信用取引<売建>の便利な活用方法
信用取引の「売建(うりたて)」とは、証券会社から株式を借り入れ、先に売却し後から買戻す取引手法です。
株式の現物取引では、買付けた株式が値下がりすると損失(評価損)が生じますが、持ち続けるか、損切りするかしかありません。
しかし、信用取引では、株式の値下がりを予想する場合、値下がり前に売建てし、予想通り値下がりした後に買戻す(買い返済)取引ができます。つまり、売建てたときよりも株価が下がっていれば、利益を得ることができるのです。
その1 株主優待の権利を得る
<例:株主優待があるA銘柄>
例えば、権利付最終日にA銘柄において、現物取引の「買付」と信用取引の「売建」を1,800円で同時に行い、権利落日に現物取引で買付したA株を使い「現渡し(げんわたし)」を行うことで、価格変動のリスクを抑えつつ株主優待を得ることができます。
- クロス注文機能および精算予約注文を利用すればこれらの注文をまとめて行うことも可能です。
ご注意
- 配当が予定されている場合、理論的には権利落日に配当相当額分株価が下落しますが、信用取引では配当金の受払いはないため、そのままでは買建玉を保有する場合は損となり、売建玉を保有する場合は益となります。その分を調整するため、通常の配当支払時期に「配当落調整額(信用配当金)(Q&A)」を売り方が買い方に支払うことで調整されます。
- 信用取引の売建玉を保有する場合に支払う「配当落調整額」は現物取引の買付で受取る「配当金(税引き後)」を上回ります。
その2 リスクヘッジ
<例:長期的な成長が期待できるB 銘柄>
市場全体が下がりそうだと判断したときに、B銘柄の保有株数と同株数を売建てしてリスクヘッジすることが可能ですが、売建てができない銘柄もあります。その場合は、B銘柄と同じ業種の業種別指数連動型ETF(上場投資信託)を同金額程度売建することで、市場全体の値下がりリスクをある程度ヘッジすることができます(市場全体の値下がりが波及する度合いは、B銘柄と業種別指数で同程度と想定しています)。
信用取引「売建」時のご注意
- (1)信用取引で「売建」できるのは、制度信用取引の場合には「貸借」銘柄、無期限信用取引、短期信用取引、一日信用取引の場合には「松井証券が指定する」銘柄のみとなります。なお、無期限信用取引と短期信用取引と一日信用取引では、一部取扱銘柄が異なります。
- 取引所や証券金融会社の規制により、売建できない場合があります。また、無期限信用取引、短期信用取引、一日信用取引の場合、当社の株券調達状況等により売建できる銘柄の変更を行うことがあります。
【確認方法】
- 制度信用取引の場合
「マーケットラボ」画面で個別銘柄を検索することで確認できます。 - 無期限信用取引の場合
取扱銘柄(無期限信用取引)で確認することができます。 - 短期信用取引の場合
取扱銘柄(短期信用取引)で確認することができます。 - 一日信用取引の場合
取扱銘柄(一日信用取引)で確認することができます。
- (2)信用取引では、貸株料や諸経費などの現物取引にはないコストが発生します。
- (3)制度信用取引では新規売建て注文が増えた場合など、証券金融会社でも株式が不足することがあります。 その場合、株式を保有している機関投資家などから、入札で決定した手数料を支払って株式を借りて調達します。その手数料は、逆日歩(品貸料)と呼ばれ、株式の借り手である売建てている人が支払う必要があります。
無期限信用取引・短期信用取引なら
松井証券が取扱っている「無期限信用取引」および「短期信用取引」なら逆日歩は発生しません。
- 無期限信用取引および短期信用取引は、上場廃止、合併、株式併合、株式分割等の事象が発生した場合や、当社の与信管理の都合上、あるいは株式の調達が困難となった場合等において、返済期限が設定されるまたは繰り上げられることがあります。
- 貸株料の料率、配当落調整額は、制度信用取引とは異なります。