンク】CPI(消費者物価指数)とは?投資への影響や米国CPIが注目される理由

一方で、景気が低迷し、経済活動を刺激する必要がある時には、FOMCが利下げを行います。金利が低下すると、企業や個人が資金を借りやすくなり、投資や消費が活発化します。こうした動きが経済回復を促進し、景気を支える効果が期待されます。

FOMCが市場や経済に与える影響とは

FOMC(連邦公開市場委員会)の決定は、金融市場や経済に広範な影響を及ぼすため、世界中の投資家から注目されています。

市場への主な影響

FOMCの決定は、さまざまな市場に影響を及ぼします。政策金利が引き上げられると、相対的に金利の高い米ドルに対する需要が増加し、ドル高を引き起こす傾向があります。反対に、金利引き下げは、ドル安を招く傾向があります。

また、FOMCの金利政策は株式市場にも大きな影響を及ぼします。政策金利が引き上げられると、企業の資金調達コストが増加するため、株価に下押し圧力がかかる可能性があります。

一方、金利が引き下げられると、資金調達が容易になり経済活動が活性化するため、株価は上昇する傾向があります。

さらに、債券価格と金利には、「逆相関」の関係があるため、金利が上昇すると、新規発行の債券の利回りが高くなり、利回りの低い既存の債券の価値は相対的に低下します。反対に、金利が低下すれば既存の債券価格は上昇するのが一般的です。

経済全体への主な影響

FOMCが行う金利政策は、米国のインフレ率や失業率にも影響を与えます。特に金利引き下げ時は、企業や個人が資金を調達しやすくなるため、経済活動が活発になり、物価上昇や雇用の増加につながる可能性があります。

一方、経済が加熱してインフレが過度に進んだ場合、FOMCはこれを抑制するために金利を引き上げることもあります。

また、FOMCの政策金利が変動すると、国際的な資金の流れが変わるため、他国の経済影響を与えることも少なくありません。例えば、金利引き上げによって、日米間の金利差が拡大すると、円安ドル高が進みます。円安は日本において輸出企業の売上増加につながることが多く、株価上昇の追い風となるケースが一般的です。

一方、金利引き下げによって、円高ドル安が進むと、輸出企業の業績が落ち込み、株価の下落につながることがあります。

FOMCの会合スケジュールと投資家が注目すべきポイント

FOMCが発表する政策金利や経済に対する見解は、為替相場や株式市場に大きな影響を与えます。投資家は、この情報をもとに投資戦略の立案やポートフォリオの調整をすることが重要です。

FOMCの会合スケジュール

FOMCは、約6週ごと年8回行われる定期会合のほか、必要に応じて臨時の会合が開かれることもあります。通常、会合は2日間にわたって行われ、終了後に「FOMC声明」という文書が公表されます。また、会合のおよそ3週間後には、会合の議事録が要約として公開され、FOMC内でどのような議論が行われたかが明らかになります。

FOMCの2024〜2025年の開催スケジュールは以下の通りです(2025年1月6日時点)。

2024年の開催予定

日程
第1回 1月30日・1月31日
第2回 3月19日・3月20日
第3回 4月30日・5月1日
第4回 6月11日・6月12日
第5回 7月30日・7月31日
第6回 9月17日・9月18日
第7回 11月6日・11月7日
第8回 12月17日・12月18日

2025年の開催予定

日程
第1回 1月28日・29日
第2回 3月18日・19日
第3回 5月6日・7日
第4回 6月17日・18日
第5回 7月29日・30日
第6回 9月16日・17日
第7回 10月28日・29日
第8回 12月9日・10日

FOMCの注目ポイント

FOMCについては、次のポイントを中心に情報収集をしましょう。

声明文の内容

FOMC会合が終了すると、声明文が公表されます。この声明文では、現在の経済状況や物価に対する評価、金融政策の変更があったかどうか、今後の政策の方向性などが示されます。とくに、前回の会合からの表現の変更点は、市場が敏感に反応するため、細かく確認することが重要です。

議長の記者会見

声明文が公表された約30分後に、FOMC議長が記者会見を行います。この場で、金融政策の方向性について追加の説明が行われ、質疑応答を通じて詳細が明らかになるため、投資家にとって重要な情報源になるでしょう。議長の発言から今後の金利動向や経済見通しを推測できる場合もあります。

議事要旨の内容

会合から約3週間後に公表される議事録は、FOMC内での議論の詳細を知る手がかりとなります。声明文や記者会見では明かされなかった意見の相違や、金融政策を決定する背景にある議論が含まれることもあり、相場が反応することも少なくありません。

政策金利や経済の見通し

FOMCが発表する政策金利(FFレート)の変更は、金融市場に大きな影響を与えます。金利の変更幅や市場予想との違いは、特に注目されるポイントです。また、3月、6月、9月、12月の会合では、FRBメンバーによる経済予測も発表されます。この経済予測では、政策金利の見通しやGDP成長率の予測が示されるため、今後の金融政策の方向性を読み解く材料となります。

なお、松井証券のマネーサテライトでは、FOMCをはじめ、様々なイベントの解説動画などを公開しています。是非参考にしてみてください。

【関連リンク】マネーサテライト(マネサテ) - 松井証券の投資情報動画メディア

FOMCとは世界市場に影響を与える金融政策の意思決定機関

FOMC(連邦公開市場委員会)は、米国の金融政策を決定する重要な機関であり、その決定は世界市場に大きな影響を与えます。特に政策金利や資産購入方針の変更は、株式市場や為替、債券市場に与えるインパクトは大きく、多くの投資家が注目しています。これから投資を始める人はFOMCの役割や相場に与える影響を理解し、投資判断に活用しましょう。

まだ米国株口座をお持ちでない方は、
インターネットで今すぐお申込み!

リスクおよび手数料などについて