PBR (株価純資産倍率)とは?計算式や目安、PERとの違い、1割割れの問題を解説

2025/11/28(更新)

PBR(株価純資産倍率)とは、企業の「純資産」という観点から企業の本来の価値よりも安い株価水準の銘柄を探す際に、多くの投資家が参考にしている指標です。しかし、NISAなどで投資信託を中心に取引している方の中には、PBRという言葉を聞いたことはあっても、その意味や活用方法をよく理解していない人は少なくないかもしれません。

そこで本記事では、PBRの基本的な意味や計算方法、投資で活用する際の注意点などをわかりやすく解説します。

PBR(株価純資産倍率)とは?

PBR(Price Book-value Ratio)は日本語で「株価純資産倍率」と呼ばれている指標で、株価が1株あたり純資産の何倍になっているかを示すものです。PBRをみることで、企業の株価が割高か割安かを判断できるため、投資判断の目安として広く活用されています。

まずは、PER(株価収益率)やROE(自己資本利益率)など、投資判断に用いられるほかの指標との違いを理解しておきましょう。

PER(株価収益率)との違い

  PBR(株価純資産倍率) PER(株価収益率)
計算式 株価÷1株あたり純資産(BPS) 株価÷1株あたり純利益(EPS)
基準となるもの 純資産 利益
ポイント 会社の「資産価値」に対して株価が高いか安いか 会社の「利益」に対して株価が高いか安いか
向いている投資期間 長期投資 短期〜中期投資

PBR(株価純資産倍率)とPER(株価収益率)は、どちらも企業の株価が割高か割安かを判断するための指標です。

しかし、PBRは株価を1株あたりの純資産(BPS)で割って算出するのに対して、PERは株価を1株あたりの純利益(EPS)で割って計算する違いがあります。

また、PBRの計算の基となる純資産は、会社が保有するすべての資産から借入などの負債を差し引いたものであり、短期間では大きく変動しづらい特徴があります。そのため、PBRは長期的な投資判断に適した指標といえます。

一方、PERの計算の基となる当期純利益は1年間の売上から売上原価や人件費、税金などを差し引いたもので、毎年の業績に左右されやすいのが特徴です。そのため、どちらかといえば短期投資で活用しやすい指標といえるでしょう。

ROE(自己資本利益率)との関係

ROE(自己資本利益率)は、企業が自己資本をどれだけ効率的に活用して利益を生み出しているかを示す指標です。一般的に、ROEが10%を超える企業は優良企業とされています。

ROEは通常、純利益を自己資本で割って算出できますが、先述したPERとPBRを使って求めることも可能です。具体的には、ROE = PBR ÷ PER という計算式が成り立ちます。

PBRの計算方法

PBRは「株価÷1株あたりの純資産(BPS)」で算出できます。1株あたりの純資産(BPS)は「純資産÷発行済み株式数」で求めることが可能です。

例えば、株価が1,000円で、企業の純資産が1,000万円、発行済み株式数が2万株である場合を考えてみましょう。

このとき、1株あたりの純資産(BPS)は「1,000万円÷2万株=500円」となります。そのため、PBRは「1,000円(株価)÷500円(BPS)=2倍」と計算できます。

PBRの目安

PBRの目安を考えるうえで、基準となるのは「1倍」という水準です。ここでは、PBRの目安に対する考え方と、1倍割れの意味について解説します。

PBRは何倍がいい?

PBRの計算に用いる「1株あたり純資産(BPS)」は、理論上、会社が解散する際に株主が手にできる金額を表しているため「解散価値」とも呼ばれます。

PBRが1倍の場合は、株価と解散価値が等しい状態を意味します。つまり、会社が解散したときに株に投資した金額がそのまま戻ってくるということです。この1倍の値を基準に、それを上回った場合は割高、下回った場合は割安と判断します。

ただし、銘柄の良し悪しはPBRが1倍を上回るか下回るかのみで決まるものではありません。企業の成長期待や業種によっても適正とされるPBRの水準は変わってきます。

  PBRが高いケース PBRが低いケース
企業タイプ 成長企業 成熟企業や一時的に業績が低迷している企業
特徴 将来の成長期待が高く、ROE(自己資本利益率)も高い傾向 資産価値に対して株価が割安で、見直し買いが入りやすい
投資判断 高PBRでも高ROEなら評価される 低PBRでも業績回復が見込めればチャンス

PBRは1倍割れするとどうなる?

近年、日本ではPBRが1倍を割り込む企業が多い状況が問題視されています。PBRが1倍を割る状態は、企業を継続して経営するよりも解散したほうが価値は高いと市場で評価されているということです。つまり、その企業の将来性や成長性が投資家に評価されていないことを示しています。

この状況を改善するため、2023年3月に東京証券取引所は「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」を発表し、PBRが1倍を下回る企業に対して改善を促しました。その後、2025年9月に東京証券取引所が発表した「『資本コストや株価を意識した経営』に関する現状と今後の取組み」によると、PBR1倍割れの企業の割合は、プライム市場で44%(前年比6ポイント減)、スタンダード市場で59%(同5ポイント減)と改善傾向が見られました。

この改善は、PBR1倍割れの企業が自己株式取得(自社株買い)や増配といった株主還元策を強化したり、事業ポートフォリオの見直しを行ったりする動きが活発化したことによるものと考えられます。これらの取り組みにより、PBRは投資家が企業を評価するうえで、ますます注目される指標となっています。

松井証券のマーケット情報ではPBRの値を指定した銘柄検索が可能です。業種やその他指標で絞り込みを行った検索も可能ですので、ぜひご活用ください。

PBRを投資に活用する際の注意点

投資判断においてPBRを過信するのは禁物です。以下では、実際の取引でPBRを活用する際の注意点を解説します。

PBRが低い=割安とは限らない

PBRが低い水準にあるからといって、必ずしも株価が上昇するわけではありません。例えば、PBRが低くても、企業の成長性や収益性が低い場合、投資家は将来の利益に期待できないと判断し、株価が上がらないこともあります。また、自社株買いや株式併合により発行済株式数が減少し、1株あたり純資産(BPS)が増えた結果、PBRが下がるケースもあります。

投資判断を行う際に一つの指標に頼るのはリスクが高いため、PBRに加えて、PER(株価収益率)やROE(自己資本利益率)などのほかの指標も活用し、企業の収益性や安定性を総合的に評価することが重要です。

業種によってPBRの基準は異なる

PBRを活用する際には、同業種内での比較が重要です。業種ごとに標準的なPBRの値が異なるため、他社との比較で、割安・割高の判断がより正確になります。

以下の表は、市場ごとにPBRの高い上位3業種と下位3業種をまとめたものです。

プライム市場の業種別PBR

上位3業種 PBR(倍) 下位3業種 PBR(倍)
情報・通信業 2.5 パルプ・紙 0.5
電気機器 2.0 銀行業 0.6
精密機器 2.0 鉄鋼 0.7

スタンダード市場の業種別PBR

上位3業種 PBR(倍) 下位3業種 PBR(倍)
情報・通信業 1.8 銀行業 0.3
精密機器 1.4 電気・ガス業 0.4
水産・農林業 1.3 鉄鋼 0.5

グロース市場の業種別PBR

上位3業種 PBR(倍) 下位3業種 PBR(倍)
金属製品 19.4 空運業 1.0
繊維製品 13.5 保険業 1.3
医薬品 5.0 非鉄金属 1.6

出典:日本取引所グループ「規模別・業種別PER・PBR(連結・単体)一覧 2025年10月」

例えば、情報・通信業では無形資産の比重が高く、将来の成長期待からPBRは市場区分に関わらず高くなる傾向にあり、一方で、銀行業は土地や建物などによって純資産が大きくなる企業が多い傾向にあるためPBRは低い傾向にあります。

PBRの変動は株価と1株あたり純資産の両方が影響する

PBRは「株価÷1株あたりの純資産(BPS)」という式で算出できますが、PBRが上昇するケースとしては株価が上昇する場合とBPSが減少する場合が考えられ、PBRが低下するケースはその反対に、株価が下落する場合とBPSが増加する場合が考えられます。例えば、想定外の一時的に大きな損失が発生し純資産が減少した場合には、株価の変動を除いて考えるとPBRは上昇することになります。

このように、ある時点のPBRを見るだけでは割安か割高かを正確に判断できない場合がありますので、過去の実績も含めて時系列確認することが望ましいでしょう。その時々の変動要因を調べることで、その企業のPBRの傾向を把握しやすくなります。

PBRとは長期投資で役立つ指標

PBRは株価を1株あたりの純資産(BPS)で割って算出できる指標で、企業の株価がどれほど割安または割高であるかを判断するために用いられます。純資産は短期間での変動が少ないため、PBRは長期的な投資判断をする際に注目されることが多い指標です。

PBRは、株価と企業の解散価値が等しくなる「1倍」を一つの目安として評価することが多くなっていますが、近年では1倍を下回る企業も増えており、これが必ずしも割安であることを意味するわけではありません。

より精度の高い投資判断を行うためには、同じ業種内での他企業とPBRを比較することや、PERやROEなどのほかの指標も活用した総合的な視点が大切です。PBRについての知識を深めたあとは、実際に銘柄を選んで株式投資を始めてみましょう。

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松井証券WEBサイト編集チーム

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