グロース株とは?バリュー株との違いや見つけ方
株式投資で成果を上げるためには、銘柄選びが重要です。多くの投資家が目指すのは、「安く買って高く売る」ことですが、そのためには将来的に成長が期待される企業の株を早い段階で見つけておく必要があります。このような銘柄は「グロース株」と呼ばれていますが、投資初心者の場合、特徴や探し方がわからない方も多いでしょう。
本記事では、グロース株の特徴や代表的な銘柄、さらにバリュー株との違いなどもわかりやすく解説します。
グロース株とは?
まずはグロース株の基本的な定義や、対の概念となるバリュー株について理解を深めておきましょう。
グロース株の定義
グロース株とは、業績や利益の成長率が高く、これからの成長も期待できる銘柄のことです。経常利益が年々増加している企業や、新しい市場を開拓しながら拡大している企業などが該当します。
特に、革新的な技術や独自のサービスを提供する企業は、投資家からの注目度も高くなりやすく、グロース株に注目して銘柄を選ぶ投資法は、一般的に「グロース株投資」と呼ばれます。
なお、東証には、プライム市場・スタンダード市場・グロース市場の3つの市場区分がありますが、「グロース株=東証グロースに上場している銘柄」というわけではありません。プライム市場やスタンダード市場に上場している企業の中にも、売上や利益が急成長している企業が存在し、これらもグロース株と見なされます。
バリュー株の定義
バリュー株とは、企業の利益や純資産から算出する内在的な価値よりも、株価が低くなっている銘柄のことです。業績が安定していても、市場の一時的な要因や、企業の知名度の低さ、業界全体の停滞感などが要因となり、適正な評価を受けていない場合があります。こうした銘柄は、将来的に株価が本来の価値に見合う水準まで回復する可能性があるため、「バリュー株投資」として、長期的な資産増加を目指す投資家に注目されています。
バリュー株かどうかを判断する際にはPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)といった指標が用いられるケースが一般的です。
PERは「株価 ÷ 1株当たり純利益(EPS)」で算出でき、15倍以下の場合は割安と判断するケースが多くなっています。PBRは「株価 ÷ 1株当たり純資産(BPS)」で算出でき、1倍未満の銘柄を割安と判断するケースが一般的です。
グロース株とバリュー株の違い
どちらが自分に合った投資スタイルなのかを判断するために、グロース株とバリュー株のメリット・デメリットを比較してみましょう。
グロース株のメリットとデメリット
グロース株のメリット
グロース株は、将来的な成長を見込んで株価が上昇しやすい傾向があり、バリュー株に比べて値上がり益(キャピタルゲイン)が大きくなりやすいのが大きなメリットです。画期的な技術やサービスを持つ企業に、早い段階から投資を行うことで、株価が当初の数倍、あるいはそれ以上に成長する可能性があります。
また、グロース株は値動きが大きい傾向にあるため、投資スタイルに応じた柔軟な運用が可能です。相場の変動を利用して短期間で大きな利益を狙う「短期投資」と、将来の成長を信じてじっくりと保有を続ける「長期投資」のどちらでも利益を狙える可能性があります。
グロース株のデメリット
成長段階の企業は利益を株主に還元するよりも、事業の拡大に再投資することを優先する傾向にあるため、バリュー株に比べると配当金が少ない、あるいは全くないケースも珍しくありません。そのため、グロース株投資は、安定した配当収入を重視する投資家には向いていないでしょう。
また、グロース株は高い成長期待を織り込んで株価が上昇しているため、期待ほど成長しなかった場合は大きく値下がりする可能性があります。
バリュー株のメリットとデメリット
バリュー株のメリット
バリュー株は、もともと株価が低水準、または安定した動きをしているため、大幅に株価が下落することが少ないのが特徴です。
また、安定した事業基盤を持つ成熟企業が多く、高い配当性向や株主優待にも期待できます。配当性向とは、企業が得た利益のうち、どの程度を株主に配当として還元しているかを示す指標です。
総じて、バリュー株への投資は、リスクを抑えながら安定した収益を狙いたい人に向いているといえるでしょう。
バリュー株のデメリット
バリュー株は、株価がすでに安定している企業が多いため、短期間で大幅な値上がりを期待するのは難しいことが多くなっています。
また、バリュー株は「本来の企業価値に比べて割安」とされるものの、必ずしも株価が適正な水準に戻るとは限りません。市場の注目度が低い企業の場合、業績が安定していても長期間にわたって株価が低迷し続ける可能性もあります。
さらに、配当金や株主優待は、企業の業績悪化や経営方針の変更により突然廃止されるリスクがあります。計画どおりのリターンが得られなくなる可能性があるため注意が必要です。
グロース株の見つけ方
グロース株を見つけるためには、企業の収益性や成長性を判断する指標を活用しましょう。
ROE(Return on Equity)は、企業が自己資本をどれだけ有効に活用して利益を生み出しているかを示す指標です。ROEは「当期純利益÷自己資本×100」で求められます。一般的にROEが8~10%以上であれば、経営効率が高く、資本を有効に活用していると判断できます。
EPS(Earnings Per Share)は、1株あたりの収益力を示す指標です。「当期純利益÷発行済株式総数」で求められ、EPSが毎年増加している企業は、収益力が向上していると判断できます。
企業の成長性を見極めるうえで、売上高の伸び率も重要な指標の一つです。売上高が年々増加している企業は、事業の拡大が順調であり、今後も成長を続ける可能性が高いと考えられます。売上高の伸び率は「(今年度の売上高―前年度の売上高)÷前年度の売上高×100」で求めることが可能です。一般的に、10%以上の伸び率を維持している企業は、グロース株の可能性があります。
グロース株はリスクがある?
グロース株は将来の成長が期待される企業に投資する魅力的な手法ですが、その一方で「ハイリスク・ハイリターン」の投資となる可能性があります。
グロース株の大きな魅力は、企業の成長に伴って株価が数倍以上に跳ね上がる可能性がある点です。しかし、その分、将来の成長を見越して株価が割高になりやすいため、業績が市場の期待を下回った場合、株価が急落するリスクがあります。
成長のピークを見極めるのが難しく、売り時を逃してしまうと、せっかくの利益を失うどころか損失につながるケースも少なくありません。市場動向や企業の業績を定期的にチェックし、売却のタイミングを見極める必要があります。
松井証券でグロース株投資を始めてみよう
グロース株とは、企業の成長性や将来性に期待できる銘柄のことです。グロース株は、株価の値上り益に期待できる一方で、「割安株」とも呼ばれるバリュー株に比べると、配当や株主優待などが少なくなりやすいといったデメリットがあります。
グロース株を見つけるには、ROEやEPSなどの指標を活用するのが一般的ですが、初心者にとっては銘柄選びが難しく感じることもあるでしょう。そんなときは、松井証券の「株の取引相談窓口」をご活用ください。専門のスタッフに無料で銘柄選びや売買タイミングなどを相談できるため、安心してグロース株への投資を始められるでしょう。興味がある方は、ぜひ松井証券での口座開設をご検討ください。