FXにおける出来高とは?トレードでの活用方法や注意点

2023/10/27

FXの情報収集をしていると「出来高」と呼ばれる用語を目にする機会があるでしょう。しかしFXにおける出来高とはどのような意味なのか、どのように取引で活用すれば良いのか、よくわからない方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では出来高に関する基本的な知識や、トレードへの活用方法などを解説します。出来高について理解しておけば、利益を狙うチャンスをつかむためのヒントを得られるかもしれません。

FXにおける出来高とは

まずはFXにおいて出来高とは何を指すのか、また出来高から何を判断できるのかについて解説します。

FXにおいて出来高とは、特定の期間中に成立した「取引量」のことを指します。FXには買いと売りの2つの注文方法がありますが、これらの注文がマッチングした数量が出来高となります。例えば、ドル円の取引で100ドルの買い注文と100ドルの売り注文が出されており、注文が成立した場合、出来高は100ドルです。

出来高は市場の活性度を測る指標として、株式相場でも注目されています。出来高が多いほど、たくさんの投資家が参加し、取引が活発であると判断できるのです。取引が活発で出来高が多い時間帯は、相場が大きく動きやすい傾向がある、といったように、値動きの傾向を掴むのにも役立ちます。FXの場合は、ドル円などのメジャーな通貨の方が取引量は多くなると言われています。

しかし、FXでは市場全体の正確な出来高を確認することが難しく、正確なデータが得られないため、出来高は相場分析に役立たないと考えるトレーダーも一定数いるようです。そのため、FXにおいては、株式相場ほど出来高は重視されない傾向があります。

出来高を把握しにくい要因として、FXが主に店頭取引(OTC)で行われていることが挙げられます。店頭取引とは、取引所を介さずにFX会社とトレーダーが直接売買する方法のことです。

株やETFなどは、東京証券取引所や大阪取引所などの取引所で売買を成立させる「取引所取引」が行われています。取引所取引では1つの銘柄について市場参加者全員の注文が取引所に集まるため、システム管理によって出来高を集計することが可能です。

一方FXで取引所取引が行われるケースは少なく、世界中の金融機関やトレーダーの間で膨大な量の取引が行われているため、市場全体の正確な出来高を確認することは難しいのです。

国内FXの出来高は金融先物取引業協会が公開している「店頭FX月次速報」から確認可能ですが、株式のようにリアルタイムで通貨ペアごとの出来高を確認することはできません。

出来高を活用したFXのトレード手法のやり方

リアルタイムで正確な出来高を確認することはできませんが、トレンドやエントリーポイントを探るためのヒントとして活用できるでしょう。

Step1.出来高が多い時間帯や通貨ペアを選ぶ

FXは平日なら24時間、さまざまな通貨ペアで取引できるのが特徴です。その中でも特に、出来高が多くなる時間帯や通貨ペアを選ぶと取引を有利に進められるでしょう。

出来高が多く取引が活発な通貨ペア、特にメジャーな通貨などは習慣的で急激な値動きは起こりにくく、反対にトレンドなどの動きも把握しやすい傾向があります。自分の狙った価格で注文が成立しやすいため、トレンドを見極めてエントリーできれば大きな利益を狙える可能性もあるでしょう。

一般的に、ロンドン市場がオープンし始める日本時間16時以降や、ロンドン市場とニューヨーク市場の取引が重なる21〜2時頃は市場参加者が増える時間帯と言われています。

ユーロ/米ドルや米ドル/円、ポンド/ドルなどのメジャー通貨は、出来高が多い通貨ペアといわれています。とくに米ドル/円は比較的値動きが緩やかなのが特徴で、初心者でも取引しやすいでしょう。

【関連ページ】FXの取引時間はいつ?おすすめの時間帯と取引を避けたいタイミング

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Step2.相場を分析する

取引時間帯や通貨ペアを選んだら、相場を分析してエントリーポイントを探っていきましょう。

出来高を参考にした相場分析には、ローソク足やトレンドラインとの関係に注目する方法があります。例えば、上昇トレンドの場面で大きく価格が下落しラインブレイク※が発生したとしましょう。そのタイミングで出来高も増えていた場合は、売り意欲が強まったことを表しており、トレンドが転換したと考える、といった具合です。

反対にこのタイミングで出来高が小さい場合には、トレンドが転換するとは限らないため注意しましょう。つまり、売買のシグナルが出たタイミングで出来高も合わせて確認により、精度の高い予測が可能となるのです。

  • FXのラインブレイクとは、相場の節目となるレジスタンスライン(過去の高値同士を結んだライン)やサポートライン(過去の安値同士を結んだライン)を価格が上抜けたり下抜けたりすることを指します。例えば下降トレンドでレジスタンスラインを上抜けた場合は上昇トレンドへの転換、レンジでレジスタンスラインを抜けるとトレンドの発生を示す、というように、相場の転換点を示す重要なサインとして使われています。

FXで出来高を用いてトレードを行うときの注意点

出来高だけを頼りにトレードをすると、判断を誤ってしまうおそれがあります。他の手法とあわせて、慎重に相場を分析した方が良いでしょう。

出来高の多さは取引量の多さ、つまり流動性の高さにつながります。流動性が高ければ自身の希望とマッチングする注文が出る可能性が高まるため、より理想に近い取引ができるでしょう。

反対に流動性が低い場合には、値動きも荒くなり注文が成立しにくくなるため、希望と大きくかけ離れたレートで売買が成立してしまうリスクが高くなります。

このように出来高は市場の流動性を判断するうえで有用な手段の一つですが、出来高だけに頼って取引をすると、相場を読み切れないリスクも考えられます。実際に相場を分析する際は、ほかのテクニカル分析やファンダメンタルズ分析(経済指標や要人発言などから価格を予測する方法)を併用することも大切です。市況を総合的に分析したうえでエントリーポイントを判断しましょう。

【関連ページ】FXのテクニカル分析とは?代表的な6つの分析指標と注意点

FXの出来高は相場分析の際に役立つ指標の1つ

FXにおける出来高とは取引量のことです。出来高の多い時間帯や通貨ペアを選択すれば、利益を狙いやすくなるかもしれません。

ただし、FXの市場全体の出来高を正確に把握することは難しいのが現状で、出来高だけを根拠に相場を分析すると、判断を誤ってしまう可能性もあるでしょう。実際の取引では、移動平均線やボリンジャーバンドなどのテクニカル指標や、ファンダメンタルズ分析と併用し、エントリーのタイミングを判断してください。

<監修者>

川口一晃

<プロフィール>

1986年銀行系証券会社に入社。銀行系投資顧問(現・三菱UFJ国際投信)や三洋投信で11年間ファンドマネージャーを務める。2004年10月に独立してオフィスKAZ 代表取締役に就任。テレビ番組やラジオなどメディア出演は多数。現在、FMナック5「お金の世界の歩き方」でパーソナリティを務める。「SMAP×SMAP」では木村拓哉氏とも対談。著書も多数。また、テレビ朝日のドラマ「アイムホーム」をはじめ、フジテレビの月9のドラマの監修も担当。行動経済学学会会員。

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