配当性向とは?計算式や目安、高すぎるとどうなるかを解説

2025/3/3

株式投資を始めたばかりの方は、数多くの銘柄の中からどれを選べば良いのか悩んでしまうことが多いでしょう。そんなときに注目したいのが「配当性向」です。配当性向とは、企業が稼いだ利益のうち、どれだけを株主に還元しているかを示す指標で、安定した配当を受けたい投資家にとって重要な判断基準となります。しかし、計算方法や適切な水準がわからないという方もいるでしょう。

本記事では、配当性向の基本的な定義や計算方法、投資判断への活用方法を初心者向けにわかりやすく解説します。

配当性向とは

配当性向とは、企業が当期純利益の中からどれだけの割合を株主に配当として支払っているかを示す指標です。企業の利益をどの程度株主に還元しているかを測ることで、経営の安定性や株主還元の姿勢を知ることができます。配当性向を理解し、企業の成長性や安定性を見極めることで、自分の投資スタイルに合った銘柄選びができるようになるでしょう。

配当性向の計算方法

配当性向の計算方法や適切な目安を把握しておくことで、企業の株主還元の方針を深く理解できるようになるでしょう。

配当性向の計算式

配当性向を算出する際は、一般的に以下の計算式が用いられます。

配当性向(%)=(配当金支払総額÷当期純利益)×100

当期純利益とは、一会計期間内に企業が得た収益からすべての経費や営業外損益、税金などを差し引いて残った利益のことです。

例えば、配当金支払総額が30億円、当期純利益が100億円の場合、配当性向は (30億円÷100億円)×100=30%です。

また、以下の計算式を用いる場合もあります。

配当性向(%)=(1株当たり配当額÷1株当たり純利益(EPS))×100

1株当たり純利益(EPS)は、企業がどれだけ効率よく利益を生み出しているかを測るための指標で「当期純利益÷発行済株式総数」で求めることが可能です。

例えば、1株当たり配当額が60円、1株当たり純利益(EPS)が150円の場合、配当性向は(60円÷150円)×100=40%です。

配当性向の目安は?

配当性向は一般的に20〜50%程度に収まっていれば、一定の利益を株主に還元しつつ、将来の成長のための内部留保を確保できる可能性が高くため、健全な水準といえるでしょう。

日本取引所グループの「2023年度 決算短信集計結果」によると、東証プライム・スタンダード・グロース市場に上場する企業の配当性向は平均34.17%とされています。

また、配当性向は業種によっても大きな違いがあります。先述の調査によると、医薬品業界では配当性向が87.77%と最も高い水準となっています。これは、医薬品企業が安定した収益を確保しやすく、研究開発に一定の資金を投入しつつも、利益の大部分を株主へ還元する傾向が強いためです。

一方で、電気・ガス業界では配当性向が10.13%と最も低い水準となっています。この業界では、インフラの維持や設備投資に多くの資金を必要とするため、事業拡大や安定運営のために内部留保を優先し、株主への還元が抑えられる傾向にあります。

また、企業の成長段階によっても配当性向は異なります。新興企業やベンチャー企業などが多く含まれる「グロース株」の場合、将来の事業拡大を見据えて利益の多くを新規事業や研究開発に投資するため、配当性向は10~20%程度と比較的低く抑えられていることが一般的です。

一方で、安定した収益基盤を持つ成熟企業を多く含む「バリュー株」の場合、積極的に株主還元を行う傾向があり、配当性向が50%以上となることも珍しくありません。

このように、企業の成長フェーズや業種の特性に応じて、配当性向は大きく異なるため、投資を行う際にはこれらの要素を踏まえて判断することが重要です。

配当性向は高すぎるとどうなる?

配当性向が高すぎる場合、企業の財務状況に深刻な影響を及ぼす可能性があります。特に100%を超える場合、配当金が純利益を上回り、企業の持続可能性が懸念されます。

配当性向が100%以上になる理由

配当性向が100%を超える場合、企業は純利益を超える配当金を支払っていることを意味します。これは、企業が業績悪化にもかかわらず、過去の配当水準を維持しようとする場合などに起こります。業績の低迷が公表されると株価の急落を招く可能性があるため、投資家の不安を和らげる目的で配当を維持するケースが少なくありません。

また、企業が株主の長期保有を促す戦略の一環として、安定した配当を維持しようとすることもあります。

さらに、会社の創立周年記念など、節目のタイミングで一時的に増配する「記念配当」などが行われた場合も、配当性向が100%を上回ることがあります。

配当性向がマイナスの状態とは?

配当性向がマイナスになるのは、企業が赤字(純利益がマイナス)でありながらも、株主への配当を実施し続けている場合です。通常、配当は利益の範囲内で支払われますが、企業によっては赤字決算時にも内部留保を取り崩して配当を実施することがあります。

その理由の一つとして「株主の信頼を維持し、企業のブランドや評判を守る」ことが挙げられます。特に長年安定配当を続けてきた企業では、減配や無配による株価下落を懸念し、内部留保を活用してでも配当を維持しようとするケースが少なくありません。

しかし、赤字の状態で配当を続けると、企業の財務状況が悪化し、将来の成長に必要な資金が不足してしまいます。資金繰りが厳しくなれば、最終的には配当を減らすか、ゼロにせざるを得なくなり、株価が急落するリスクも高くなるでしょう。

そのため、配当性向かマイナスの企業に投資する際は、一時的な赤字決算による配当実施なのか、それとも継続的な赤字体質になっているのかを見極めることが重要です。

配当性向を銘柄選びの判断材料にしよう

配当性向とは、企業が得た利益のうち、どれだけを株主に配当として還元しているかを示す指標です。一般的には30%程度が一つの目安とされていますが、業種や企業のフェーズによって適切な水準は異なります。

ただし、配当性向が100%を超えている場合やマイナスの場合は注意が必要です。100%を超えていると、利益以上の配当を出しているため、将来的に配当の継続が難しくなる可能性があります。一方、マイナスの場合は、赤字にもかかわらず配当を実施しているため、財務状況が悪化し、将来的に株価の下落を招くことも少なくありません。そのため、企業の現在の財務状況や過去の配当推移、将来の業績予想を総合的に判断し、投資先を検討することが重要です。

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