FXの手法とは?基本手法からトレードスタイル、自分に合った手法の見つけ方まで解説

2025/11/6(更新)

FXで継続的に利益を得るためには、闇雲に取引するのではなく、自分に合った手法を確立する必要があります。しかし、FXには多様な取引手法、分析手法が存在するため、初心者の方は「どれを選べば良いのか分からない」と悩むこともあるでしょう。

そこで本記事では、FXの基本的な取引手法やトレードスタイル、相場分析の手法をわかりやすく解説します。自身に合った手法を見つけるための具体的なヒントも紹介しますので、FXに興味のある方はぜひ参考にしてください。

そもそもFXとは?という方はこちらをご覧ください。

FXの基本の取引手法

FXには「順張り」と「逆張り」の2種類の取引手法があります。実際に取引を始める前にそれぞれの特徴や手法を理解しておきましょう。

順張り

順張りとは、相場の方向性(トレンド)に沿って売買をする取引手法のことです。相場が上昇基調の場合は「買い」、下降基調の場合は「売り」注文をします。例えば1ドル=140円だった為替レートが、145円、150円と上昇してきたタイミングでドル買い注文を入れるのが順張りです。トレンドの波に乗る形でエントリーをするので、初心者でも比較的取り組みやすいとされています。

ただし順張りは、相場に方向性がなく一定の値幅で推移するレンジ相場や、価格が乱高下する相場では利益が出にくい可能性があるため、まずは相場にトレンドが発生しているかを見極めることが必要です。

また、予測を誤ってトレンドが切り替わるタイミングで注文を出した場合には、損失を被る可能性があります。そのままにしておくと損失が拡大する可能性があるため、損切りのポイントを決めておくことも重要です。損切りとは、損失を抱えている状態で決済し、損失を確定させることを指します。注文するタイミングを誤ったときは、損切りをして早めに撤退することが大切です。

【関連リンク】FXにおける損切りとは?目安やルール、損失を抑えるためのポイント

逆張り

逆張りとは、相場が反転するタイミングを狙って売買する取引手法です。相場が上昇している場合は「売り」、下降している場合は「買い」の注文を入れます。1ドル=150円だった為替レートが、145円、140円と下降してきたタイミングでドル買い注文を入れるのが逆張りです。

主に逆張りは、一定の値幅の中で価格が上下している相場(レンジ相場)で用いられます。レンジ相場では価格に方向性がなく、利益を出しやすい状況は限られるため、こまめに利確することが大切です。利確とは、ある程度利益が出たタイミングで決済し、利益を確定させることを指します。

【関連リンク】FXにおける逆張りとは?順張りとの違いや注意点を解説!

FXのトレードスタイル

FXのトレードは1回あたりの取引時間によってスタイルが分かれます。自分に合ったトレードスタイルを見つけられれば、安定的に利益を狙えるようになるかもしれません。


スキャルピング

スキャルピングとは、数秒から数分程度の短期間で売買し、利益を積み重ねていくトレードスタイルです。
1日の間に数十回、数百回取引を繰り返すこともあります。

少しでも値動きの見られる相場であれば通貨ペアや時間帯を問わずに取引でき、利益を狙えるのがメリットです。

また、ポジション(通貨を買っているまたは売っている状態のこと)の保有期間が短いため、トレード1回あたりのリスクが少ないのも特徴です。ポジション保有中に価格が大きく変動する可能性は低いといえます。

ただし、短時間で売買すべきかを素早く判断する必要があるため、売買タイミングを見極めるためにはチャートを注視し続ける必要があります。取引回数も多くなりがちなので、精神的にも負担が大きく、初心者向きとはいえないトレードスタイルです。

【関連リンク】FXのスキャルピングとは?メリットやデメリット、取引のコツを解説

デイトレード

デイトレードとは、その日のうちに注文から決済までの取引を完了させるトレードスタイルです。ポジションの保有期間はスキャルピングよりも長く、数時間から1日程度で、ポジションを翌日に持ち越さないことが特徴です。

スキャルピングと同様に、資金効率が良く比較的短期間で利益を積み重ねられるのがメリットです。ただしスキャルピングと比べると、少し余裕を持った売買ができるため、事前にある程度戦略を立てておいたり、予約注文を活用したりすればチャートを注視し続ける必要はありません。

また、1日で動く値幅の範囲内に損失が限定されることや、日を跨いでポジションを持ち越す間に価格が急落するリスクもないため、初心者でも取り組みやすい側面があります。

【関連リンク】FXのデイトレードとは?短期間で売買するメリットや注意点を解説!

スイングトレード

スイングトレードは、中長期的な目線で取引をするトレードスタイルです。数日から数週間程度のスパンでポジションを保有します。多くの場合、テクニカル分析を用いて相場の流れを見極め、その流れに沿ってポジションを取ります。上昇相場であれば買い、下降相場であれば売りのポジションを取る、といった具合です。

スキャルピングやデイトレードよりも時間的に余裕を持った取引をできるのが特徴で、一回の取引で得られる利幅も大きくなる傾向があります。利益を最大化するために、ポジションを長期間保有することも珍しくありません。

ただし、ポジションを保有している間はリスクに晒され続ける点には注意が必要です。保有期間が長くなるほど価格変動に遭遇する可能性も高くなるため、大きな損失を被る可能性もあるでしょう。このようなリスクに備えて、ロスカットを設定しておくのもリスク管理の一つです。

ポジショントレード

ポジショントレードとは、数週間から数か月の長期間ポジションを保有し、大きなリターンを狙うトレードスタイルです。ポジショントレードでは為替差益だけではなく、スワップポイントによる利益を狙うことも可能です。スワップポイントとは2国間の金利差のことで、高金利の通貨を買い低金利の通貨を売り、利益を得られます。

ポジショントレードではスイングトレードよりもさらに多くの利益を狙える可能性がありますが、損失も大きくなりやすいため、ハイリスク・ハイリターンの取引です。適切なポジションをとるためには、ファンダメンタルズ分析も駆使しなければならず、初心者にはやや難易度が高いスタイルといえるでしょう。

自動売買

自動売買とは、専用のツールやシステムを使って事前に設定した内容に基づき、自動で売買を繰り返す取引手法です。

手動で取引をするときのように「もう少し利益が出るかも」「損失を取り戻したい」といった感情が入り込むことがなく、一定のルールに従ってトレードができ、難しい専門知識がなくても取引が進められるというメリットがあります。

また、仕事中や就寝中などチャートを確認できない間も、24時間体制で利益を狙えるという点も自動売買のメリットです。

ただし、万能な手法ではなく、予期せぬ相場の急変動には対応しにくい側面もあります。またシステムの設定によって機能しやすい・しにくい相場などがあるため、デイトレードやスイングトレードなど、ほかの手法を通じてFXの基本的な知識を身につけたうえで利用したほうが良いでしょう。

FXの相場分析手法

FXでは買値と売値の差額が利益につながるため、いつ注文を出すかが重要です。タイミングを見極めるためにも、相場状況を分析する手法を学んでおきましょう。

テクニカル分析

テクニカル分析とは、過去の価格推移から今後の値動きを予測する分析手法のことです。

テクニカル分析で用いられるテクニカル指標(インジケーター)は、トレンド系とオシレーター系の大きく2種類に分けられます。移動平均線はトレンド系の代表的な指標です。

一方、RSI、ストキャスティクスなどはオシレーター系の代表的な指標として位置付けられます。そして、ボリンジャーバンドやMACDはトレンド系とオシレーター系の両方を併せ持った指標です。

「経済指標や金融政策、戦争やテロなど、すべての事象はチャート上の値動きに反映されている」との考えに基づいた分析手法なので、テクニカル分析ではチャートの分析だけに集中できます。プロの投資家と同じ条件(=チャート)で分析できるため、経験を積めば初心者でも安定した利益を狙いやすい手法といえるでしょう。

ただしテクニカル分析の結果とは異なる値動きをする「ダマシ」が発生することもあります。そのため、複数のテクニカル指標を組み合わせて使うことが大切です。

テクニカル分析の詳細については以下の記事をご覧ください。

【関連リンク】テクニカル分析とは?種類や使い方、メリット、注意点をわかりやすく解説

主なテクニカル分析指標

     
カテゴリ 指標 概要
トレンド系 移動平均線 一定期間の価格平均から相場の方向性を示す
一目均衡表 複数の線で価格と時間のバランスを可視化する
ボリンジャーバンド 価格変動幅から相場の勢いと方向性を示す
オシレーター系 RSI 買われすぎ・売られすぎを数値で示す
MACD 移動平均線の差でトレンド転換を捉える
ストキャスティクス 一定期間の範囲で価格の位置を示す

ファンダメンタルズ分析

ファンダメンタルズ分析は、経済状況や金融政策、政治などの動向を分析して相場を予測する分析手法のことです。例えば、要人発言や経済成長率・物価上昇率・失業率のような経済指標、金融政策などが相場にどのような影響を与えるのかを分析します。

ファンダメンタルズ分析は、長期的な相場を予測するときに特に有効な手法です。ただし、分析するのには時間がかかるうえ、どの情報がどこまで相場に影響するのかを判断するのは容易ではありません。取引の経験が浅い初心者にとっては難しい手法に感じることもあるでしょう。

主なファンダメンタルズ指標

指標 概要
経済指標 GDPや雇用統計などから景気や経済の状態を測る
金融政策 金利や量的緩和など中央銀行の方針で相場に影響を与える
要人発言 政治家や中央銀行関係者の発言で市場心理が変動する
地政学的リスク 戦争や紛争など国際情勢が相場に与えるリスク要因

【関連リンク】ファンダメンタルズ分析とは?主な指標や分析のやり方、メリット、注意点をわかりやすく解説

自分に合うFXの取引手法の見つけ方

FXの成果は、取引手法が自分に合っているかどうかで大きく変わります。ここでは、自身に適した取引手法を見つけるための考え方を紹介します。

性格から決める

性格に合わせて取引手法を選ぶことで、トレードに伴う精神的な負担を軽減できます。

例えば直感的な判断が得意で、短期的な勝負を好む性格の方は、スキャルピングやデイトレードのような短期売買が向いているかもしれません。

一方で、物事をじっくり分析し、冷静に判断を下すタイプの方は、スイングトレードやポジショントレードといった中長期のスタイルが適しているでしょう。

また、感情の起伏が激しく、損失が出ると熱くなりやすい方は、感情を排してルール通りに取引を行う自動売買を検討するのも一つの方法です。

生活スタイルを考慮する

生活スタイルに合わせて取引手法を選ぶことで、FXを無理なく継続できます。日中仕事で忙しい会社員や、家事・育児に忙しい主婦(夫)の方がFXに取り組む場合、チャートを注視し続ける必要があるスキャルピングに取り組むのは難しいでしょう。そのような方は、数日に一度チャートを確認する程度のスイングトレードや自動売買など、時間的な拘束が少ない手法が合っている可能性があります。

反対に、トレードに集中できる時間を十分に確保できるのであれば、デイトレードやスキャルピングを選ぶことで、効率よく利益を積み重ねられるかもしれません。

生活リズムや、仕事・家庭とのバランスを考え、精神的な余裕を持って取り組める手法を選ぶことが重要です。

実際に取引を行って分析する

デモトレードや少額の資金で、スキャルピングやデイトレード、スイングトレードといった複数の手法を試し、自分に合うかどうか体感してみるのも一つの方法です。

その際、なぜそのタイミングで注文したのかというエントリーの根拠、その時の感情、取引結果を記録しておき、後から見返せるようにしておきましょう。分析結果を元に、どのスタイルが精神的・収益的に安定するかを判断します。検証と改善のプロセスを繰り返すことで、自分にあった取引手法を見つけやすくなるでしょう。

【関連リンク】FXの練習方法は?2種類の練習方法のメリット・デメリット

FXの手法に関するよくある質問

FXの手法に関して、よくある質問とその回答をまとめました。疑問や不安な点がある場合はここで解消しておきましょう。

初心者でも使いやすいシンプルな手法は?

FX初心者の方は、相場の大きな流れに乗って取引する「順張り」から始めるのがおすすめです。トレンドと同じ方向に注文を出すため、ルールを理解しやすく再現性も高いといえます。

取引スタイルは、時間的な拘束が比較的少ない「デイトレード」や「スイングトレード」が良いでしょう。相場分析をする際は、移動平均線やトレンドライン、サポートラインなど、情報収集がしやすい基本的なテクニカル指標について理解を深めておくと良いでしょう。初心者の方は複雑な手法に手を出すより、まずは基本を徹底することが大切です。

FXでは1つの手法を極めるべき?

FXを始めたばかりのうちは、1つの手法に絞って取引を繰り返し、徹底的に検証・改善を繰り返すことが効果的です。初めから複数の手法を同時に試すと、それぞれの手法の優位性や弱点を正しく理解するのは難しくなります。結果として、どのルールにも従えず、場当たり的なトレードに陥る可能性もあるでしょう。

まずは1つの手法を徹底的に深掘りし、その手法で勝ちやすい相場のパターンや負けやすい状況を学びましょう。その中で、相場に対する理解が深まり、資金管理やメンタルコントロールの技術も向上します。経験を積んだうえで、必要に応じてスタイルの変更を検討するのがおすすめです。

FXの手法はなんでもいいって本当?

「どんな手法でも利益を出すことは可能」という意味では本当ですが、「誰でもどの手法でも勝てる」という意味ではありません。性格や生活スタイル、リスク許容度などによって、相性の良い手法は異なります。

例えば、短期売買でストレスを感じる人がスキャルピングを続けても、良い結果は得にくいでしょう。「なんでもいい」という言葉は、自分に合った手法を見つけ、そのルールを徹底できるようになった人にのみ当てはまるといえます。流行の手法に飛びつくのではなく、自身で手法を検証し、納得できるスタイルを確立することが重要です。

FXで初心者が陥りやすい失敗は?

初心者に多い失敗として、「資金管理の甘さ」が挙げられます。高いレバレッジで身の丈に合わない大きなポジションを持った結果、証拠金が不足し、相場のわずかな変動でロスカットされてしまうようなケースです。

「損切りの遅れ」も典型的な失敗例の一つです。損失を確定できず、「いつか価格が戻るはず」と期待してポジションを持ち続けた結果、資金を大幅に減らしてしまいます。

また、損失を取り返そうと感情的になり、決めたルールを無視して根拠のない取引を繰り返すことも、資金を減らす大きな原因となります。

【関連リンク】FXでよくある失敗とは?5パターンの失敗例と回避するための対策

自分に合ったFXの手法を確立して安定したトレードを目指そう

FXには順張りや逆張り、スキャルピングやスイングトレードなど、さまざまな取引手法があります。しかし、どのような相場状況でも勝ち続けられる、絶対的な手法というものは存在しません。

FXで安定した成果を得るためには、さまざまな手法に手を出すのではなく、性格や生活スタイルに合った手法を見つけることが重要です。

まずは一つの手法を使い続け、取引に慣れてきたら、少しずつほかの手法も学んでみることをおすすめします。

松井証券WEBサイト編集チーム

松井証券
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