TOBとは?意味や目的、メリット、株価への影響や対応方法

2024/10/4

株式投資において、株価の予測を立てるためには情報収集が不可欠です。経済ニュースをチェックする中で「TOB」という言葉を目にしたことがある方も多いでしょう。しかし、投資を始めたばかりの方にとっては、TOBが具体的に何を指し、株価にどのような影響を与えるのかがわかりにくいかもしれません。

そこで本記事では、TOBの意味や目的といった基本的な知識について解説します。株式投資に興味がある人は、この機会に理解を深めておきましょう。

TOBとは?

TOBは株式投資の世界でどのような役割を果たしているのでしょうか。TOBの基本的な意味や目的を解説します。

TOBの意味

TOBとは「Takeover Bid」の略で「株式公開買付」のことです。特定の企業の株式を、証券取引所を通さず、不特定多数の株主から大量に買い付ける手法を指します。証券取引所外で取引を行うのは、大量の買い注文によって株価の上昇を防ぐためです。

TOBを実施する企業(公開買付者)は、対象となる企業(対象者)の株式を計画的に取得するために、買付期間、買付価格、買付予定株数などを公表します。

TOBの目的

TOBの主な目的は、対象企業の経営権の取得です。公開買付者は、対象企業の株式を大量に取得することで、株主総会での議決権を強化し、経営に影響を与えることが可能になります。

例えば、株式の50%以上を保有すれば、取締役の選任や解任について、単独での決定が可能です。また、3分の1超を保有すれば、定款の変更や合併の議案を単独で否決する権利を得ることができます。

なお、企業の経営陣が自社の経営見直しや上場廃止を目指して、既存株主から株式を取得するためにTOBを行うケースもあります。

個人投資家にとってのTOBのメリットとデメリット

TOBは個人投資家にとって、どのようなメリット・デメリットがあるのか理解しておきましょう。

TOBのメリット

高値で売却できる

TOBの大きなメリットは、市場価格よりも高値で株式を売却できる点です。TOBでは、既存株主に株式の売却を促すために、市場価格よりも30%~40%高い価格が設定されることが一般的となっています。

以下は直近のTOB事例です。

銘柄名 TOB発表日 TOB発表日終値 TOB買付価格 プレミアム
(価格上乗せ率)
きずなホールディングス(7086) 2024/7/12 1,442円 2,120円 47.0%
ファンケル(4921) 2024/6/14 2,284.5円 2,800円 22.6%
永谷園ホールディングス(2899) 2024/6/3 2,240円 3,100円 38.4%

株価の変動に惑わされにくい

市場で株式を売却する場合、タイミング次第で得られる利益が大きく変わることもあるため、売却の判断が難しいことがあります。TOBに応じる場合は、事前に提示された価格で株式を売却できるため、利益の見通しを立てやすくなるのがメリットです。

TOBのデメリット

有利な価格で売却できるとは限らない

TOBに応じたからと言って必ずしも有利な価格で売却できるわけではありません。市場価格を下回る価格で公募を行う「ディスカウントTOB」も存在するからです。これは、事前に特定の大株主と保有株式の譲渡に関する合意があり、一般株主からの応募を減らしたい場合に行われます。

中止になることもある

TOBには、買付株式数の上限や下限が設定されており、それを満たさない場合、TOBが不成立となるケースがあります。

TOBには株式の取得について、対象企業の了承を得ている「友好的TOB」と、対象企業や大株主に事前の通知や合意なく買い取りを進める「敵対的TOB」があります。敵対的TOBが実施された場合、TOBの対象企業は、友好的な企業のTOBを受け入れるなど、さまざまな防衛策を講じることが多く、その結果、TOBが成立しないこともあるのです。

事前に予測するのは難しい

TOBが実施されることで株式を高値で売却できる可能性はありますが、事前にTOBされそうな企業を見極めて、株を買っておくのは難しいでしょう。TOBの情報は会社の極秘情報として管理されることや、TOBが期待される銘柄があったとしても、期待通りにTOBが行われないこともあり、実際に利益を得るのは簡単ではありません。

TOBが発表されたら個人投資家はどうすればいい?

TOBが発表された際、個人投資家が取るべき選択肢は主に3つあります。それぞれの特徴を理解し、自分にとって適切な判断をしましょう。

TOBに応じる

TOBに応じる場合は、保有する株式を買付企業に売却することが可能です。

売却するためには、公開買付者に代わって買付代金の支払いなどを行う証券会社への口座開設と、株式の移管が必要です。銘柄によっては、移管手数料がかかることもあります。

なお松井証券でTOBに参加する際の手順は、以下のページを参考にしてください。

そのまま保有する

TOBに応じず、株式をそのまま保有することも可能です。しかし、TOBの目的が上場廃止である場合、TOBで提示された価格で少数株主の持つ株式を強制的に買い取る「スクイーズアウト」が行われることがあります。その場合、期日の到来とともに現金と引き換えに株式を手放すことになるでしょう。

また、上場廃止にならなかったとしても、TOBの終了とともに株価も下落するケースが多いので、売り時を逃し、機会損失につながる可能性もあるので注意が必要です。

市場で売却する

TOBが発表されたあと、市場で売却するのも選択肢の一つです。TOBの発表によって、市場価格は買付価格に近づく傾向があるため、公開買付に応募せず市場で売却する方法も考えられます。

ただし、TOB自体が失敗に終わると株価が急落するケースもあるので注意しましょう。

TOBが行われると株価が大きく変動する

TOB(株式公開買付)とは、買収や企業再編を目的に、特定の企業の株式を市場外で集中的に買い取る手法のことで、プレミアムを加味した買付価格によって、株価が大きく変動するため、個人投資家も大きな影響を受けます。

TOBに応じた場合は、市場価格よりも高い株価で売却できるケースが多いものの、必ずしも有利な価格で売却できるとは限りません。実際に、TOBに遭遇した際は、上場廃止の可能性や株価などを考慮して、TOBに応じるか判断しましょう。

オンラインで最短即日、
無料で口座開設

オンラインで申し込みが完結。署名・捺印・書類の郵送は不要です

リスクおよび手数料などについて