東証プライム市場とは?対象企業に投資するメリットと注意点

2024/7/19

東証プライムは、2022年4月の東証再編によって誕生した株式市場の区分の一つです。日頃から投資に取り組んでいる人であれば聞き慣れているかもしれませんが、初心者の方はコンセプトや他の市場との違いなどを理解していない場合も多いでしょう。また、東証プライム市場に上場している企業に投資しても良いのか、迷っている人もいるかもしれません。

本記事では東証プライムの特徴や、東証プライム上場企業に投資するメリット・注意点などを解説します。

東証プライムとは?

東証プライムは従来の「東証1部」にあたる株式市場のことで、東証プライム市場やプライム市場などと呼ばれることもあります。

東証プライムとは

東証プライム(プライム市場)とは、2022年4月4日に東京証券取引所の再編によって生まれた株式市場の一つです。個人投資家向けの市場は、プライム・スタンダード・グロースの3つに再編されましたが、その最上位として位置付けられているのが東証プライムです。

東証プライムは「多くの機関投資家の投資対象になりうる規模の時価総額を持っている」「高いガバナンス水準を備えている」「投資家との建設的な対話を中心に据えて持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットしている」といった条件を満たす企業向けの市場として位置付けられています。

2024年6月14日時点でプライム市場に上場している企業は1,645社にのぼり、これはスタンダート市場(1,603社)やグロース市場(583社)を上回っています。

東証の再編の理由

従来、個人投資家向けには、東証一部・東証二部・マザーズ・JASDAQスタンダード・JASDAQグロースの5つの市場が存在していました。東証一部や東証二部は主に大企業や中堅企業を中心に、マザーズやJASDAQは新興企業を中心とした市場とされていました。

しかし、実際には厳格に運用されておらず、それぞれの市場区分のコンセプトが曖昧になっており、投資家にとっての利便性が低かったことが再編につながった理由の一つです。例えば、東証一部は信頼性の高い企業が集まる市場と位置づけられていましたが、時価総額が低い企業や成長性が低い企業も含まれていました。

また、上場企業の質が低下していたことも再編の理由の一つです。新規上場基準よりも上場廃止基準が大幅に低かったり、東証一部の上場基準よりも上場維持基準(他の市場区分への移行基準)が低くなっていたりしたため、上場後に継続的な企業価値の向上を促す仕組みがありませんでした。

このような理由から、東証を運営する日本証券取引所グループは市場再編に踏み切ったのです。

東京証券取引所の市場区分の違い

東証プライムが再編前の市場や、再編後の他の市場区分とどのような違いがあるのかを理解しておけば、投資する銘柄を選ぶのに役立つかもしれません。

東証プライムと東証一部との違い

東証プライムと東証一部は以下のように上場基準が異なっています。

プライム市場 東証一部市場
株主数 800人以上 2,200人以上
流通株式数 20,000単位以上 20,000単位以上
流通株式時価総額 100億円以上 10億円以上
売買代金 時価総額250億円以上 時価総額250億円以上
流通株式比率 35%以上 35%以上
収益基盤 最近2年間の利益の額の総額が25億円以上
最近1年間における売上高が100億円以上かつ時価総額が1,000億円以上となる見込みがある
最近2年間の利益の額の総額が5億円以上
最近1年間における売上高が100億円以上かつ時価総額が500億円以上となる見込みがある
財政状態 連結純資産50億円以上 連結純資産10億円以上

株主数に関する要件は緩やかになっていますが、それ以外の要件は全体的に厳しくなっています。特に、収益基盤や財政状態に関する基準には大きな変更が加えられているため、条件を満たせず、東証一部からプライム市場への移行ができなかった企業もありました。

また、東証一部では新規上場基準よりも上場維持基準が緩やかになっているのに対して、東証プライムでは新規上場基準と上場維持基準がほぼ同じと、厳しくなっている点も大きな違いの一つです。

東証プライムとスタンダード市場やグロース市場との違い

東証プライムとスタンダード市場、グロース市場には、上場基準に以下のような違いがあります。

  • 上場基準の比較表
プライム市場 スタンダード市場 グロース市場
株主数 800人以上 400人以上 150人以上
流通株式数 20,000単位以上 2,000単位以上 1,000単位以上
流通株式時価総額 100億円以上 10億円以上 5億円以上
売買代金 時価総額250億円以上 - -
流通株式比率 35%以上 25%以上 25%以上
収益基盤 最近2年間の利益の額の総額が25億円以上
最近1年間における売上高が100億円以上かつ時価総額が1,000億円以上となる見込みがある
最近1年間における利益の額が1億円以上 -
財政状態 連結純資産50億円以上 連結純資産の額が正である -

株主数や収益の状況など、求められる基準は東証プライム市場が高くなっています。スタンダート市場やグロース市場は株主数や流通株式数などに関する基準は存在するものの、売買代金や収益基盤に関する基準は、プライム市場と比べるとかなり緩やかになっているのが特徴です。例えばグロース市場は形式上、赤字でも上場が可能になっています。

なお、3つの市場ともに、新規上場基準と上場維持基準はほぼ同じ水準となっています。

東証プライムに上場している企業に投資するメリット

東証プライムに上場している企業に投資すると、安定したリターンを狙える可能性があります。

企業の質が高い

東証プライムの上場企業には時価総額の大きい企業や、経営基盤が安定しており、業績も堅調な企業が多くなっています。そのため、安定的な成長・リターンに期待できる点がメリットです。

反対に、成長可能性を重視し、上場審査及び上場維持において事業の状況や財政状態を不問としているグロース市場に上場している企業への投資は、比較的リスクが高いといえます。

流動性が高い

東証プライムに上場している企業の株式は、出来高が多く、流動性が高いため、売買を成立させやすい点がメリットです。また、東証プライムの上場企業は一般的に価格が安定している傾向があり、市場の変動に対しても比較的堅調な動きを見せることが多くなっています。そのため、短期投資・長期投資のどちらとも相性が良いといえるでしょう。

国外からの注目が高い

東証プライムに上場している企業は、海外投資家からの注目も高くなっています。とくに、海外投資家は東証プライム上場や日経平均採用銘柄を選定基準とすることも多く、これが株価の上昇要因となることがあります。

東証プライムに上場している企業に投資する注意点

東証プライムに上場している企業への投資は、一定基準を超えた企業への投資であるため、一見すると安全なように思えます。しかし、東証プライムへ上場しているからといって、必ずしも株価の成長に期待できるとは限りません。

また2024年時点でプライム市場に上場にしている企業の中には「経過措置」を利用して、プライム企業にとどまっている企業も存在します。この経過措置とは、旧東証一部上場企業のうち、プライム市場の上場維持基準を満たしていない企業に対して、一定期間プライム市場に留まることを認める措置のことです。つまり、本来の上場基準に満たない、比較的リスクの高い企業もプライム市場の中には混じっている可能性があるということです。

そのため、実際に投資する際は、企業の業績や財務状況、成長戦略などを詳しく分析する必要があります。とくに投資経験のない初心者は、適切な投資先を見極めることが難しいこともあるでしょう。

東証プライムは多くの投資家が注目する大企業向けの市場

東証プライム市場は、経営基盤が安定しており、時価総額の大きな企業が多く上場しているため、多くの投資家から注目されています。

東証プライムに上場している企業は質が高く、流動性も高いため、安定したリターンを狙いやすい傾向にありますが、投資する際には企業の業績や財務状況をしっかりと分析することが重要です。

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