FXの取引ができる時間は?おすすめの時間帯や避けたほうがいいタイミングを解説

2023/1/17
2025/6/6(更新)

ライフスタイルに合わせて取り組めるのが、FXの大きな魅力の一つです。しかし、自由度が高いぶん、初心者の場合は「どの時間帯が自分に合っているのだろう?」「勝率を上げるためには、いつ取引するのが良いのだろう?」と悩んでしまうこともあるでしょう。

FXで利益を出すためには、相場分析だけでなく、「いつ取引するか」という視点も欠かせません。ほぼ24時間常に相場が動き続けているFXは、時間帯によって値動きの活発さや参加するトレーダー層が異なります。各時間帯の特徴を把握して、ライフスタイルやトレード戦略に合った取引時間を見つけましょう。

この記事では、FXの基本的な取引時間や取引が活発になる時間帯、取引手法ごとにおすすめの時間帯などを紹介します。

そもそもFXとは?という方はこちらをご覧ください。

FXの取引ができる時間は?

FXの取引時間に関する基本的な知識として、まずは取引ができる時間帯・取引できない時間帯を押さえておきましょう。

FXの取引時間の概要

原則、平日・祝日のほぼ24時間取引が可能

FXは、基本的に平日・祝日のほぼ24時間取引ができるようになっています。FX会社によって多少異なりますが、一般的な取引時間は、月曜の午前7時前後から土曜の午前6時前後までです。

FXの舞台となる「外国為替市場」では、電話やインターネットを使って取引がされています。ただし、証券取引所のように、取引する場所が実際に存在しているわけではありません。

その時間帯に中心となって取引をする銀行が存在しており、世界各地でいずれかの銀行が取引をしている限り、外国為替市場での取引もできるようになっています。代表的な外国為替市場としては、東京、ロンドン、ニューヨーク、シドニーなどがあげられます。

平日は常にいずれかの市場が動いているため、仕事に行く前の早朝や仕事終わりの深夜など、ライフスタイルに合わせて取引できるのがFXの魅力の一つです。

サマータイム制度の影響について

サマータイムの間は、取引時間が変動します。サマータイム制度とは、太陽が出ている時間を有効活用するために、欧米で取り入れられている時間制度です。サマータイムでは、時計の時刻が1時間早く進められるため、FXの取引時間も1時間前倒しとなります。

米国標準時間(冬時間) 11月の第1日曜日から3月の第2日曜日まで
サマータイム(夏時間) 3月の第2日曜日から11月の第1日曜日まで

サマータイムの具体的な取引時間はFX会社によって異なるため、確認しておくと良いでしょう。

FXを利用できる時間を教えてください。(Q&A)

FXの取引ができない時間

土曜日や日曜日は、世界中ほぼすべての外国為替市場が一斉に休みとなるため、FXの取引はできなくなります。

ただし、その間は取引ができなくても、為替レートは変動し続けている点には注意しなければなりません。

というのも、イスラム圏では休みが土日ではなく金曜日となっており、中東の一部の地域では、取引が行われていることがあるためです。

なお、FXでは原則として祝日の取引は可能ですが、元日だけは世界中の外国為替市場が休場となるため取引はできません。

FXの取引が活発になる時間帯

世界中にある各外国為替市場がオープンしてからの数時間は、活発に取引が行われる傾向にあります。時間帯ごとの特徴を詳しく見ていきましょう。

主要市場の取引が活発な時間帯

東京時間(8時~10時) 東京、香港、シドニー、シンガポール
ロンドン時間(16時~19時) ロンドン、フランクフルト、チューリッヒ
ニューヨーク時間(21時~2時) ニューヨーク

8時~10時

8時~16時は、東京為替市場での取引が中心となるため、東京時間と呼ばれています。日本や中国、オーストラリア、シンガポールなど、アジアやオセアニアの市場参加者が多いのが特徴です。

中でも、8時~10時は仲値が発表されるため、値動きが活発になる傾向があります。仲値とは、金融機関が外国為替を取引する際の基準レートのことです。

特に「ゴトー日」と呼ばれる5と0のつく日は日本企業の決済が増え、海外への支払いのためにドルが多く買われやすくなります。仲値が決まる9:55にかけてドル高円安が進む傾向があるため、それを利用した取引をするトレーダーもいるようです。

また、東京時間はオーストラリアや中国の経済指標が発表される時間帯でもあります。米ドルやユーロなどを含む通貨ペアの値動きは落ち着いている一方、豪ドルやNZドルなどを含む通貨ペアの値動きは大きくなりがちです。

16時~19時

16時~2時は、欧州為替市場での取引が中心となるため、ロンドン時間と呼ばれています。

とりわけ、16時~19時は値動きが活発になりやすい時間帯です。ロンドン市場がオープンする16時以降、ヨーロッパのトレーダーがユーロやポンドなどの通貨を積極的に取引するようになるためです。19時を過ぎるとトレーダーが昼休みに入ることで、値動きは落ち着く傾向があります。

21時~2時

21時~6時は、ニューヨーク為替市場での取引が中心となるため、ニューヨーク時間と呼ばれています。アメリカの市場参加者が中心となって取引を行うのが特徴です。

特に、21時~2時の間は、ロンドンとニューヨークの2つの大きな市場が同時に開いている時間帯となるため、1日の中で最も取引が活発となります。

「ニューヨークオプションカット」と呼ばれる通貨オプション(あらかじめ決められた期日や価格で通貨を売買する権利のこと)の権利行使期限である24時前後や、「ロンドンフィキシング」と呼ばれるロンドン為替市場の仲値が決まる翌午前1時前後は特に値動きが活発になるケースが多くなっています。

FXの取引を避けたほうがいい時間帯

初心者の場合、値動きが読みづらくなるタイミングでは取引を避けたほうが無難です。短期間で損失が大きくなるリスクもあるため、注意しましょう。

FXの取引を避けたほうがいい時間帯

日本時間の6時~7時

日本時間の早朝6時前後は、取引の参加者が少なく、流動性が低くなるため、取引を避けたほうが良いでしょう。流動性とは、取引のしやすさを表すもので、流動性が高いほど、希望する価格での取引が成立しやすくなります。反対に流動性が低ければ、売買が成立しなかったり、希望から大きくかけ離れたレートで売買が成立してしまったりする可能性があるのです。

また、流動性が低い状況では、短期間で急激に大量の資金が流れ込み、相場が大きく変動するリスクもあります。加えて、取引コストに当たる「スプレッド」が広がる可能性についても無視できません。明確な目的がない限りは、取引を控えたほうが良い時間帯です。

クリスマス

クリスマスは、欧米の多くの地域で休日の扱いです。東京為替市場が開いている時間帯に取引時間が限定されるため、多くのFX会社では取引時間自体が短縮されます。ロンドンやニューヨークなどの主要な外国為替市場が休場となり、流動性が低下することで、急激な価格変動が起きやすくなる点に注意しましょう。

年末年始

年末年始も、流動性が大きく低下する可能性が高いため、取引を控えたほうが無難です。相場が急変するリスクがあり、スプレッドも広がりやすくなります。

また、欧米や中国などの企業が決算を迎えることで、通常とは異なる値動きを示す傾向もあります。価格の予測がしにくいため、特に初心者は取引を避けたほうが良いでしょう。

【関連リンク】FXのスプレッドとは?取引手数料の決まり方やコストの計算方法

市場に影響のある経済イベントの前後

政策金利や米国の雇用統計、CPI(消費者物価指数)、GDP(国内総生産(GDP)など、市場に大きな影響を与える経済指標が発表されるタイミングや、政府高官や中央銀行総裁などの要人による発言があったタイミングでは、初心者の場合、取引を控えたほうが無難です。

【関連リンク】CPI(消費者物価指数)とは?投資への影響や米国CPIが注目される理由

【関連リンク】GDP(国内総生産)とは?計算方法やGNPとの違い、投資との関係性をわかりやすく解説

経済イベントの前には様子を見るためにトレーダーが取引を控え、その後一転して取引が活発になる、といった動きを見せることがしばしばあります。想定以上に大きく値が動くこともあれば、急にトレンドが転換することもあり、値動きの予測がしづらいのが特徴です。

FXの取引手法ごとのおすすめの取引時間

FXにはさまざまな取引手法があり、それぞれに適した時間帯があります。ご自身のトレードスタイルに合わせて、効率良く利益を狙える時間帯を見つけましょう。

スキャルピングに適切な時間帯

スキャルピングにおすすめの時間帯は、市場参加者が多く、値動きが活発になる時間帯です。ロンドン市場とニューヨーク市場が重なる21時~翌2時頃は特に適しています。

スキャルピングは、数秒から数分という短い時間に何度も取引を繰り返し、小さな利益をコツコツと積み上げていく超短期売買の手法です。利益を出すためには、自分が出した注文がすぐに通り、希望した価格でスムーズに取引を成立させなければなりません。

その点、市場参加者が多く、取引量が多い時間帯は売買が成立しやすいため、利益を得やすくなる可能性があります。また、値動きが活発な方が、利益を確定させるチャンスも増える傾向にあります。

逆に、早朝など取引参加者が少ない流動性が低い時間帯は、注文が通りにくい傾向にあるため、スキャルピングには向きません。また、スプレッド((売値と買値の差))が拡大しやすく、取引コストがかかって利益を出しにくくなることもあるため、効率的に取引回数を重ねるためにも、市場が最も活気づく時間帯に集中してトレードするのが良いでしょう。

【関連リンク】FXのスキャルピングとは?特徴や注意点、初心者向けではない理由

デイトレード向けの時間帯

デイトレードには、日中の値動きがある程度見込める時間帯が適しています。欧州勢が参加し始める16時以降、さらに取引が活発化するニューヨーク時間(21時~翌2時頃)などが候補になるでしょう。

デイトレードは、数時間から1日のうちにポジションを建てて決済まで完了させる取引手法です。スキャルピングほどではありませんが、ある程度の値動きがないと利益を出しにくくなります。

夕方から深夜にかけては、ロンドン市場とニューヨーク市場がオープンし、欧米の経済指標発表なども相まって値動きが活発になるため、デイトレードのチャンスが増えます。

日中忙しい会社員の方でも、夜間の値動きが活発になる時間帯を利用してデイトレードを行うことが可能です。

【関連リンク】FXのデイトレードとは?短期間で売買するメリットや注意点を解説!

スイングトレード向けの時間帯

スイングトレードの場合、特定の「おすすめの時間帯」というのはありません。 というのも、スイングトレードは数日から数週間、場合によっては数ヶ月にわたってポジションを保有し、中長期的なトレンドから利益を狙う手法のためです。

スイングトレードでは、スキャルピングやデイトレードのように、数分~数時間単位の値動きを追う必要はありません。日中の値動きに惑わされず、冷静にチャート分析を行いましょう。

スイングトレードに取り組む場合は、日足や週足といった長期的な時間軸のチャートを分析し、エントリーや決済のタイミングを判断するケースが一般的です。例えば、仕事が終わったあとや寝る前など、毎日決まった時間にチャートを確認し、相場を分析する習慣を身につけると良いでしょう。

ただし、週末をまたいでポジションを持ち越す場合は注意が必要です。土日の間に市場に影響を与えるニュースが発生すると、月曜日の市場開始時に価格が大きく乖離して始まる「窓開け」が起こる可能性があります。想定外の損失を避けるため、週末のポジション管理には気を配りましょう。

【関連リンク】スイングトレードとは?FXにおけるメリット・デメリットを解説!

自動売買向けの取引時間

自動売買(システムトレード)は、事前に設定したルールに従いプログラムが自動で取引を行うため、時間に縛られずに運用できるのが大きな魅力です。相場を常にチェックできない方でも、24時間稼働により効率的にFXに取り組むことができ、感情に左右されず安定した取引が可能です。

ライフスタイルに合わせて「放っておける」運用ができるため、副業としてFXを始めたい方や忙しい方にも最適な手法といえます。ただし、安定した成果を得るには、ロジックやパラメーターの設計精度が重要です。

また、すべての時間帯が効率的とは限らず、流動性が低い時間帯はスプレッドが広がりやすく、損失リスクもあります。そのため、過去のデータをもとに流動性の高い時間帯に絞って稼働させるなど、工夫を加えることでより効果的な運用が可能になります。

松井証券のFX自動売買は、100円から始められる「リピート注文」型のシステムです。設定した値幅やレンジに基づいて自動で売買を繰り返すため、手間をかけず効率的に取引できます。

【関連リンク】100円から自動売買

FXの取引時間に関するよくある質問

FXの取引時間に関してよくある質問を以下にまとめました。疑問点や不安な点がある場合は確認しておきましょう。

FXは何時まで取引できますか?

FXは、基本的に月曜日の早朝から土曜日の早朝まで、平日であればほぼ24時間取引が可能です。
多くのFX会社では、日本時間で月曜日の午前7時頃に取引が開始され、土曜日の午前6時頃に終了します。ただし、サマータイムの間は、取引終了時刻が1時間早まるのが一般的です。

例えば、松井証券の場合、FXの通常の取引時間は07:10~翌06:55 です。一方、3月第2日曜から11月第1日曜までのサマータイム期間中は、取引時間が06:10~翌05:55に変更されます。

FXは土日に取引できますか?

世界の主要な外国為替市場(東京、ロンドン、ニューヨークなど)が、週末は一斉に休場となるため、基本的に土日にFXの取引はできません。

ただし、中東の一部の市場は、イスラム圏の習慣に合わせて金曜日が休みで、土日に開いている場合があります。そのため、厳密にいえば土日でも世界のどこかでは為替取引が行われており、レートは変動しています。

ドル円が一番動く時間帯はいつですか?

米ドル/円(ドル円)の為替レートが最も活発に動く傾向があるのは、複数の主要市場が同時に開いている時間帯です。ロンドン市場とニューヨーク市場の取引時間が重なる、日本時間の21時頃から翌2時頃は、世界中のトレーダーが参加し、取引量が最も多くなるため、値動きが大きくなる傾向があります。

特にアメリカの雇用統計など重要な経済指標が発表される21〜23時の時間帯は相場が急変動することも少なくありません。ただし、あくまで一般的な傾向であり、その日のニュースや市場参加者の心理によって、ほかの時間帯でも大きく動くことはあります。

取引時間ごとの特徴を把握することはFXの取引に必要不可欠

FXは平日ならほぼ24時間取引できるため、ライフスタイルに合わせて取り組みやすく、さまざまな局面で利益を狙えます。しかし、取引が活発で大きな利益を狙いやすい時間帯もあれば、慣れていないと値動きが読みづらい時間帯など、取引時間によって相場の特徴は大きく異なるため注意が必要です。

スキャルピングやデイトレード、スイングトレードなど、得意な取引手法に合わせた時間帯を見極めることで勝率向上を狙える可能性があります。まずは、取引時間帯ごとの値動きの特徴を把握することから始めてみましょう。

<監修者>

川口一晃

<プロフィール>

1986年銀行系証券会社に入社。銀行系投資顧問(現・三菱UFJ国際投信)や三洋投信で11年間ファンドマネージャーを務める。2004年10月に独立してオフィスKAZ代表取締役に就任。テレビ番組やラジオなどメディア出演は多数。現在、FMナック5「お金の世界の歩き方」でパーソナリティを務める。「SMAP×SMAP」では木村拓哉氏とも対談。著書も多数。また、テレビ朝日のドラマ「アイムホーム」をはじめ、フジテレビの月9のドラマの監修も担当。行動経済学学会会員。

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