株主とは?株主の権利やメリット・デメリット、株主総会のポイントまでわかりやすく解説

2025/10/2

株主とは、株式会社に出資し、その代わりに株式を保有する人を指します。株主は会社の一部を所有する立場となり、配当を受け取ったり、株主総会で議決権を行使したりできます。

しかし、株主という言葉をニュースなどで耳にする機会はあっても、具体的にどのような立場で、どんな権利があるのか、どうすればなれるのかなど、疑問に思う方もいるでしょう。特に株式投資をこれから始めようと考えている初心者の方にとっては、わかりにくい部分も多いかもしれません。

そこで、本記事では、株式投資初心者に向けて、株主の基本的な意味や権利、株主になるメリット・デメリット、株主総会に関するポイントをわかりやすく解説します。

株主とは?

株主とは、株式会社が発行する「株式」を保有している個人や法人のことです。株式を購入するということは、その会社に対して事業資金を出資することを意味します。つまり、株主になることは「会社のオーナーの一員になること」と同じといえます。

出資の見返りとして、株主は会社の利益の一部を受け取る権利(配当)を得られます。さらに、会社の経営方針に対して意見を言う権利(議決権)も得られるため、企業経営に一定の影響力を及ぼすことも少なくありません。出資額(保有する株式の数)に応じてその影響力は異なります。

株主になるには?

株主になるには、証券会社の口座を開設し、株式市場を通じて上場企業の株を購入することが近道です。

株式の購入単位は企業によって異なり、基本的には1単元(100株)単位で売買されます。過去には企業ごとに1株、1,000株など単元株数がばらばらでしたが、投資家が取引しやすくなるよう2018年10月1日以降は、1単元=100株に統一されました。ただし、企業によっては1単元に満たない株数(単元未満株)で取引できる場合もあります。

また、株の購入に必要な資金は「株価×単元株数」によって決まります。例えば、株価が800円の企業の株を1単元購入する場合、「800円 × 100株 = 80,000円」が最低投資額の目安です。自分が投資したい企業の株価を調べ、最低投資額を把握しておきましょう。

なお、証券取引所に上場していない未上場企業の株主になるのは難しい面があります。というのも、上場株式のように誰でも自由に売買できる市場がなく、売ってくれる株主を自分で探さなければならないためです。

さらに多くの未上場企業は、会社の承認なしに株式を売買できないよう「譲渡制限」を設けており、投資判断に必要な財務情報も公開されていないことが多いため、一般の個人投資家にとって投資のハードルは高いといえます。

株主が得られる3つの権利

株主になると、会社法第105条に定められている3つの権利が得られます。それぞれの内容について、詳しく見ていきましょう。

  • 議決権(経営に意見できる権利)
  • 配当請求権(利益を受け取る権利)
  • 残余財産分配請求権(会社清算時の権利)

議決権(経営に意見できる権利)

議決権とは、株主総会に出席し、経営方針や取締役の選任といった議案に対して賛成か反対かの票を投じる権利のことです。会社の経営に関する意思決定に参加できる、株主の基本的な権利といえます。

株主は原則、1単元株につき1票の議決権を持つことになります。多くの株式を保有していれば、それだけ企業の経営方針に与える影響も大きくなる仕組みです。

また、一定の条件を満たせば、株主側から議題を提案する「株主提案権」という仕組みもあり、経営に積極的に関わる道も開かれています。

配当請求権(利益を受け取る権利)

配当請求権とは、企業が得た利益の一部を、配当金として受け取れる権利です。配当金の有無や金額は、企業の業績や配当に対する考え方(配当方針)によって決定されます。業績が好調で多くの利益が出た年には増配(配当が増えること)が期待できますし、逆に業績が悪化した場合には減配(配当が減ること)や無配(配当がゼロになること)になるケースも少なくありません。

【関連リンク】配当性向とは?計算式や目安、高すぎるとどうなるかを解説

なお、課税口座で配当金を受け取る際には20.315%(所得税15.315%・住民税5%)の税金がかかります。NISA口座で購入した株式から得た配当金については、受取方法を「株式数比例配分方式」設定をすれば、非課税で受取ることができます。

【関連リンク】NISAの配当金は非課税になる?受け取り方法や高配当株の選び方を解説

残余財産分配請求権(会社清算時の権利)

残余財産分配請求権は、万が一、会社が解散や倒産などで清算手続きに入った場合に、残った会社の資産の分配を受けられる権利です。

ただし、会社の資産はまず借入金の返済など、債権者への支払いが優先されます。株主への分配は、すべての支払いが終わった後に資産が残っていた場合に行われるため、実際に分配を受けられるとは限りません。

この権利に関連する指標として「PBR(株価純資産倍率)」があります。PBRは「株価 ÷ 1株あたり純資産」で計算する指標です。純資産には株主が出資したお金も含まれているため、1株あたり純資産は「会社が解散した時にそれぞれの株主が受け取れるお金」とみなすことが可能です。

つまり、PBRが1倍を下回っている場合(例えば株価が1,000円、1株あたり純資産が1,500円のケース)、理論上は「会社の全資産を売却して清算したほうが、株主にとっては得になる」と考えられます。

【関連リンク】PBR(株価純資産倍率)とは?計算式や目安、1倍割れの問題

株主になるメリットとデメリット

株式投資で後悔しないために、株主になるメリットとデメリットの両面を理解しておきましょう。

メリット

株主になるメリットは、会社の利益の一部を受け取れることです。具体的には、業績に応じて分配される「配当金」や、企業が株主への感謝として自社製品や割引券などを進呈する「株主優待制度」があります。優待内容は企業によってさまざまで、個人投資家にとっては投資の楽しみの一つといえるでしょう。

【関連リンク】人気の株主優待をご紹介 | はじめての株主優待

さらに、こうした株式を保有することで得られる利益(インカムゲイン)だけでなく、株価そのものが上昇することによる売却益(キャピタルゲイン)も期待できます。応援する企業の成長や好業績によって株価が購入時より上がったタイミングで売却すれば、大きなリターンを得られる可能性もあります。

【関連リンク】キャピタルゲインとは?インカムゲインとどっちが良い?特徴などを比較

また、金銭的な魅力に加え、議決権を行使して間接的に会社の経営に参加できる点もメリットです。株主総会で会社の経営方針を支持したり、改善を求めたりと、一人のオーナーとして意思表示をする機会が得られます。

デメリット

株主になった場合は「元本割れ」のリスクに注意しなければなりません。会社の業績悪化や市場全体の経済状況の変動など、さまざまな要因で株価が購入時よりも下落することがあります。

また、メリットとして挙げた配当金や株主優待も、常に保証されているわけではありません。これらは会社の業績に連動するため、業績が悪化すれば減額されたり、廃止されたりすることもあります。

さらに、議決権を持ち、経営に関与できるとはいえ、一般株主の影響力は多くの場合限定的です。莫大な資金を投じて大量の株式を保有しない限り、会社の経営方針を大きく変えるような意思決定をするのは難しいと考えたほうが良いでしょう。

株主とほかの立場の違い

株主という立場をより深く理解するために、経営者や投資家との役割の違いを比べてみましょう。

株主と経営者の関係

株式会社において、株主は会社にお金を出資する「所有者」であり、経営者は株主から会社の運営を委任された「業務執行の責任者」です。

上場企業では「所有と経営の分離」が一般的であり、株主が日常の経営に直接口を出すのではなく、株主総会で取締役を選任し、選任された取締役(経営者)が事業運営の舵取りを担います。

一方、中小企業の場合は創業者一族が株式の過半数を保有し、経営にも携わる「オーナー企業」の割合が多い傾向にあります。

株主と投資家の違い

株主とは、企業の株式を保有、つまりその会社の一部を所有している人のことです。一方、投資家はより広い概念で、株式だけでなく債券、不動産、投資信託など、さまざまな金融商品に投資をする人を指します。

投資の目的や期間はさまざまですが、「目的を持って株を保有する」という本質は、株主も投資家も変わりません。例えば、短期的な株価の変動を利用して売買を繰り返し、キャピタルゲインを狙う人もいれば、企業の長期的な成長に期待して株式を長期保有し続け、配当金や株主優待を狙う人もいます。

株主総会とは?初心者が注意すべきポイント

株主総会とは、株主が集まり企業経営に関する重要事項を決議する会議のことです。初めて参加する方でも戸惑わないように、注意すべきポイントを解説します。

  • 議案の内容を理解してから出席する
  • 議決権の行使方法を事前に確認しておく
  • 総会当日の進行に戸惑わないよう準備する

議案の内容を理解してから出席する

株主総会に参加する前には、事前に送られてくる招集通知や議案書を丁寧に読み込みましょう。財務状況や配当案はもちろん、定款の変更や役員の選任といった議案も見落とさないように確認します。

わからない用語がある場合や事業の背景を知りたい場合は、各企業のウェブサイトのIR情報(投資家向け情報)を確認し、理解を深めておきましょう。

議決権の行使方法を事前に確認しておく

株主総会に出席できない場合でも、代理人に委任することで議決権を行使できます。また、郵送やオンライン(インターネット)での議決権行使を認めている企業もあります。招集通知に記載されている議決権行使期限を確認し、遅れないように手続きを進めましょう。

特に複数の企業の株主になっている場合は、手続きで混乱しないよう、スケジュール管理を徹底することが重要です。

総会当日の進行に戸惑わないよう準備する

株主総会は、一般的に以下のような流れで進行します。

1.開会宣言
2.議長の選出
3.各部門からの実績報告
4.議案の説明
5.質疑応答
6.議案の採決
7.閉会

会場での開催と合わせてオンラインでライブ配信を行う企業も増えています。初めて参加する際は、会場の場所やオンラインでのアクセス方法、開始時間などを確認し、余裕を持って行動しましょう。

質疑応答に備えて、事前に質問や自分の意見をメモしておくと、当日の理解が深まり、より有意義に参加できます。

株主の役割を理解し、責任ある投資家になろう

株主には資金面から企業の成長を支えるという重要な役割があります。もちろん投資である以上、株価が変動するリスクはありますが、値上がり益や配当金、株主優待といった形で企業の成長の果実を受け取れる魅力もあります。

株主としての権利や役割を理解した上で、株式投資に挑戦してみてはいかがでしょうか。まずは証券会社で口座を開設し、普段利用しているサービスに関連する企業や応援したい企業の情報を見てみることから始めてみましょう。

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