NISAの配当金は非課税になる?受け取り方法や高配当株の選び方を解説

2023/9/28
2025/8/29(更新)

NISAは投資で得た利益が非課税となる制度です。株式投資で得られる配当金も、NISA口座を利用すれば非課税になるため、資産形成の手段として魅力を感じている方も多いことでしょう。

しかし、配当金の受取方法によっては課税対象となるケースもあるため、注意が必要です。

本記事では投資初心者向けに、NISAの配当金を非課税で受け取るための方法や、非課税メリットを活かせる高配当株の選び方などをわかりやすく解説します。

NISAの配当金とは?

NISAの投資対象商品である株式の多くは「配当金」が支払われます。配当金とは、企業が事業活動の結果、得られた利益の一部を株主に還元する制度のことで、保有している株式数に応じて分配されます。支払われる配当金の頻度や金額、タイミングは企業によって異なりますが、年1回または2回支払われることが一般的です。

一般口座や特定口座のような課税口座で取引をする場合、株式投資で得た配当金には、20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%+住民税5%)の税金がかかります。しかしNISA口座での取引から得た配当金に対しては原則、税金はかかりません(0円)。

分配金との違い

投資信託やETFに投資した場合は「分配金」を受け取る場合があります。分配金とは、運用で得た収益を保有口数に応じて投資家に分配するものです。NISA口座で取引すると、この分配金に対しても税金がかかりません。なお、毎月分配型の投資信託などで見られる元本払戻金(特別分配金)は、利益の配分ではないためNISAに限らず非課税扱いです。

NISAの配当金を非課税で受け取る方法

株式の配当金は4種類の受取方法があります。受取方法によってはNISA口座でも課税対象となることがありますので注意しましょう。

配当金が非課税対象になる場合

「株式数比例配分方式」を受取方式として選択した場合、配当金には課税されません。株式数比例配分方式とは、配当金を証券会社の取引口座で受取る方法です。

一度手続きしておけば、株式を預けている数量に応じて、証券口座に配当金が自動的に入金されるため、お金を受け取る手間を省くことができます。複数の証券会社で同じ銘柄を保有している場合、それぞれの証券会社の口座に配当金が振り込まれます。受け取った配当金を再投資に回しやすいのもメリットといえるでしょう。

なお、株式数比例配分方式を選択した場合、特定・一般口座で保有している全ての上場株式の配当金についても、自動的に「株式数比例配分方式」が選択されます。これは変更手続きを行った金融機関だけではなく、現在株式を保有しているすべての金融機関の口座に対して適用されるため、金融機関ごとに配当金の受取方法を変えられない点に注意しましょう。

配当金が非課税対象にならない場合

登録配当金受領口座方式や個別銘柄指定方式(配当金振込指定)、配当金領収証方式を選択した場合、受け取る配当金は非課税とならないので注意してください。

登録配当金受領口座方式とは、あらかじめ指定した1つの預金口座で、保有するすべての株式の配当金を受け取る方法です。複数の証券会社で複数銘柄を保有していたとしても、一つの口座でまとめて配当金を受け取ることができます。譲渡益と配当金を別々に管理したい場合には便利な方法といえるでしょう。

個別銘柄指定方式(配当金振込指定)とは、保有している銘柄ごとに配当金の振込先銀行預金口座を指定する方法で、1銘柄ごとに書類での手続きが必要です。複数の証券会社で同じ銘柄を保有している場合も、あらかじめ指定した1つの口座に配当金がまとめて振り込まれるので、特定銘柄の配当金だけを別管理したい場合に向いています。

配当金領収証方式とは、金融機関に「配当金領収証」を持参して配当金を受け取る方法です。ゆうちょ銀行・郵便局など、配当金領収証で指定された金融機関で配当金を受け取ります。この方法では、配当が出るたびに配当金を受け取りに行かなければなりません。さらに、引き換えには期限があり、期限を過ぎると信託銀行での手続きが必要です。

配当金を非課税で受け取りたい場合、受取方法を株式数比例配分方式にする必要があります。保有銘柄の配当基準日までに証券口座の設定を完了させる必要があり、金融機関ごとに手続きの期日が異なる場合もありますので注意が必要です。

NISAで高配当株に投資するメリットとデメリット

NISAの非課税メリットを活かす投資先として「高配当株」が注目されています。ここでは、NISAで高配当株に投資するメリットと、事前に知っておきたいデメリットの両面を解説します。

メリット

NISAで高配当株に投資するメリットは、配当金が非課税になることで実質的な利回りが向上する点です。通常、配当金には20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%+住民税5%)の税金がかかりますが、NISA口座では配当金全額をそのまま受け取れます。この配当金を再投資に回すことで、長期的に見れば複利効果(投資で得た利益を再び投資に回すことで、利益が増幅していく効果)にも期待できるでしょう。

【関連リンク】複利効果とは?単利との違いやデメリット、複利効果のシミュレーション

また、高配当を出す企業は事業が安定している成熟企業が多く、景気の変動に業績が左右されにくい傾向があります。配当金というインカムゲインを得ながら、将来的な株価の値上がりによるキャピタルゲインも狙える可能性があるため、着実な資産形成を目指すことが可能です。

【関連リンク】キャピタルゲインとは?インカムゲインとどっちが良い?特徴などを比較

デメリット

NISAで高配当株に投資しても、配当金は企業の業績に連動して決定されるため、将来にわたって支払いが保証されているわけではありません。業績が悪化すれば、配当が減額される「減配」や、支払いが停止する「無配」のリスクがあり、株価の下落につながるケースもあります。

また、高配当企業は事業が成熟していることが多く、成長性に乏しいケースもあり、大きな株価の伸びを期待するのは難しい場合があります。

さらに、受け取った配当金を再投資する際には、NISAの年間非課税投資枠(成長投資枠240万円、つみたて投資枠120万円)を消費する点にも注意が必要です。年間非課税投資枠を使い切る形で運用している場合、配当金の再投資をNISAで行うことができず、非課税のメリットを受けられない場合があるでしょう。

なお、NISA口座で米国株のような海外高配当株に投資した場合、配当金に対して現地で課される税金は非課税にはならず、外国税額控除の対象外です。

NISAの成長投資枠におすすめの高配当株の選び方

NISAの成長投資枠で高配当株を選ぶ際は、配当利回りの高さだけで判断するのは危険です。長期的に安定した配当収益を得るために、以下のポイントを押さえておきましょう。

配当利回りが安定している水準の銘柄を選ぶ

高配当株投資では配当利回りに目が行きがちですが、長期的な安定性を考えるなら、その数値が適正な水準で安定して推移している銘柄を選ぶことが大切です。

配当利回りは「年間の1株あたり配当金 ÷ 株価」で計算されるため、企業の配当方針が変わらなくても、株価が下落すれば結果的に配当利回りは上昇します。

一般的に、配当利回りが3〜5%程度で安定して推移している企業は、投資対象として検討しやすい水準といえるでしょう。もし利回りがその水準を大きく超えている場合は、単に株価下落や記念配当によって一時的に高くなっているだけかもしれません。

株価の下落は、市場がその企業の業績悪化や将来の減配を懸念している兆候である可能性も考えられます。高い配当利回りの背景にある実態を見極めるようにしましょう。

【関連リンク】高配当銘柄ランキング -配当狙いの株式取引-

配当性向が無理のない範囲に収まっているかを確認する

NISAの成長投資枠で高配当株に投資する場合は、配当性向が無理のない範囲に収まっているかを確認しましょう。

配当性向とは、企業が稼いだ税引後利益のうち、どれくらいの割合を配当金の支払いに充てたかを示す指標で、一般的に20〜50%程度が目安とされています。そのため、配当性向が80%や100%を超えるなど高すぎる企業は、利益のほとんどを配当に回しており、事業投資や内部留保に資金を充てる余力がない状態ではないか確認した方がよいでしょう。

このような企業は、少しでも業績が悪化すると配当を維持できなくなり、減配に踏み切るリスクが高いといえます。たとえ現時点で利益が安定していても、配当性向が高すぎると将来の持続性に懸念が生じるため、NISAの非課税メリットを長期的に活かしにくくなる点に注意しましょう。

【関連リンク】配当性向とは?計算式や目安、高すぎるとどうなるかを解説

安定した業績と継続的な増配実績がある企業を選ぶ

配当の持続性を見極めるには、企業の根本的な「稼ぐ力」に目を向ける必要があります。過去から現在に至るまで安定した業績を維持し、さらに継続的な増配実績がある企業を選びましょう。

過去数年間の売上高や営業利益が安定して伸びているかを確認することで、その企業の事業の安定性がわかります。また、毎年配当金を増やしている「連続増配企業」は、株主還元への意識が高く、安定した収益基盤をもつ優良企業である可能性が高いでしょう。

企業のWEBサイトにある「IR情報」などで、過去の配当実績や業績の推移を確認する習慣を身につけることが大切です。

景気変動の影響を受けにくいセクターを意識して選ぶ

個別企業の分析に加え、どのような事業環境にあるかも配当の安定性を左右する重要な要素です。安定した配当を得るためには、景気変動の影響を受けにくいセクターを意識して選ぶのも一つの方法です。

食品や医薬品、電力・ガスなどのセクターは、景気の良し悪しにかかわらず需要が安定している生活必需品やサービスを提供しています。そのため、不況時でも業績が落ち込みにくく、配当も維持されやすい傾向があります。

NISAの配当金についてのよくある質問

NISAの配当金に関する各種手続きの方法について、口座開設前に確認しておきましょう。

NISAの配当金の受取方式を変更する方法は?

NISAの配当金の受取方式の変更方法は金融機関によって異なります。PCやスマートフォンから手続きが可能な金融機関もあります。

まずはNISA口座を開設している金融機関で、ご自身の口座状況を確認できるサービス(マイページなど)にアクセスし、配当金の受取方式を確認しましょう。株式数比例配分方式以外が選択されている場合課税対象となってしまうため、非課税での受け取りを希望する場合は株式数比例配分方式への変更手続きを行ってください。

配当金はいつ振り込まれる?

上場企業の期末配当は、年次の決算のあと、株主総会の決議を経て支払われるのが通例です(取締役会決議の場合もあります)。したがって本決算後、株主総会を経て、権利確定日から2~3カ月後に振り込まれることが多くなっています (なお、中間配当は本決算配当より1ヶ月ほど早めに支払われる傾向があります)。株式数比例配分方式を選んだ場合、株式を保有している証券会社の口座に振り込まれます。

配当金を受け取るには権利確定日(会社の決算日と同一日が多い)に株主名簿に登録されていなければなりません。そのためには、株式の発行会社が定めている権利確定日の2営業日前(権利付最終日)までに株式を購入する必要があります。

NISAの配当金は確定申告が必要?

配当金の受取方法によって、確定申告が必要かどうかは変わります。株式数比例配分方式を選択している場合、配当金は非課税となるため、確定申告は原則不要です。

配当金の受取方法によって、確定申告が必要かどうかは変わります。株式数比例配分方式を選択している場合、配当金は非課税となるため、確定申告は原則不要です。

損益通算や繰越控除を希望する場合は確定申告が必要です。手続きの詳細については税務署のWEBサイトや相談窓口で確認すると良いでしょう。

【関連リンク】NISAは確定申告が必要?必要となるケースや確定申告のやり方、注意点も解説

NISAの配当金の受取方式を変更する方法は?

NISAの配当金の受取方式の変更方法は金融機関によって異なります。PCやスマートフォンから手続きが可能な金融機関もあります。

まずはNISA口座を開設している金融機関で、ご自身の口座状況を確認できるサービス(マイページなど)にアクセスし、配当金の受取方式を確認しましょう。株式数比例配分方式以外が選択されている場合課税対象となってしまうため、非課税での受け取りを希望する場合は株式数比例配分方式への変更手続きを行ってください。

NISAで配当金の非課税メリットを受け取るための設定を確認しよう

NISA口座での取引で得た配当金は、原則として非課税となります。しかし、受取方法によっては課税対象となる場合もあるため注意しましょう。課税対象となった際には、確定申告が必要になるケースもあります。

また、長期的に非課税の恩恵を受けるためには、配当利回りや配当性向といった指標を確認し、安定して配当を出す力のある企業を選ぶ視点が欠かせません。

ご自身の証券口座の受取方式を確認し、NISAのメリットを最大限に活かして資産形成を始めましょう。

<監修者>

木村佳子

<プロフィール>

一級FP技能士(国家資格)。NPO法人 日本FP協会上級資格CFP。IFTA国際テクニカルアナリスト連盟最上位資格MFTA®の日本で最初の女性取得者。早稲田大学大学院ファイナンス研究科専門職MBAファイナンス修士。日本ベンチャー学会。日本IR学会。生活経済学会。消費者行動学会正会員。YouTube「木村佳子チャンネル」で資産運用情報を発信中。